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竜の希望  作者: 猫☆ライフ
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報い④

第46話です!超長いです!流石に分けたほうがいいと思いました!次から改善していこうと思います!それではどうぞ!

 佐々木は右足で思い切り踏み込むと、数歩で間合いを詰め、攻撃が届く範囲まで近づき、顎めがけて右手の拳が飛んでくる。それを僕は上体を下げて躱したが、すでに左足が動き始めていた。なのでとっさに後ろに飛び退いて回避した。それよりも思ったより素早くて、今の強化状態でギリギリ見切れるくらいだ。因みにここにきてから、普通の人間の2倍くらいの身体能力で動いている。それをも超えてくるなんて、流石は人類を超越したとも謳われた男である。この人の事は学校の友達から聞いたことだったので、詳しくは知らなかった。

 そして僕が飛び退いた後、佐々木は右足のかかと落としで追撃するが、素早く右へ移動して避けた。狙いが外れたかかと落としはフローリングの床にあたり、音がなって凹んだ。それから休む間も無く、手と足を交互に使った連続攻撃を首元や肩、足、腕とどれも当たれば体勢を崩される所ばかり狙ってきた。だが少しだけ身体能力の倍率を上げた僕にとっては、さっきまでの佐々木の動きがかなり遅く見える。これを人間の尺度で考えるなら、横を通り過ぎる自転車と同じ速さだ。それくらい確実に見えるし、体の方も自然と追いついていく。

 それでも佐々木の独特な構え、姿勢から放たれる攻撃は見えても非常に躱しずらいものであった。一撃目で必ず避けられるスペースに誘導され、次で必ず仕留める攻撃を繰り出している。さっきからその必ず避けられるスペースに誘導され続けている。佐々木はこっちに隙が出るまで、決定的一打は打ち込まないつもりのようだ。


(こいつ、只者じゃない。避け方が全てデタラメとはいえ躱しきれている。俺は様々な武道を制し、技を学び、研究し、新しい技を独学で編み出し、実践してきた。だから正しい避け方も俺しか知らないし、勿論オリジナルだから俺だけこの技、この動きができる。大会ではたったの数個の技で相手を倒してきた。いまはそのごまんとある技を次々に繰り出しいるが、なぜか避けられている。それは恐らくあの目の動き方からすると、信じ難い事だが俺の動きを見てから避けている。だから全ての技を見切られる前に、早々に決着をつけねば。なぁに、落ち着け。動きだけを見てるっていうなら簡単な話さ。その為にはもう少しスピードがいる。背に腹はかえられぬとはまさにこの事だな。恥を捨ててでも俺は勝つ!)


 佐々木は僕の状態を反らせるように、左足を胸の方に突き出してきた。その隙に右足で地面を蹴って、後ろへ跳び僕と距離を開けた。そして着ている装備、衣服を脱ぎ、佐々木は息を吸い込み自分を鼓舞するかのように叫ぶ。


「全ッ、身ッ、全ッ、霊ッッ!ハァァァアアアッッ!」


 な、なんと!見るに堪えないパンツ一枚の姿に!さらにその姿で急接近して、右足で顔に蹴りを入れてくる。動きがさらに速くなっており、動揺して反応が遅れてしまったが、この蹴りはさっきの技とは全然違う。なんのひねりもないただの速くて威力のある蹴りだ。僕はこのチャンスを見逃さない。これくらいの攻撃なら散々食らってきたから左腕で受け流す事は容易い。僕は左腕を上がってくる右足の軌道に合わせ、上に受け流せるように斜めに傾け顔の隣に構える。


「かかったな」


 その言葉と同時に僕の予想は外れ、右足の軌道がずれ左肘に直撃した。折れたような音はしなかったものの、"ゴリッ"という音がした。これは多分脱臼したのだろう。そしてそのまま左腕は下に向かって垂れ、その間に佐々木は体を一回転させ、左足の回し蹴りを頭に向かって開いた左から攻めてくる。僕はそれを速く察知し、急いで右腕で左足をガードする。僕は距離をとるが、佐々木はすぐに構えた。


「やはりな。ここまで分かりやすい攻撃じゃないとお前にも対処ができないもんな。それを利用させてもらったよ。どうする?左腕は使い物にならないぞ?降参するか?」


 佐々木はこの言葉とは裏腹に心中は全く異なるものだった。

(痛ってぇ〜!なんだこいつの肘は!最近殴ったことのある超合金、いやそれよりも断然硬い!右腕も同じくらい硬かったぞ。体に鉄でも入ってんじゃねぇのか!?)

 少なくとも佐々木の両足は悲鳴をあげていた。震えるのを我慢し、今を満喫することに集中し、忘れようとした。


「降参?降参なんてしませんよ。なんのためにここまで来たと思ってるんですか。にしてもあなたのパn…


「言うな!」


 佐々木の姿にはかなりびっくりした。特に鍛え上げられた筋肉がすごく、腹筋なんてシックスパックなんてレベルをはるかに超えているくらいバッキバキであった。だが、それよりも佐々木の水色のパンツの方が気になった。風呂に浮かす用の可愛らしいアヒルのおもちゃのイラストが、たくさん描かれていた。


「お前……、今絶対言おうとしただろ」


 顔を俯きながら言う。その顔は徐々に赤く染まりつつあった。


「そうですけど、何か問題でもありますか」


「いや、いいんだ気にしないでくれ」


「そうですか。それにしても助かりましたよ。今の会話で僕の左腕は完治しましたからね」


「おぉ、そうかそうか。それは良かった。って、は!?」


 僕は治った証拠に左腕の肩を回し、コキコキと鳴らす。


「じゃあ、時間も惜しいのでそろそろ終わらせますね」


 僕はそう言い終わった途端、さっきよりも少し強化し、人間では到底かなわないくらいの身体能力まで上げた。横へ凄まじい速さで移動する。

 ここで佐々木は確信した。

(これは……負ける。)

 佐々木自身も薄々感じていたのだ。自分が押し倒された時から。はじめに感じた気持ちは生まれて初めての「敗北感」であった。わくわくなんてするはずもなかった。心臓の鼓動が早くなるのは嬉しいからではない。『こいつはやばい』という、警告のサイレンを意味していた。

 佐々木は急いで無線の電源を入れた。


「おいK、気をつけろ。敵は(にん)……」


「J。いきなりどうした。わざわざ許可したのに。……J?……そうかやられたか」


 僕は横から頭へ飛び膝蹴りをかます。佐々木は脳震盪(のうしんとう)を起こし、地面へ倒れる。倒れる際、頭からの落下を防ぐため、本能で意識を失いながらも受け身を取った。そしてそのまま動かなくなった。

 僕は感心した。技を駆使することによって、能力の差をほとんど埋めることが出来ることに。しかし、これほどの人がなぜこんなこと(テロ)をしているのか不思議でたまらなかった。

 僕は飛び膝蹴りの後、地面に着地し準備にかかる。

 今いる場所は椅子や机や、掃除道具などが置いてあり、かなり広い。ステージに行くためにはここからステージに繋がる階段が2つあるが、中央にいるとしたら、そっと近づいても距離が少しあるのでリスクが大きい。ステージの下から上に出る方法もあるが、これもリスクが大きい。となると両端にあるドアを使って、誘導して倒すしかない。そのドアは開けると生徒たちが集まっている場所に出る。そこにもステージに上がる用の階段が2つある。

 片方のドアをほんの少しだけ開け、ドアノブに紐をくくりつけ、紐を後ろにある掃除道具入れに引っ掛け、その紐を持って反対のドアまで行き、スタンバイ完了だ。

 僕は片方の閉まりきったドアを勢いよく手前に開けると、生徒のざわめきと共に一つの足音が聞こえる。

 その音をよく聞き、音量が一番大きくなった今、紐を思いっきり引っ張る。それと同時に反対側のドアが大きな音を立て、勢いよく開く。気をそらせたかどうかは分からないが、恐らく逆の方向を向いているはずだ。

 と、ここでSを裸にした効果が出てるはずだ。なぜ裸にしたかというと、ある感情を作らせる為だ。それは「恐怖」。まだ見えない敵に仲間が無残な姿にされているのを見て、少しでも感じてくれたはずだ。その恐怖は警戒心をさらに敏感にさせ、突然の出来事に隙を作らせる。

 まさに今がその時、ドアが開いたと見せかけ、逆からも開けてより長い時間、気をそらせてくれるはず。

 そして生徒達にいる方に出るが、少し遠い階段の途中にいた。けど接近するには充分足りた。


「(クッ、こいついつの間にこんなに近く……!)」


 敵との距離が3mほどになると、敵は僕の接近に気づき銃を向けようとする。

 敵は屋上から見たとき右手で引き金を握っていた。つまり敵は右利きであり、利き足も多分一緒。となると振り向く方向は時計回りとなる。

 予想通り時計回りで振り向き、僕は銃を弾く為、一回転し、回し蹴りで右足のかかとを銃に当てた。

 敵は切り札である銃を離さず、体勢を崩すと思い、押し倒す為に懐に素早く入ろうとするが、予想は外れた。

 ナイフのことをすっかり忘れていた。


「死ねよ」


 接近しすぎたせいで()()に避ける猶予がなくなってしまった。

 目の前に迫るナイフを人ならざるスピードで避けた。敵は驚きを隠せない。


「(な、残像か!?あぁ分かった。こいつ、人間じゃないんだ……)」


 驚きの表情から諦めの表情に変わると、僕の強烈なボディブローがお腹に炸裂する。


「オゥフ……」


 前に倒れる敵を僕は抱え、ステージにひとまず置いた。



 僕は4人を集めロープで縛り上げ、ボディブローを食らったやつの顔をペチペチと叩いて起こす。割と弱くしたから少しの気絶で済み、目を覚ます。目覚めた敵はどこか気の抜けた表情に見えた。それについて問う。


「なんであなたはそんなに余裕そうなんですか。今の状況理解できます?」


 すると敵は鼻で笑い、自慢げに話し始めた。


「フフ……。俺ら4人が返り討ちにされるとはな。敵ながらあっぱれだ。だがお前にもまだ甘いところはあるんだな。まだ気づかないのか、重要な人物がいないことに」


「一のことか!?どこにいるか教えろ!」


 僕は怒りの表情を露わにし、右手に握り拳を作って脅す。


「はじめ?あぁ結構前にトイレに行ったやつか。だがそいつじゃない。お前なら気づいたはずだ。バスのこともな。」


「あ……」


 そして僕は気づいた。なぜ敵がこうも余裕そうな表情をしているのか。誰がこの場にいないのか。僕はある場所へ向かって走り出した。


ここまで読んでいただきありがとうございました!実は想定している範囲では、内容がもっと進む予定でしたが、思ったより文字数が多くなってしまいました。多分次でこの流れは終わりかな?

ではまた。

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