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竜の希望  作者: 猫☆ライフ
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報い③

第45話です!今回はなかなか早めです。そして長いです。それではどうぞ!

 Kが渡り廊下を移動中に2Sから連絡が入る。


「全生徒、集合完了しました」


「よし、ここまではSがやられたことを抜いて計画通りだな。1人減ったのは正直痛手だがカバーできないほどではない。周囲の注意を怠るな。気を抜いたらやられるぞ。『ヤツ』はまだ何かわからないからな」


 小さく、そして低い声で言うとJが


()ゅういに()ゅういってダジャレかよ。意外と面白いな」


「J、ふざけるな。しかもお前笑ってすらいねぇじゃねぇか。作戦会議でもそうだったが、お前のそう言うところが


「2人ともふざけないでください!仲違いしてる場合ですか!はぁ……これが失敗したら終わりなんですから、頑張って下さいよ」


「悪かったな。じゃあ俺はもう着いたからそっちに合流する」


「う〜い」


 Jは怠そうに返事をした。


 一方僕の方は、Kが体育館へ入っていくのを、校舎の屋上から見ていた。とりあえずこれで敵は、一つの場所にまとまったということ。全生徒を監視下に置ける今、守りの体勢に入るだろう。体育館に入る方法は、いくつかあるが、今のところ入り口と裏口のみ。これなら少人数で乗り込んできた理由も分かる。そこの二つさえ見張りをつければ、こっちの侵入方法は正面突破しか無くなる。他の侵入方法は一応あるが、いずれも音が出てしまうのでだめだ。

 それにしても、こんなことをして何をするつもりだろうか。ここの高校それなりに有名だし、強盗が目的なのか?そうだとしたら、ここに来るのでは無く、ただの民間人の家にすればいいはずだ。う〜ん、いまいちこの人達のする事が分からない。まぁ、あと3人無力化させて、いろいろ聞くとしよう。

 僕は勝手な憶測しながら、屋上から裏口を見てみた。すると案の定、見張りがいた。入り口は横へスライドして開けるやり方で、室内からでも広い視野で外が見渡せる。だから上からの奇襲は失敗に終わる可能性が高い。そもそも敵が入り口に固まっているとは思えない。体育館は生徒1000人は入る大きさで縦長だ。敵は恐らく、入り口から遠く離れたステージの上にいる。だったら尚更、入り口からの侵入は難しい。なので裏口からの侵入となる。裏口に行くには体育館の脇2つと、裏の金網で作られた南京錠付きの扉の3つ。ここの通路は、内側に花壇や木々が並んでいて、外側に金網があり人2人が並列して歩けるくらいの幅がある。はっきり言って奇襲のしようがない。だが、僕としては、最後の1人になるまで僕の正体が不明のままにしておきたい。どうしたものか。

 見張りのやつ、さっきからチラチラ真上を確認している。一番最初の上からの奇襲を考慮しているのか。恐らく無線で伝えられたのだろう。そして僕は閃いた。屋上にいると思わせるんだ。



 一方体育館内では、生徒が少し騒めく中、怯えている一を元気付けるため、周吾と会話をしていた。その途中、


「おい(はじめ)、大丈夫か?お腹痛いのか。トイレにでも行くか?」


「う……ん。早く……、もう……がまん……でき……ないッッ!」


「分かったからちょっとあんまり大きな声出さないでくれよ。いくら俺でもここではふざけないぞ」


「ふざけ……て、ないよ……いいから早く……」


 一は見るからに苦しそうだ。よほどの腹痛なんだろう。


「すみませーん。ちょっといいですかー?」


「なんだ。要件があるならこっちへ来い。こっちも暇じゃないんだ」


 周吾が事情を説明する。


「……分かった。まぁ、逃げ出さないようにしてあるし、行ってもいいぞ。ただし、1人でな」


「あざーっす」


 テンション低めで返事をする。そして周吾は一の元へ戻った。


「トイレ行っていいってよ。俺のコミュ力に感謝す……うわぁっ。……いきなりどうしたんだよ」


 一は肩に置かれた周吾の手を弾き、走って行った。

 周吾は弾かれた手を気にしながら、走って行く一を見ていた。それは周吾にとっていつも走っている一より速く見えた。



 僕は静かに忍び寄る。見張りとの距離まで7mほどだろうか。今は曲がり角で待機している。裏口まで少し距離があるから、その分時間を稼がなければいけない。え?どうやって地面に降りたかだって?そんなの飛んで……ここで僕は苛立ちを感じた。そう、それは「矛盾」だ。僕は最初、納得のある敗北をさせると決めていた。けど今になって気づいた。ここまで人外な動きをして、何を納得させるのだろうか。結局は作戦も何も力ずくじゃないか。僕は昔から気に食わなかった。自分の言動に。もっと意味のある行動をするべきだったな……。って今はそんなことどうでもいいか。ここまで来ちゃったし、何かしら作戦を立てていこう。後悔するのは、まず皆を助けてからにしよう。

 そして僕は行動に移す。作戦は至って単純。要は屋上にいると思わせればいい。上から物音がすれば気にするはずだから、上に向かって石を投げる。なるべく音を立てないように。投げた石は屋上で音が出て、見事に見張りのやつが引っかかった。


「K。屋上から物音がした。ヤツは屋上にいるかもしれない。だから……あっ……」


「おいどうした2S。なんか見つけたのか?」


 気づいた時には、もう遅い。僕は顎に向かって強烈な拳をお見舞いする。


「ゴッ……ォ……」


 そのまま気絶した。急いで裏口の方を確認する。よしよし、鍵が開いたままの状態になっている。鍵が急いで閉められる可能性があるからな。これで後は入り口とステージにいる敵だけ。僕はドアを開け、中へ入ったその時、僕の頭に衝撃が走る。鈍い音がなり体勢が揺らぐ。


「おぉ〜、Kの言った通りすぐ入って来たな〜。身構えといてよかったぜ」


 随分気の抜けた言い方だ。僕は倒れそうになるが、すぐに体勢を起こす。正直言って全然痛くもかゆくもない。


「(なっ、こいつ今俺が殴ったよな?なんで立って……)グッ!」


 僕は動揺している敵の散弾銃の銃口を、僕の体より後ろまで引っ張り、左腕で喉を押し右足で足を引っ掛け、倒した。と思ったが、敵はすぐに銃を離し、両手で受け身を取った後、足で僕の右腕を絡ませ、僕の左腰のところまで持って行った。


「アアアアァァッッ!?」


 僕は思いもよらぬ反撃に変な声が出る。それと同時に右手に持っていた散弾銃を離してしまう。咄嗟に敵の喉元を抑えていた左腕を離し、散弾銃を弾いて遠くへ飛ばしたものの、敵に振りほどかれ距離を置かれてしまった。


「おいJ交戦中か?相手はなんだ?」


「あぁ、これほど強い相手は初めてだぜ。わくわくするな!」


「はぁ!?お前何言って、


「いいから任せてくれよ。やっと本気で戦える奴が来たんだからよォ。無線切らせてもらうぜ」


「はぁ、もう勝手にしろ。でも期待はしているからな」


 ーーーーブツンーーーー


「なぁお前名前なんていうんだ?」


「……小野寺大地です。というかなんであなたはそんなに堂々としていられるのですか」


「さぁな、俺でも分からん。ただ、今までにない感情がしてるのは確かだ」


「あなたの名前はなんですか」


「俺は佐々木刃だ。顔見ても分からないとは割と知られてないんだな俺」


 佐々木刃。聞いたことある。確かありとあらゆる武道を制し、数々の大会で余裕で優勝して来た男性選手だ。だがある日突然世間から姿を消し、行方が分からぬままとなっていたが、まさかこんなこと……。これも運命なのか。


「あなた達の目的はなんですか」


「それよりも早く試させてくれよ。さぁ、どこまで耐えられるかな!?」


 Jは重装備のまま、ものすごい速さで接近してきた。



ここまで読んでいただきありがとうございました!次は敵と真っ向勝負です。結果はどうなるか大体お察しできますが、楽しみにしていただけたら幸いです。ではまた。

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