敵の情報
第39話です!
それではどうぞ!
久々に竜界に来た。といってもまだ数日しか経ってない。いろいろありすぎて一日一日長ーく感じたからかもしれない。アルバと別れて以来の竜界だが、あまり変わった様子はない。カーマインとか暴れたりしてる可能性も考えていたが、思ったより平和だ。
それよりも気付いたことがあった。またこの広い竜界でアルバに会いに行くために、長い距離を飛行しなければならないことに。人間界である程度行って扉開けばよかったと思った。でもまた人間界に戻るのめんどくさいし、ついでにアドニスに会うことにした。
距離は人間界と比べ物にならないほど遠い。長時間飛行すると翼の付け根がズキズキする。ちなみに体重は8kgぐらいだった。鷲より少し重い。ただ、人間よりありえないほど軽い。翼も鷲よりでかいし、飛ぶことにあまり苦労はしない。
しばらく飛んで水竜達の生息域に入った。やはりどこを見ても青い。水色とか混じることなく全部青。感覚がおかしくなりそう。
宮殿が見え、アドニスの気配が強くなって来た。入り口みたいな門はあるものの、インターホンとかは見渡す限りない。
(不法侵入とかなるし…でも竜界に不法侵入とかあるのか?)
とか思いつつ、門のそばでうろうろしていると、いつの間にかいた後ろの竜に話しかけられた。
「ダイチさんじゃありませんか。こんなところで何をしているのですか?」
「うわぁっっ!びっくりしたぁ。あの、アドニスさんに会いたくて…って、その服、その手袋。もしかしてノクターンさん?」
「わぁ!覚えててくれたんですね!ありがとうございます!アドニスさんは宮殿の裏の庭に行きましたよ。あと宮殿には勝手に入ってもいいですよ。悪いことする竜なんていませんので。警備はゼロです。」
この前来た時、ソフトクリームを出してくれたノクターンだった。宮殿にいる竜でノクターンだけ、いかにも執事っぽい格好をしていたので覚えている。というか勝手に入っても良いってどれだけ平和なんだろう。人間界ならいつ強盗が入ってもおかしくない。お宝とかありそうな気もする。
それはさておきアドニスに会いに行く。そこには奇妙な事をしているアドニスがいた。どう表現して良いか分からないが、強いて言うなら三点倒立みたいなことをしている。しかも体が小刻みに震えている。
「な、何を…しているのですか?アドニスさん?」
「あっ、ダイチさんッッ…それはですねッッ!ダイチさんがァッ!!ここに来てからッッ…ふッッ!人間に興味がぁぁ、湧いてェ……
「あぁあぁもういいです!いつもの姿勢に戻ってください!」
分かりましたァッ……!」
三点倒立と言ったが、首が長いせいで、頭上と両手でバランスなんて取れるはずがなく、首が折れ曲り頭がかなり飛び出ていた。倒立とは言えないような形であった。庭にあるガーデンチェアに座り(尻尾と翼が邪魔)少し経って僕が問う。
「話の続きをしてくれませんか?」
「はい。それは人間に興味を持つようになり人間界のてれび?と言うのを見てみました。するとたまたまこのサンテントウリツ?を見て、奇抜な格好だったので真似してみました。最初は竜力を使ってやってたんですけど、人間には竜力なんて無い事に気付き、竜力無しでやっていたところです。それをダイチさんに目撃されました。私達は人間の生活を模倣して過ごしてきてますがまだ知らないことだらけですね。人間がいつもあの姿勢で過ごしていることには気づきませんでした。
「そうでしたか。(ちょっとイメージずれてるけど。)理解に欠けます。それよりカーマインという炎竜を知りませんか?」
そう。僕の目的はここにあった。カーマインの情報が少しでもいいから欲しかった。母さんの仇を取りたい。
「その炎竜について少しだけなら知ってます。先代の水竜神から聞きました。それは今から八千万年前、水竜が突然暴動を起こしました。炎竜の文化が気に入らなく組織を作っていました。水竜達は水竜神の隙を伺い、炎竜達に襲いかかりました。その暴動を止めたのがカーマインです。しかし沢山の炎竜と水竜が死にました。それによってカーマインは次期炎竜神候補から外れ、スカーレットが代わりになりました。その後カーマインは行方を眩まし現在に至ります。なので私は居場所とか詳細は知りません。」
「そうですか……ありがとうございました。ではまた。」
「お力になれたら幸いです。また会う時は人間界について色々学んでおきます。その時は色々付き合ってくださいね。」
そう言われた後僕はアドニスの元を去った。見返すとまたすぐあの窮屈そうな三点倒立を始め出した。何がそんなに楽しいかわからないが、もしかしたらアドニスは天然なのかもしれないと思った。
アドニスの最初の貴族風の設定はどこへ行ったのやら。アルバの優しいバージョンみたいになってる。貴族風の意識はしてるんですけど、イメージできない。あと喋り方。仕方ないのでこのまま通します。
ここまで読んで頂きありがとうございました!ではまた。




