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4 イリス村

 初めて水玉魔法が成功してから2年後。


 俺は4歳になり独学ながらある程度の生活魔法ができるようになっていた。


 ダンもシーラも最初は無詠唱魔法に驚愕し、天才だと騒ぎ立てたが、魔力総量を神官に調べてもらった結果、俺の魔力総量は並のレベルらしく、いくら無詠唱魔法が使えるとしても、魔術師としては無詠唱魔術師は結構いるし、女の子でもある事から大成はしないだろうと言われ杞憂に終わったようだ。


 転生特典で潜在魔力量が人外レベルとかそんな事は一切無かった。残念……。


 まあ、一般人から突然変異でそんな化け物産まれたら元々の魔力量の高い貴族連中に目を付けかねられない。


 そうなれば妾として魔力総量の高い子供を産む為だけの女になるか、戦争などの鉄砲玉代わりに駆り出される事請け合いだ、何せ身分も何もない平民がどうなろうが貴族連中には痛くも痒くも無い。


 しかし、10歳までに鍛えれば総量は少しずつでも上がるらしい、だから魔法の練習はこっそり行い目立たないようにするよう心掛けるようにした。


 体も少し大きくなり身長90cmくらい、髪の毛はシーラと同じ金色で前髪と後髪だけくせっ毛だ、前髪の一部ピンと跳ね、後ろ髪は外側にカールして肩ぐらいまで伸びている。


 目はパッチリ二重まぶたで色はブラウン、シーラに似て北欧系な美少女だと思う。


 服はちょうどハ◯ジみたいな遊牧民系、生地はゴワゴワであまり着心地がいいとは言えないが不満はない。


 鏡やガラスがない為はっきりと確認は出来ないが、水面に写った姿がこんな感じだ。


 見た目は美少女、中身はおっさん、その真の姿は魔法少女アルトちゃん! うん、キモい。


 体力も付き、行動範囲も広くなりいろんな情報を調べることができた。


 今住んでいるイリス村はサウスウェル王国と言う世界の北西にある国の田舎にある村のようだ。


 四方を海と山で囲まれ、国土は広いながらも他国へ行く手段が限られる為、戦争でも攻め込まれにくく、自然の要塞国家だ。


 その代わり資源はあまりない為、国民は自給自足が主で生計を立てているようだ。


 そんな中イリス村は森に囲まれているので木こりが多く、木材を売り生計を立てている者が多い。


 しかし、いくら木材を切っても運ぶ者がいないと売りに行けない。


 そこで俺の父、ダンの出番だ。


 ダンは召喚魔物を使い、木材を荷車に乗せ町へ代わりに売りに行くのだ。


 魔力が一定以上ある人物は10歳になる年に召喚儀式を行い魔物を召喚できる。


 魔力は10歳を境に余程のことがない限り変化することが無いらしい。


 そこで10歳を機にパートナーになる召喚魔物を呼び出すのだ。


 魔物と言っても一般平民が呼び出せるのはせいぜい家畜程度の魔物ぐらいだ。


 牛や馬、鳥や虫、魚や両生類他など多種多様となるが、魔物は召喚者に絶対服従の為ほぼ人畜無害である。


 ダンの魔物はジャイアントバイソンのジムだ。


 地球のバイソンより濃いカールした黒の体毛で体を覆い、がっしりとした体格で体長は3m、体重は2tはありそうだ。


 頭には反り返った二本の角がありながらも性格は穏やかで、俺が近づくと撫でて欲しいのか鼻息をたてながら顔を寄せてくる。


 まさか、俺の美少女姿に興奮しているのではあるまいな……。


 ジムは荷車に10mはある丸太を30本積み込んでも何食わぬ顔で引っ張る、草しか食べないのに凄いパワーだ。


 さらに、森の中には魔物も少なからず出るらしい。


 大昔、召喚で呼び出した魔物が召喚者の死後、独自に交配を繰り返し根付いてしまった。


 そして、その子孫が今の世に蔓延る魔物と言う事だ。


 子孫の魔物は召喚の契約に縛られない為、人間でも家畜でも襲ってくるらしい。


 よって、襲われても大丈夫なように、高い魔力を持ち魔法も使える召喚者と魔物が積荷や人を守りつつ、移動するのがこの世の中の常識だ。


 まあ、魔物じゃなく積荷を狙う盗賊なんかもいるがこんな田舎で出る事もない。


 ダンとジャイアントバイソンのジムは村一番の積載量を誇り、丸太を売りさばいた後、木こりの儲け分を差し引き余ったお金で、日用品や嗜好品を買って帰ってくるライフラインでもある。


 ジムの運んできた日用品はシーラが営む小さな商店に並べられ、村の人達がそれを買いに来る。


 だから、家には毎日お客さんが来て商品を買ったり談笑したりして賑わっていた。


 俺も最近は店で遊び、看板娘として可愛がられ、シーラの胸に色目を使う男共にイタズラと称した制裁を加えたりと村中から『やんちゃな看板娘』と人気者となりその役割を存分に発揮していた。


 こんな異世界生活も悪くない。


 俺は転生し戸惑いもしたが、この生活に幸せを感じていた。

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