202 早朝から
一年ぶりの更新!! またぼちぼち書いていきます!
『起きろアルト!! 夜明けだ!!』
「ふベェ!?」
俺はまだ薄暗い部屋で何者かに顔を鷲掴みにされベッドから叩き起こされた。
……というかこんな事してくるのはヤツしかいないんだけどな。
「まだ店も開いてねぇよ!! ゆっくり寝かせろバカムート!!」
『ぬかせ!! 貴様は昨日たんと飲み食いして楽しんでおったではないか!! 今日は我の番だ!!』
「俺は試合で疲れてんだよ!! そもそも、お前だってターニャさんと店の食材無くなるほど食いまくってたじゃねぇか!!」
『あんなもの食った内に入らぬわ!!』
朝っぱらからムートと言い争いをしていると寝室の扉がノックと共にゆっくり開いた。
「おはようアルトちゃん。朝から元気だねぇ」
『クックゥー』
そこにはまだ頭の寝癖がひどく、眠い目を擦る寝巻き姿のソプラと抱っこされたクーちゃんがいた。
ぬぁああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!! かわいすぎるぅーー!!
こんなん毎日見てもあきませんわぁぁああああ!!!!
「おはようソプラ!! 今日もかわいいねぇー!!」
「ふぇえ!!!?」
俺は寝起きの思考が回らないままムートを放り出し、ソプラに飛びつく様に抱き締めた。
あぁ……ほんのり香るソプラ独特の匂いと柔らかな抱きごごちは至高の朝と言っても過言ではない。
普段はこんな事しないのだが、昨日の勝利の余韻がまだ抜けきれていないらしい。まぁ、良いではないか。めちゃくちゃ頑張ったんだもん。
このままこの可愛らしいほっぺにチューくらいしても罰はあたるまいて……。
「ん〜❤️」
「ちょっ!? アルトちゃん!?」
俺は口を窄め、幸せを堪能しようとすると……。
『クックドゥルドゥル……ドゥルゥウウウウウウウウウウッ!!!!』
「どうぁぁああぁぁああああああ!!!?」
俺の腕の中でクーちゃんのけたたましい鳴き声と共に逃げ出し、大量の卵が溢れかえった!!
どうやら部屋の暗がりのせいで、ソプラとクーちゃんを間違えて抱きしめてしまっていたようだ。
「わぁああ、いっぱい生んだねぇ〜ビックリしちゃうねぇ〜」
『クックゥ……』
ソプラはクーちゃんを優しく抱き寄せて落ち着くように背中をさすりながら抱きしめている。
ぐうぅ……クーちゃんいいなぁ。俺もあんな風にソプラにヨシヨシされたい。
『お主、我の為に早朝食の卵をクーに生ませるとは……良い心がけだ。良き1日は良き飯から始めねばならぬからな』
「お前の為じゃねぇよ!! てか早朝食つったか!? 朝飯2回食べるつもりか!?」
『無論!! 今日は食の祭り事の本番なのであろう!? ならは朝から腹がはち切れんばかりに喰らうのが礼儀だと赤鎧が言っておったぞ』
「あの食欲魔物め!!」
「ちょっとアルトちゃん食欲魔物は酷くない?」
「「ターニャさん!?」」
いつのまにかソプラの後ろにいつもの赤鎧ではなく、ゆったり目のロングスカートに釣りで使われるような袖の無いポケットがいっぱいついているジャケットを羽織っているターニャさんが立っていた。
その……なんだ。いつもの鎧じゃないから押さえてある物がバイーンと解放されて朝からとても眼福でございますです。
「おはようございますターニャさん」
『クックゥ』
「おはようターニャさん。その……朝早いですね?」
「もちろん♪ 一年に一度の一番楽しいお祭り!! 【食祈祭】!! 気合い入れて食いまくろう!!」
「「お、おぉー」」
右手を高々と突き上げて並々ならぬ情熱を見せるターニャさん。共に揺れたジャケットのポケットからは香辛料やハーブの匂いがしてくる。味変の為に持ち歩くものだろうか? いやはや、気合いが違うぜ。
「今日は私が責任を持ってお祭りを案内してあげるって約束してたし。それに、例の件もあるからね❤️」
そして、ターニャさんは今までに見たことないほど目を輝かせて微笑んだ。
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