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192 ジャビッツの策略

 俺を敬遠することがわかり、球場全体がどよめいている。


「なんでここで敬遠なんだよ! 男なら勝負だろ!?」

「小娘に怖気付きやがったのか!? それでも魔球界一位のチームかよ!!」

「ジャビッツ様そんな子から逃げないで!!」


 客席からは罵倒や非難の声がゴミなどと共にグランドに注がれている。


 俺も最初は面食らったが、悔しいかなコレは最適な判断だ。


 やっと逆転したのに、わざわざ一発もらっている一番危険相手と塁も空いて状態で勝負する必要はない。


 てか、俺がマウンドにいたら間違いなくそうするだろう……こういう場面で熱くならずに敬遠できるのは冷静な判断ができている証拠だ。


 ただ、今夜の試合はただの試合ではなく収穫祭での神前試合、ターカ様に捧げる真剣勝負と客を沸かせるパフォーマンスやエンタメを求められるのだ。


 それをジャビッツが知らないわけがない、なぜブーイングが起こるであろう敬遠の選択をしたのか。


 この騒ぎを起こした中心にいるのは間違いなく今マウンドにいるジャビッツなのだが、見ると不敵な笑みまで浮かべている。


 なんか不気味だ……一体何考えてやがる。


 騒ぎが止まらない中、俺への初球を投げ終えたジャビッツが周りを見回しながら客席に向かって手を上げると拡声魔法を使い静かに語り出した。


『皆さま、今回の敬遠にさぞ驚かれたと思います。真剣勝負が大前提である収穫祭での神前試合、本来ならば勝負をしなくてはいけない場面です。しかし、私はアルト選手との勝負をしない事には理由があるんです!』


 観客が静かになり、ジャビッツの声に耳を傾けている。


『実はその昔、私は今対戦しているキャビナスの一員で毎日、雑用や掃除の合間に素振り、町の治安を監視しつつの走り込み、寝る間を惜しんで投げ込みを行っていました』


 にわかにざわつく球場。あれ? ジャビッツはうちにいた事を恥だとか言って隠してたんじゃなかったっけ?


『中でも私と特に苦楽を共にしたのがキャプテンのマース選手です。彼とはチームを離れる時に誓いました。このような大舞台での対戦が実現した際には手抜きは一切無しでやろうと……』


 えっ? 何? そんな約束してたの? と確認の為マースの方を見たら、首を左右にブンブンと降っていた。


 ん? ……なんか嫌な予感がする。


『そこで、皆さまに私のわがままなお願いがあります! 先のピッチングで疲れ果てているアルト選手との勝負より、マース選手と私だけの熱き男の勝負をさせて頂きたいのです!』


 ジャビッツが拡声魔法でそう言い切ると一瞬の間の後に歓声が巻き起こった!


「なるほど! 男と男の熱き友情勝負ってことだな!! コイツはいい!!」

「なんて器の大きさなの!? ジャビッツさまぁー!!」

「アルトが女の子ってこと忘れてたぜ、ジャビッツは紳士だなぁ」


 湧き上がる観客の中、ジャビッツを見るとニヤリと笑っていた。


 やられた! こいつ! 俺の敬遠をマースと友情勝負をしたいということにして真剣勝負をでっち上げやがった!!


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次回更新は10/16です。

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