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151/205

151 試合より〇〇

 魔球の試合は目が離せない好ゲームとなった。


 チャンスになる度に両チームの応援が一喜一憂して球場の雰囲気はどんどん盛り上がっていく。


 だけど、どっちのチームもよく鍛えられており、スコアボードに0が並ぶイニングが続く。


 イイネ!! どちらも一歩も引かないガチガチの真剣勝負!! こんな試合こそ見てて楽しい!!


 本当は試合を見ながらキンキンに冷えたビールなんか飲めたら最高なんだけど、今はまだ子供だしね。


 そんな試合をホットドッグを頬張りながら見ていると、俺の知らない新たなルールがある事に気づいた。


 1、打った後剣は持ったまま走る。

 野球なら打った後バットはその場に置いて走るが、魔球はそのまま持って走っている。


 2、走者に球を投げ当てるとアウトになる。

 これは、子供の時に遊びでやってたローカルルールのいわゆる『投げ当てアウト』だ。塁間を走っている走者に球を投げて身体に当てるとアウトになる。


 しかし、走者は持っている剣で器用に身体に当たらないように弾き返している。

 なるほど、剣を持って走るのはこの為か。


 そして、1番驚いたのは……。


「アウトー!! 4アウトチェンジ!!」


「あぁー惜しい!!」

「死角からの球の捌き方がまだまだだな」

「やはり残塁宣言が無いチームの試合は剣捌きがうまいから面白いねぇ!!」


 3、3アウト後に残塁している走者は残塁宣言をしない限りそのまま試合続行。


 周りの魔球好きのおっさんの話を聞いてるとこんなルールが最近追加されたらしい。


 どうやら残塁する事が騎士道精神に反するという事らしく、最後まで諦めずに本塁に生還しろみたいな感じらしい。


 所変われば品変わる、と言うけど野球も異世界だと色々ルールが変わって面白いね。


 なんだか怪我とかが心配になりそうだけど、野球より緊張感が出て逆にありなのかもと思ってしまう。


 そんな新しいルールの考察なんかをしながら観てると。


『アルトよ、次は刻んだオニオを盛ってくれ。ケチャップも多めに10本だ』

「ムート、いい加減試合観戦に集中させてくれよぉ」


 目の前に積まれたホットドッグの皿を頭の上にいるムートに渡す。


 観戦10分で飽きたムートは完全に食い気の方にシフトしやがった。


 まぁなんとなく予想はしてたけど飽きるの早すぎないかいムートさんよ……。


 はぁ、とため息をつくと。


「ムートちゃんは食べる方が好きだからしょうがないね。はい、アルトちゃんの分」

『クックゥ』

「ありがとうソプラ」


 ソプラのこういうちょっとした気遣いが本当に愛らしい、抱きしめたいぜ。


 カキーーン!!


「「「「「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」」」」」

「「!?」」


 高い打球音と共に悲鳴にも似た観客の声が上がり、打球はそのままバックスタンドに飛び込んだ。


「「キャァー!! ジャビッツ様ぁぁぁあ!! ステキーー!!」」


 ユーヤさんとシフォンちゃんも歓喜の雄叫びをあげて抱き合いながら喜んでる。


 ほほう……モフモフとボインボインが密着しておる。ぜひその間に挟まってみた……ごめんソプラそんな目で見ないで。


 その頃グランドではジャビッツが観客に握り拳を掲げながらゆっくりとダイヤモンドを一周していた。


 他の選手と違って細身で投手なのにあそこまで飛ばすとは、見た目と違い中々パワーもあるみたいだ。


 そして、その1点が決勝点となり試合はジャイオンズの勝利となった。



 * *



「むはー!! カッコよくて痺れちゃったねー♪」

「ジャビッツ様ステキでしたわー!!」


 球場を出てもユーヤさんとシフォンちゃんの熱は冷めず余韻を楽しんでいる。


 まぁ、イケメンで魔球も上手いとなれば人気出るのは必然的なんだろうなぁ。


『まだ屋台が並んでおるな! アルトよ、あの白いフワフワが甘くて美味かったから買っていくぞ!』

「お前まだ食うのかよ」

「ふふふ、ムートちゃんは食いしん坊だねー♪」

『クックゥ』


 終始食いっぱなしのムートの世話で忙しかったけど、俺とソプラもなんだかんだで試合を楽しんで見れた。


 思いがけない魔球観戦だったけど、楽しいデートになったので良しとしよう。


 ムートの屋台での買い物を済ませて、ソプラとシフォンちゃんを学園寮に送ろうとした時。


 パーーン!!!!


 辺りに高い破裂音が弾きわたった。

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