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145 久しぶりの再会

 日が昇り始めた王都上空。


 木々は朝の澄んだ風に喜び、水面はキラキラと光を反射して輝きを増していく。


 あぁ、なんて清々しい朝なんだろう。まるで世界中全てが輝いているようだ!


 今日の俺はご機嫌である。


 どれくらいご機嫌かと言ったら、日の出と共に出発して、普段片道1時間の距離をわずが10分で来ちゃうくらいご機嫌だ!


 その原因は。


「おーい! こっちこっち〜♪」

『クックゥー!!』


 王都の門の前に早朝にもかかわらず俺に手を振るひとりの超絶かわい美少女がいた。


「ソップッラぁー!!」

『ぬっ!? おい! アルト!?』


 手を振って俺を待ってくれていたソプラを見つけると居ても立っても居られずムートの上から飛び降りた!


 高さは100mくらいだろうか?ソプラが落ちてる俺を見て絶叫しているけど大丈夫、これくらいの高さは余裕のよっちゃんだ!


「ほいっと!」


 落下しながら足元に玉魔法で直径5mくらいの空気の玉を作り、巨大なクッションのように落下の衝撃を和らげる!


 グニンッ! っと俺を包み込むように形を歪めて落下速度が落ちていき、地面に着地するスレスレで完全に落下の衝撃はなくなった。


 すぐさまナイフを取り出して風玉を切り裂くとパァン! と音と共に風玉は霧散し、俺は見事な着地をはたす。


 ふふふ、配達途中で急にトイレに行きたくなった時に使用する緊急着陸方法が役に立つとはな。


 そして、そのままソプラの胸に飛び込ん……。


「バカァ!!」パシーン!!

「ふべぇっ!?」


 着地して顔を上げた瞬間、ソプラの強烈なビンタが飛んできた!


「もう!! アルトちゃんのバカ!! バカァ!! 死んじゃうと思ったんだよぉ!! バカァー!!!!」


 ソプラがクーちゃんを抱えたまま、半泣きになりながら俺をポコポコと叩いてくるが、全く痛くない。


 俺を心配してくれたゆえの行動なので、ほほは痛いけど凄く可愛い!


「ごめんごめん。早くソプラに会いたくて仕方なかったんだよ……会いたかったよ、ソプラ」


「ひゃうっ!?」


 俺は我慢できずにソプラを抱きしめると、ソプラは驚いた声をあげるが、そっと抱きしめ返して来てくれた。


 あぁ、幸せだ! 幸せすぎるぅ!


 温もり、匂い、肌触り、息づかい……感覚の全てを総動員して堪能する1カ月ぶりのソプラは、脳がとろけそうな程の幸せの塊だった。


 俺は抱きしめる力を緩めソプラの顔を見ると、涙で滲んだ目がトロンとしていて、ぷるぷるとした唇が軽く吐息を漏らしていた。


 ごめん、辛抱たまらん。


 軽く目を閉じながらソプラに顔を寄せて行く。


「ふぇえっ!? ……ア、アルトちゃっ!!?」


 ゆっくり近づいてくる俺にソプラはビックリしてキョロキョロと辺りを見回しながらも身をゆだねるソプラ……。


 そして、お互いの小さな唇は重なっ……。















『おいアルト、排便したいのではなかったのか?』


「「どわぁああっ!?」」


 ムートがドスンと頭の上に着頭してきて俺はそのまま崩れ落ちた。


「感動の再会を台無しにしやがって!! ふざけんなよ!! バカムートォ!!」


 早朝の王都正門の前で、俺の怒りの咆哮が響き渡った。


 * *


「くそっ、ムート覚えてろよ」


『我は何も悪くはないと言っておろうが!』


「あはは、二人とも相変わらずだね」


 ソプラが王都魔導女学園に通いだしてから1カ月。今日は始めての外出許可が出たお休みを利用したデートなのだ。


 普通は日用品の買い出しなんかに当てるようだけど、事前の手紙で必要な日用品は全て買ってあり、ムートの収納魔法に入れてある。


 つまり、今日は完全オフ! めいいっぱいソプラとデートを楽しむのだ!


 そんな俺たちがまず向かっているのは。


「「おはようございまーす!!」」


「いらっしゃーい! 二人とも久しぶりだね!!」


 茶髪のショートカットにピンとたつ耳と八重歯が特徴のハン・パナイ亭の看板娘、ユーヤさんが元気にあいさつを返してくれる。


 そう、ますば腹ごしらえ! 朝からしっかり食べて1日の活力を得る為、ハン・パナイ亭の朝ごはんを食べにきたのだ。


「おっ!! 来たな! 朝食できてるぜ!!」


 奥からサコさんが両手にお盆を持って朝食を持ってきてくれた。


 俺は先にムートとクーちゃんの朝ごはんをプレートに出して素早く席につく。


 今日の朝食は、炊き込みご飯、卵焼き、焼き魚、お味噌汁、漬け物だ。


「うはー! いい匂い!! ソプラ早く食べよう!」

「うん!!」


 2人でターカ様に祈りを捧げる。


「「天に召します食の神ターカ様よ、命あるものの糧をこの身の血肉と変え、生きる事に感謝を捧げます」」


 まずは炊き込みご飯から。


「ん〜んまーい♪」


 口の中に広がる香ばしいお焦げと醤油の香りがたまらない!


 卵焼きも味噌汁も日本に帰ったようで懐かしい。


 やっぱりサコさんの料理は美味しい!


 俺とソプラが朝食に舌鼓を打っていると、ユーヤさんがお茶のおかわりを注いでくれながら話しかけてきた。


「そうだ! 実は2人にいいものがあるんだ♪」


「「いいもの?」」


 ユーヤさんはエプロンのポケットから木札を2枚取り出して、俺たちの前に並べた。


 見ると木札には、今日の日付と対戦するチーム名が焼印されてあった。


「これってまさか……」


「そう! 魔球の観戦木札だよ!!」


新しい章の始まりです!久しぶりにアルトに暴れてもらいましょう笑


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