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140 決闘2

「ごめんなさい、ソプラ……私」


「ううん、わたしのために怒ってくれてありがとう。すごく嬉しかったよ」


 魔力を使い果たし、疲労困憊のシフォンちゃんを壁際に座らせて満面の笑みを返したあとゆっくりと振り返りました。


 フェンリさんは腕を組みわたしが戻るのを薄く笑みを浮かべて待っています。


「ソプラ、無理よ。1人じゃフェンリさんには勝てないわ……むしろ、この観衆の前で私たちの惨めな姿を晒す気満々みたいな顔してますわ」


「技量で言えばそうかもね……でも、わたし最後まで頑張るよ。アルトちゃんがたまに言ってたんだ『諦めたらそこで試合終了だよ』って」


「アルトって方は何か競技をやられているのですの?」


「ううん、ずっとお仕事してる。でもね、その言葉を言う時すっごい得意げな顔してくるんだよぉ、あははは♪」


「……こんな時にでもあなたを笑わせることができるアルトって方には一度お会いしてみたいですわ……もちろん、()()()にね! 後は任せましたわソプラ!!」


 シフォンちゃんはニカッと笑って、わたしの目の前に軽く手を上げてきました。


「うん!! 行ってくる!!」


 パーン!!


 わたしはシフォンちゃんとハイタッチを交わして踵を返しました。


 絶対に諦めない!


『さぁ、シフォン嬢の紐が取られ、これで一対一になりました! しかし、二人掛かりの攻撃をいとも容易く捌ききって見せたフェンリ嬢が圧倒的に有利!! これは勝負あったでしょうか?』


『そうですね……体捌き、魔法防御、対人訓練……どれをとってもフェンリ嬢が上回っているでしょう。あぁ……ソプラちゃんが退学になってしまう!もっと回復特魔法の研究とか色々したかったのにぃぃぃい……』


『……』


『何ですか? その目は?』


 わたしは観客の歓声の中、フェンリさんの目の前まで戻ってきました。


「やっと戻ってきましたわね、さあ続きをやりますわよ!」


 フェンリさんは組んでいた腕を解き臨戦態勢に入ります。


「その前に、聞いてもいい?」


「ん?」


「なぜそこまでわたし達を退学させたいの?」


 わたしは人差し指をピンと立て、フェンリさんに問いただしました。


「今更ですわね……あなたがたがこの学園にふさわしくないからよ。シフォンは落ちこぼれで、あなたは平民だからですわ!」


 フェンリさんはさも当然とばかりに言っていますが、わたしはなんとなく引っかかる物言いに感じました。


「本当にそれだけの理由なの?」


「くどいですわ、何度聞いても理由なんてそんなもの。それに、もう退学されるんだから理由なんて意味は無いですわ……よ!」


「いっ!?」


 一足飛びで紐を取りに来たフェンリさんをギリギリで交わし、一対一の紐取りが始まりました。


『これは先程までとは違い、フェンリ嬢が攻める形だぁ!! しかし、ソプラ嬢もかわす! かわす! かわすぅー!! フェンリ嬢とはまた違う体捌きで紐を死守していくー!!』


『ソプラちゃん頑張ってー!!』


 しばらく防御ばかりの紐取りが続いたけど、攻撃はなんとかかわせる。


 フェンリさんの防御は凄いけど、攻める方はそこまで怖くない。これならいけそうだよぅ。


 わたしは防御の合間をぬって、少しづつ攻撃を絡めて行きました。


「なかなかやりますわね。私とは違うその身のこなし……近衛騎士団流に近いですわ」


「遊んでくれた人がその系列だからね」


「なるほど……近衛騎士団の落ちこぼれが謀反を起こそうとして、あなたをこの学園に寄越したのね」


「っ!?」


「そして、学園の結界を破れる程の者を庇うとなるとクーデターでも起こそうと考えているのかしら?」


「ちがっ!! そんなんじゃ、キャア!!」


 わたしは一瞬の隙に体当たりをくらい後ろに弾き飛ばされました!


 尻餅をついたわたしの紐をすぐさま取りにくるフェンリさん!


 それを弾き飛ばされた勢いを殺さずにさらに後方へバク転してかわすも修練場の壁に背を取られる形となり逃げ道がなくなってしまいました。


「ふふふ、やっと追い詰めましたわ。覚悟なさい!」


 うう……フェンリさん相手にこの場所での紐取りは部が悪い、どうしよう……。

ソプラピーンチ!!


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