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137 青い目の友達

 シフォンちゃんが私の目を見て固まっている。


「シフォンちゃん……びっくりした?」


「え……でも、あなた……」


 シフォンちゃんは声を出そうとしてるけどなかなか出てこないようで、口をふるふると震わせています。


「わたしは昔から優秀だとかそういう事は無かったよ。むしろ生まれたのが悪いと思わされる事の方が多かったんだよ。

 捨て子でこんな目だったから、子供達からは青目の魔女だとからかわれ、大人達からは罵声を浴び睨んでくる。見えない所で陰口を言われたり、石を投げられたり、何もしてないのに盗みの容疑をかけられたり……わたし、なんで生まれてきたんだろう? って毎日、毎日思ってた」


 昔の事を思い出すと胸が締め付けられるように苦しく感じてきます。だけど、わたしは胸に手を当てて話を続けます。


「でも、わたしには拾って育ててくれたミーシャがずっと側にいてくれた。ミーシャは強く生きられるようにって、魔法の訓練や体を鍛えて生きるすべを叩き込んでくれたの」


「そのミーシャさんて方は強く、母性溢れる方ですのね……羨ましいですわ」


 シフォンちゃんは少し笑みをこぼして、わたしをしっかりと見てくれた。


 うーん……ミーシャの育て方も鍛え方も子供にやる限度を超えてるもので、母性というのが当てはまるのかわからない……って事は言わないでおこう。


「それでも周囲の目はわたしを蝕んでいったの。それが怖くて訓練や狩りの時以外は教会の外にも出なかった。でも、そんなわたしを変えてくれる人が現れたの」


「アルトって方ね?」


「うん、最初は変な女の子だと思ったよ。会っていきなりチューしようとしてくるし、ミーシャと妙に大人の話が合うし、凄く料理が上手だし本当に同い年の女の子なのかと思わされてたの。

 アルトちゃんはとにかくまっすぐで、わたしの目の色なんか一切気にせず、どんな悩み事にも全力で答えてくれたの。それがどれほどわたしを救ってくれたか……」


「ソプラ……」


 わたしは辛かった時を思い出してしまい、涙が溢れそうになりました。


 でもわたしは一度深呼吸して、シフォンちゃんと目を合わせた。


「どことなくわたし達は似てるのかもしれないね」


「私たちが……?」


 シフォンちゃんはキョトンとした顔を向けてきます。


「そう、わたしは町の人達に差別やいじめられられてて、シフォンちゃんは家族から除け者にされてた。でも、わたしの横には庇ってくれる人がいたの、だから頑張れた。

 でも、シフォンちゃんはたった1人で認めもらうためにここまで頑張ってきた。わたしにはできなかった凄い事だよぉ」


「そんな……私より、その目の方がよほど……」


 シフォンちゃんはわたしに、どんな言葉をかけていいか迷っている様子でした。


「わたしはそんな似てるシフォンちゃんだからこそ、この目を見せた……シフォンちゃんもこの目を見たら私をいじめる?」


「そ、そんな事しませんわ! ……そんな目でもソプラは大切な……友達ですわ!」


 シフォンちゃんはまっすぐにわたしを見つめて、はっきりと友達と言ってくれました。


「うん、ありがとうシフォンちゃん」


 私は溢れそうな感情を抑え、シフォンちゃんをゆっくり抱きしめました。


 でもなぜか、全身が小刻みに震えて止まりませんでした。


「ソプラ? あなた震えて……そうよね、そんな目をしてたら私なんかより、よほど酷い目にあっていたでしょうに……私の事を信じてくれたのね……ありがとう」


 わたしたちはしばらく無言で抱きしめ合っていました。


 それは短い時間だったかもしれないけど、とても温かく不思議なひとときでした。


 そして、2人とも落ち着いたらシフォンちゃんがわたしの肩に手を置き、決意の固まった目でわたしを見て言いました。


「ソプラ……私はやりますわ。こんな私を信じてくれるソプラと退学なんて絶対嫌ですわ!」


「うん! わたしもシフォンちゃんともっと仲良くなって、いっぱいお勉強したい!」


「……ふふっ」

「……えへへ」


 互いに何か吹っ切れたように笑い会いました。


 とても清々しい気分です。こんな気持ちはアルトちゃんやミーシャ以外では初めての感覚です。


 シフォンちゃんわたしと友達になってくれて、ありがとう。


「さあ、決闘対策やりますわよー!」

「おおーー!!」

『クックゥ』

『ピイッ』


 わたしたちの作成会議は、夜遅くまで続きました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 相手の前日の晩御飯にですね、ごにょごょ(悪)
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