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135 犯人は誰だ!?

「ふぇー疲れたよぉ〜」


「だいぶ絞られたわねソプラ」


 わたしはアルトちゃんが壊してしまった結界の修復の手伝いを終えて、教室の机に突っ伏していました。


 今朝アルトちゃんが結界を壊した事をトランさんに説明したところ、無の表情で「あぁ……やりかねませんね……」と言ったあと、結界の修復の手伝いをするという事でお咎めなしにしてもらいました。


「お菓子食べたいって手紙に書いたけど、まさか結界破ってまでお菓子届けに来るなんて思ってなかったよぉ……」


 ボソリと呟いたあと、シフォンちゃんがなぜか目をキラキラさせてわたしを覗き込んできます。


「あの結界はA級魔術師10人がかりでも壊せない物ですのに……結界の修復の手伝いをしたソプラは何か知ってるんでしょ? もしかして、王前の儀に現れた巨大ドラゴンをあっという間に倒した秘匿のS級魔術師が関わってるとかではないの!? ねぇ!?」


 うぅ……あながち間違いじゃないよぉ。シフォンちゃん鋭い……。


 実は世間では、王前の儀の騒動を納めたのは、極秘に行動していたS級魔術師の仕業だという事になっているのです。


 ミーシャが王様のカンコーレー? というものが引かれているからとかなんとか……。


 おかげで今では噂が噂を呼んで事実がねじ曲がり、話がとんでもない事になっているみたいです。


 うぅ……さすがにそのS級魔術師のモデルが龍神バハムートを召喚して王前の儀をぶち壊したアルトちゃん、とは言えないよぉ……。


「た……たまたま壊れたんじゃないかなぁ……」


 わたしは知らぬ存ぜぬを突き通すのです。


「絶対嘘ですわ! さぁ! 本当のことを話しなさい!」


「ほんひょ! ほんひょらっへぇ〜!」


 シフォンちゃんがほっぺを引っ張りながら尋問してきます。


 ごめんなさいシフォンちゃん! どうしても言えないのぉ! だからほっぺひっぱらないでぇ〜!!


 そんなやり取りをしていたら、教室のドアがバンッ! と勢いよく開かれました!


「ソプラ! またあなたですの!?」


「フェンヒふぁん!?」


 隣のクラスのフェンリさんが、怖い顔してツカツカとわたしのところに歩いてきて教室中の注目を集めます。うぅ嫌な予感しかしないよぅ……。


「昨夜の結界破損事件の容疑者は、あなたの知り合いと聞きましたわ! 一体どういう事ですの!?」

「フェンリ様はその事で朝から大変でしたのよ!! 謝罪しなさいよ!」

「こんな大事件を起こして、なんでお咎めもないのよ!?」


 なんかバレてる……。たしかシフォンちゃんが、代々この国の守護を生業とする貴族の家系って言ってたから、結界の修復を手伝っていてそこから情報が漏れたのかな?


 でも、なんとかごまかさなくっちゃ……。


「ごめんなさい……わたしの友達がお菓子を届けに来たら、たまたま結界破られた後に来てしまったみたいで……」


「ふざけないで! この学園の結界は我が一族が張った国内一の結界ですのよ!! そう簡単に破られるようなものではないわ!! その知り合いとやらもタイミング良すぎますし、怪しさ満点ですわ! 早く差し出しなさい!」

「そうよ! 早く教えなさいよ!」

「早く教えるほうが身のためよ!」


 どうしよう、フェンリさんたちすごく怒ってるよぉ……。でも、トランさんにもアルトちゃんの事は言わないようにって口止めされてるし……どうしたら……。


 そうだ! お詫びの印にアルトちゃんのお菓子があったんだった!


 このクッキーはアルトちゃんが作るお菓子の中でも、わたしが一番お気に入りなの! サクサクのふわふわでほんのり甘くて、食べてて幸せになっちゃうクッキーなんだぁ。


 わたしはカバンの中から、選り分けていたクッキーの袋を取り出してフェンリさんにさし出しました。


「あの……ごめんなさい。わたしが謝って許されるものではない事は承知してます。お詫びですけどよかったらコレ……」


 するとフェンリさんはギリっと奥歯を噛み締め、腕を振り上げました。


「こんな物いりませんわ!!」


「あっ!!」


 クッキーの袋は床にはたき落とされ、中身が辺りに散らばり、クッキーは粉々になってしまいました。


「フェンリ様に口止めの小汚い賄賂を渡そうとするなんて……やはりあなたはこの学園にはふさわしくないようね!」

「平民のくせに特別編入なんておかしいと思っていたのよ! 本当は他国のスパイなんじゃなくて!?」


 後ろに控えていた2人がわたしに罵倒を浴びせてきますが、わたしはアルトちゃんのクッキーを叩かれた事にショックを受け、まだ立ち直っていませんでした。


「酷いです! ソプラはそんな子じゃありませんわ!!」


 シフォンちゃんがわたしの様子を見て庇って、間に割って入ってきてくれました。


「黙りなさいシフォン!! その子を庇うとどうなるか……もしかして、あなたも共犯者ですの?」

「なるほど!! 庇うという事はそういう事ね!! さすがフェンリ様!」

「洞察力がずば抜けていらっしゃいますわ!!」


「えっ!? ……いや、ちが」


 庇ってくれたシフォンちゃんがジリジリと後ずさりしてきます。


「その慌てよう……あなたもこの事件の共犯者なのね? わかりました、私が2人まとめてこの学園から追放して差し上げますわ!」


「「えっ!?」」


 するとフェンリさんは首につけてある蝶ネクタイをほどき、私たちの前に突きつけました。


「今この場にて、ソプラ及びシフォン=カスタードに退園を掛けて決闘を申し込みますわ!」


「「え? …………えぇぇえええええええええええええええええええええええええてええええええええええええええええ!!!!!!!!!?」」


 わたしたちは何故か決闘を申し込みされてしまいました……。助けてアルトちゃーーん!!

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