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120 本日の天気は土槍と大絶叫です

「あら、もう戻ってきたのね」


 リエルは自身の土槍があっという間に消し炭にされたにもかかわらず、ニタリと笑みを浮かべた。


「よし! ムートよくやっ……おととと、キーキさん大丈夫?」


「えぇ、なんとか大丈夫よ」


 さすがに小さなムートに2人乗りはきつい。


 キーキさんがムートに跨り、俺が抱きかかえられる形で乗っているけど、キーキさんは乗り慣れていない為踏ん張りが効いていないから安定感が無い。


 こんな状態でリエルを相手にできるのか?


「ムート、俺とキーキさん乗せてリエルを相手できるか?」


『ちと難しいかもしれぬな、さっきの火球で一緒に狙ったんだが交わされてしまった。あのカラスは中々素早い』


「そうか……」


 ムートの火球を避けるのか、今の状況で戦うのはちと部が悪いか……ならば。


「さあ、遊びの続きをしましょうか……」


 リエルが両手を広げ魔力を練り上げていく。


「キーキさんさえ取り返せば、お前になんか構うかよ!! ムート! 逃げるぞ!!」


 リエルは第1級指名手配犯だ……このまま相手しても俺じゃどうやっても敵わない。


 なら、全力でナカフに逃げ帰って衛兵さんに助けを求めるのが一番いいだろう。


 スピードならカラスよりムートの方が断然早いだろうし、何より空中でなんか戦いたくない。


 よし、早く逃げ……。


『断る』


「は?」


『断ると言ったのだ、何故我が逃げなければならぬのだ』


「ばっか!! キーキさん取り戻したんだから、もうリエルに用は無いの!! 背中に2人も乗っけてるんだぞ!!」


『これは我のプライドの問題だ』


「プライドもへったくれもないんだよ!! このバカ!! いいから逃げるぞ!!」


『おぬしさっきから我を貶しておるな!? バカとはどう言う意味だ!?』


 俺とムートが言い争いをしていたら。


「アルトちゃん!? 前! 前ぇええええ!!」


「『ん?』」


「お話おわったぁ?」


「『あっ……』」


 キーキさんが指差す先には、恍惚な笑みを浮かべたリエルが、さっきの倍以上に生成された土槍の先端をこちらに向けていた。


「死ねぇえええええええええええええええええええええええええ!!!!」


 リエルが叫ぶと同時に、無数の土槍が俺らを貫かんとばかりに襲いかかってくる!


「逃げろォオ!!」

『ぬぅううう!?』

「い、ミャアァアアアアアアアアアァァァァァァァアアアアアアアアアア!!!!!?」


 土槍の雨の中、キーキさんの悲痛な叫びが天空に響く!


 ムートは躱しながら火球と尻尾で土槍を粉砕、それでも当たりそうなやつは俺が土玉で軌道をそらした!


 普段ならならこれくらいの速度の物なら難なく躱せるけど今はキーキさんも乗っている。


 これ以上スピードを上げると、踏ん張りの効かないキーキさんと抱えられている俺が振り落とされてしまう。


「あは……あはははは……あはははははははははははぁ!!!! 死ね!! 死ね!! 死ね!! 死ねぇええええええ!!!! ヒャハハハハハハハハハハハハァ!!!!」


 狂気に満ちたリエルの土槍は、次々に俺を狙いすまし襲いかかってくる。


 あんなトチ狂ってそうな感じなのに土槍の精度が半端ないんですけど!?


 俺の魔力を探知しながらリエルが誘導しているんだろうけど……あっほら躱したはずの土槍がまた向きを変えて飛んできてる。


 これだけの土槍を自在に操るなんて、どれだけの訓練を重ねてきたのだろう……すごいんだけど今はマジ勘弁してほしい。


 リエルを倒すにも、防戦一方のこの状況じゃどうもできない。


 土槍を粉砕してもリエルが新しく生成してくるし、無限ループだよ!


「くそっ!! ラチがあかねぇ! どうしたら……」


 ん? いや違う、リエルを倒さなくてもあのカラスをどうにかできればいいのでは?


「なぁ、俺たちが一時的に降りて身軽になれば、あのカラスだけでもなんとかならないか?」


『そうだな、あの緑髪の女ではなくカラスだけならば一瞬でも隙があればすぐにやれるぞ。だがどうするんだ? あれはそうそう隙など作らんし、今降りればあっという間に串刺しだぞ?』


「ちょっとアルトちゃん!? 今降りるとか言わなかった!? ねぇ!?」


 俺の言葉にキーキさんが半泣きでめちゃくちゃ焦ってる。


 考えるんだ! なんとかリエルの気を一瞬でもいいからそらす事が出来れば……。


 ……ピーン!


 俺のアホ毛がピクリと反応する。


「よし! 時間がねぇ!! 一か八かやるしかないさ!いいかムート、キーキさん……」


 俺は咄嗟に思いついた作戦を話した。


 さて、生きて帰れるか勝負だ!

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