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11 アルトの行末

遅くなりました。ボチボチ書きます。

  「……ん」


 起きるとそこは家のベッドの上だった、窓を見ると太陽が完全に登り切っていて日差しが顔に当たる。

 眩しい……昼くらいだろうか。


 上体を起こし、伸びをして体を確認する。

 服はパジャマに変えられていて、見える範囲には目立った外傷無し、節々の稼働も問題無し、怠さはあるが気にするほどではない……でも、なんか違う。


「魔力が……上がってる?……」


 試しに生活魔法の水玉を出してみる。


「うおおおぉお!? でか!!」


 空中に維持した水玉はいつもの30cmくらいの物と比較にならない直径2mはあった。


 バン!!

 寝室の扉が勢いよく開く。


「アルト! 起きたのね! ってえぇえ!?」

「あっ、母さ……」


 バシャン……。


 ……お陰様でいい目覚ましになりました……。




 * *




 部屋の掃除も済み、リビングに集まった。そこにはダンとなぜかマルクさんもいた。


「おぉー! 気がついたか!もう4日も寝てたんだぞ! よかったよかった!いやーダンに木材代金の一部を渡すのスッカリ忘れていてなー! 慌てて馬を走らせて追いかけたら森の前で倒れていた所を見つけたんだ!ビックリしたぞ! 一体何があったんだ?」


 どうやらあの戦いの後4日も寝ていたらしい。

 そして、俺達を見つけてくれたのはマルクさんだったようだ。代金渡しそびれるってどんだけ抜けてんだこの人。


「俺もジムとリエルに攻撃したら槍に刺されて……そのあと叩き起こされて、気がついたら腹も傷一つないし……リエルの気まぐれにしても気味が悪い……」


「私も魔力が尽きたあと槍に刺されて絶命したかと思ったんだけど気づいたら元通りに治ってるのよね……ねぇアルトあの後どうなったか覚えてない?」


「あぁー……。実はあの後ね……」


 俺は隠す方が気分が悪いと思って全部話した。

 あの後、怖くて逃げられなかった事、雷に打たれて金色の粘土みたいな魔力が扱えた事、その力でみんな蘇りリエルを撃退してカラスが咥えて逃げた事、その後倒れて起きたら魔力が上がってた事。


「……アルトその話……本当か?いや、嘘をつくにも意味がない……でもそれが本当なら……なぁ」


「えぇ、アルト? その金色の粘土みたいな魔力は今出してみる事出来ない?」


「やってみたけど無理みたい。今はただ魔力が上がってるだけで粘土みたいな魔力は出ないよ。あの時夢中だったから……」


 しばらくの沈黙が流れマルクが口を開く。


「嬢ちゃん……もし、その力が本物ならそれは『天』の特質系統だ……持っていた者は青眼の魔女の飼い主だけだと言われている……つまり伝説の中の力って事だ……嬢ちゃん夢でもみたんじゃ……」


 魔女に飼い主までいるんかい! てか、魔女って召喚されてたの!? 普通召喚する側じゃない!?


 て事は俺も10歳の召喚儀式で魔女召喚できるの!? でも青眼の魔女みたいな厄災みたいなのを召喚したら目も当てられないし……しかし、ナイスバデーの魔女とか召喚とかできたら……。


「待ってくれマルクさん、それじゃ俺らを生き返らせてくれたのは誰なんだ!? アルトは……たまに子供らしくない変な所があるが素直で優しい……嘘をつく様な子じゃない!」


「そうよ、たまに頭おかしいんじゃないかって思う様な行動はするけど……嘘つくような子ではないわ!」


 おいい! ちょっとまて、2人とも庇ってくれるのはいいけどなんか棘がないかい?


 でも、あの魔力は今まで感じた事のない力だったし、力が溢れる感覚は覚えてるけど、こう……実感がない感じ。夢だったって言われたら……でも現実だしなー。

 雷に打たれた時だけの一時的な物かもしれないし……。


「ううむ……しかし、信じられん話だ。かつてその『天』の力で青眼の魔女を召喚した飼い主は、世界を股にかけ全ての王国を掌握したという……そんな力がこんな田舎村の娘に宿るのも信じがたい。」


 ですよねー俺もそう思います。


「それに、リエルも召喚魔物が連れ去ったのであれば復讐か仲間の報復の可能性も……」


 えっ? それはまずい……今リエルに襲われたら確実に殺される。

 魔力は上がってるけど生活魔法しか使えないし剣術もできない現状はどうにもならない。

 せめてシーラみたいに攻撃魔法を使えないか……うーむ。


「何にせよダンとジムで相手にならないのなら嬢ちゃんはここにいたら危険って事だ……なあ、やはりここはミーシャに頼むしかないんじゃないか?」


 マルクが訝しげにダンを見る。


「そうなるよな……アルト、よく聞いてくれ」


 ダンも困惑した感じで眉間にしわを寄せ俺をじっと見る。シーラは悲しげな表情で俯いている。


「アルト……お前は今、指名手配の罪人に命を狙われる危険性がある状況だ。しかし、父さんと母さんはアルトを守る力がない。そこで、アルトだけミーシャの元で匿って貰おうと思う」


「え?」


「ミーシャはA級魔術師でもありリエルとも互角に渡り合えるぐらいの実力者だ、リエルが襲ってきてもアルトを守れるだろう」


「はい」


「本当は父さんも母さんもお前と一緒に行きたいのだが、町には住む場所もない、教会にずっと居候するわけにもいかないからな。さらに、俺とジムの木材運搬が無くなると村の機能がガタ落ちだ。他の村民に多大な迷惑がかかってしまう」


「うん」


「だから、しばらくアルト1人で……ミーシャの所に……寂しいだろうが我慢して……」


「はい! 喜んでいかせて頂きます!!」


「「「は?」」」


 命を狙われる事、家族が離れ離れになる少女には辛いであろう状況を説明している最中、重苦しい雰囲気なんてなかったようにアルトの嬉々とした声に3人は呆気にとられた。


「だってそれはソプラとも一緒に暮らすって事でしょ!?」


「あぁ……まぁそういう事にはなるが……」


 ダンはまだ鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしている。


 願っても無い話だ、A級魔術師なら身の安全もある程度保証できるし、魔法も教えて欲しい。何よりソプラとずっと一緒に暮らすって最高じゃないか!


「よっしゃああ!! 滾ってきた! 父さんいつ行くの! 明日!? あぁ、待ち遠しい! ヒャッフー!!!!」


 俺は椅子から飛び降りクルクル回り喜んだ。


「……俺の心配を返せ……。」


「アルトの心配よりもソプラちゃんの方が心配になっちゃうわ……」


「がーっはははははは!!やっぱり嬢ちゃんはおもしれぇなあ!!がーっはははははは!!」


 ダンとシーラは頭を抱え机に蹲り、マルクは腹を抱えて大笑いしている。


 こうして俺は1人でミーシャとソプラの元で匿って貰う事になったのだった。

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