第三十話 未来
俺たち、三人は地球に無事帰還した。
一時、行方不明となり、拉致されてしまったのではないかと母親は大変心配していた。
姉は今度ばかりは、ひどい胸騒ぎがしていたとのことで、俺が無事戻ってきたことを喜んでいた。
警察沙汰になってしまったけど、本当のことを言ったら、病院送りにされそうなので、
よくわからないところに監禁されて、ほとんど意識がなかったことにしといた。
大人達を振り回してしまったけど、俺たち3人は、ある意味地球を救ったのだ。
あのロイから。
アイツを放置していたら、きっと地球に侵略して、人間を実験材料に使っていたことだろう。
人間 対 ネフィリム の大戦となってたはずだ。
それを止められて、本当によかった。
地球に帰ってからもごたごたで、休む暇なかったが、ようやく収束して、俺は自宅のベッドに横たわる。
やっぱり、自分の家がいい。
地球がいい。
ひょっこり、姉が顔を出す。
「終わったんだね?」
姉は、俺の清々しい表情を見て、何もかもわかったらしい。
「うん。何もかも無事終わったよ。
今はまだちょっと話せないけど、いつか姉ちゃんにも何があったか話せる日が来ると思うよ。
それまで、待ってて!」
姉は、「うん。話せる日が来たらよろしく。今日はゆっくりしな」と笑って出て行った。
明日から、また学校だ。
また3人で、いつものように通える。
二人の正体が、たとえ宇宙人だったとしても、俺たち3人の友情に変わりはない。
二人は、俺にとってはかけがえのない幼馴染であり、仲間だ。
いままでも、これからもずっと。
にしても、こんなに長く一緒に過ごしてきたのに、全く宇宙人だと気づくことがなかったのに驚く。
地球上には、もしかしたら、相当数の宇宙人がすでにいるのかもしれない。
人間だと思ってたら、宇宙人だったなんてことが、本当に起こり得るのだ。
ロイのような危険な思想を持った宇宙人が今後出てこないとも限らない。
名もなき地球防衛軍として、俺はこれからも戦っていくのだろうか。
でも、正直、本当にもう戦いはこりごりだった。
俺に目覚めたいろんな能力は、もったいないけど封印しようと思う。
普通の人間として、これからは過ごしていきたい。
普通の中学3年生。
勉強がんばって、みんなと遊んで、思い出たくさん作って・・・。
そんなことを考えているうちに、俺はまたぐっすりと眠ってしまった。
翌朝、敦が元気よく迎えにきた。
「よう!!」
「おう! おはよう! 敦。 なんか不思議な気分」
俺は、昨日までの生死をかけた戦いを思い出して、今の日常との落差にちょっと不思議な気分になった。
「俺も。なんかのんびり学校に行けるってのが、なんか不思議。
今までの壮絶な生活に比べるとな。」
「うんうん」
おれは、全くその通りだと思った。
「おはよう」
そこに蓮が合流した。
蓮の表情は、何かつきものがとれたような晴れ晴れとした表情になっていた。
長きにわたるネフィリムとの攻防戦から解放されて、ほっとしているのだろう。
「なんかさっぱりした顔してんな」
敦が蓮を見て笑う。
「おかげさまで」
蓮が、にっこりと笑って答える。
「さて、学校行きますか!!!」
俺が、張り切って二人に声をかける。
3人の生活がまた始まる。
いつまでも、大人になってもずっと仲間でいたい。
和気藹々と馬鹿なことやって、3人で笑って暮らせたら。
俺は、そんなことを思いながら、二人を眺めていた。
~ 終わり ~
長きにわたり、読んでいただきましてありがとうございました。
無事完結できたのも一重に読んでくださった皆様のおかげでございます。
本当にありがとうございました。
感想等どしどしお待ちしております。




