4、
そして、セザールの手紙が途絶えて2か月、文通をはじめて4か月がたったころだった。
「嬢ちゃん、旦那から手紙と荷物」
「へ? 荷物?」
店のほうに届いた久しぶりの連絡に従って受け取りに行くと、柔らかいものを包んだ紙袋と、手紙が一通。
「布だな。使用用途はわからんが」
「……こんなもらっていいのかしら……」
「いいんじゃねーの? 旦那も金持ってるだろうし、あの人持ってねえんならだれが持ってるんだって俺は思うぐらいだからよ。にしても、旦那、まめなんだなあ」
感心したような配送屋の男にいつものお礼として焼き菓子を差し入れて、荷物を受け取って帰る。
「おや? どうしたんだい?」
「いつもの人から、お礼が……」
「そりゃ、お礼にしちゃ大きいものだねえ。……案外、シャナちゃんに惚れてるからよこしてくれているのかもしえないよ?」
「まさか。国の政務官の方が、なんで私なんかに……」
「気が利くし、気立てもいいし、叱るときは叱って、きちんと分別のついたいい子だからだよ。絶対」
「もう、おだてても何も出ませんよ」
そういいながら、荷物のひもを解いて紙袋を開くと、そこにあったのは、きれいに織られたポンチョだった。暖かな色合いの、柔らかで厚手の手触りで、触っただけで高いものだとわかるもの。
「これは……。ああ、イストラブルグの織物だねえ。寒い地方だからこういう上質な毛織物を特産として売り出してるんだ。これから寒くなるから、っていうんだね。気が利くもんだ」
「でも、これ」
「高いが、これは女物だ。突き返されても彼が困るよ」
その言葉に、シャナは泣きそうになっていた。
「今度会う時に、着ていけばいい。喜ぶだろう」
「……ほんとうに、私、こんなものを受け取るのは……」
「もらっていいものしか送ってよこさないよ。ありがたく頂戴して、おまけをはずんでやりなさいな」
ぽんぽん、とシャナの頭をなだめるようにたたいて、手紙の封を開けて渡した。
「ほら、上に行きなさい。今日はどうせ暇だろうから、もういいよ」
「すいません」
荷物を大事に抱えてシャナは上に上がった。
「どうしよう……」
手紙には、はっきりとしたデートのお誘いが書いてあった。




