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「お疲れさん」
「ああ。……シャナ? もう起きて大丈夫なのか?」
「ええ。その、旦那様は……?」
「大丈夫。大したことない」
ぽんぽんとシャナの頭を軽くたたいてオーランドは白衣を脱いで吊るしていく。
「カレン」
「なにー」
「シャナとこいつら頼む。ちょっと買い物出る」
「あ、行きたい!」
「ジャック」
「はいよー」
さすがオーランドの一通りの雑務を引き受けているというべきか、ジャックが声を上げる。ほどなくしてカレンが出てきて、外へ行く支度を始める。そして、二人で出て行ったのを見送ってバートラムは首を傾げた。
「なんか仲良くなってねえ?」
「……まあ、小さなころはあんな感じでしたよ?」
「いいじゃないですか?」
「え? いいの? シャナちゃん」
「だって、旦那様の勝手ですし、カレンさんですし」
「でもシャナちゃん……?」
「何を勘違いなさっているのかはわかりませんが、私は旦那様のメイドです。旦那様はメイドに手を出す下種でもありませんし」
にこりと笑うシャナにバートラムは不思議そうに首を傾げ、ジャックは謎めいた笑みを浮かべていた。




