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オーランド・バルシュテインの改心  作者: 真川紅美
2章:広がる波紋
20/146

2、

暴力的、女性への乱暴の描写が入ります。

こいつがR-15指定になるのかはたまた18に該当するものなのか、作者には見当がつきませんでした。

もし、これは18だよ、という声があれば、何らかの対応をさせていただきます。

 ――暗く、埃っぽい倉庫の中、少女はとらえられていた。


「……」


 黙ったまま、荒縄で素肌を辱められたまま、少女は、目隠しを振りほどこうとせずに不意に振るわれる暴力を受け止めている。


 穀物用の倉庫の中は、冬も明け、夏のわずかな期間をしのぐための穀物しか残っていないために、がらんとしていた。


「音を上げねえな。面白くねえ」

「もう怖くて叫べねえんじゃねえの?」

「もう壊れちまったってか?」


 がははと品のない笑い声を上げる男たちの声を冷静に聞きながら少女は、目隠しの中、瞼をぎゅと閉じていた。


 少女がここにつれられてきてどれだけ経っているのか、わからなかった。


 ただ、懐かしいともいえる飢えと渇きが少女を襲っている。


「いやあ、あんたのところの旦那様は薄情なもんだなあ? それとも、よほどの無能なのか……?」

「なんとか言ってみろよ。あんたんところの旦那様が侮辱されてんだぜえ?」

「本当に、旦那様が私を助けに来るとでも思っているんですか?」


 凛とした声が、下卑た笑い声を断ち切った。


 目隠しをされながらも、彼女はまっすぐと男たちに顔を向けていた。なければ、にらんでいただろうその凛としたたたずまいに、男たちは息を飲んでいた。


「国の軍部の高位におられるあの御方が、私のようないちメイドのために職務を放棄し、私を救いに来ると、よもや本気で思っているんですか?」

「こ、このアマ……」


 男がかつかつと歩み寄り、その頬を打つ。


「余計なこと言うんじゃねえよ。殺されてえか?」

「なんとか言えということでしたので口を開かせていただきました。失礼しましたね」


 さらりと言ってのけるシャナに、男の額に青筋が浮かぶ。


「兄者」

「だめだ。そんなこと言っても、やつは来るよ。メイドだとしては一市民の失踪事件なんだからね。お嬢さん」

「……」

「奴は、来るよ。君じゃなくても来る。君でも来る。奴は体裁を捨てられない。人を捨てて体裁を捨てるなぞ、できるわけない」

「そんなことありません! 旦那様は、捨てようと決心されたら何でも捨てられるお方です。人でも、自分でも、爵位でも。……だから」

「だから何だ?」

「あなた方には関係ありません。ともかく、旦那様は、こんな矮小なメイド一匹を助けに来るような暇な御方ではありません。私が始末された後、ようやく動いて、そして、あなた方を逮捕するでしょうが」


 堂々としたその言葉に、男は、にやりと笑った。


「その確信があるのかね? 君には」

「確信とは?」

「本当に彼は君を助けに来ないと。……君と彼は懇ろだと噂が立っていたが」

「そんな噂。……そんなことはありません。旦那様は、メイドに手を出す下種ではありません!」


 シャナのその言葉に、男たちは声を高く馬鹿笑いを始める。


「ははは、当主がメイドに手を出したら下種だとよ。んだらこの世の貴族様はみんな下種じゃねえか」

「ずいぶん高尚な旦那様だが、もしかしたら女相手じゃ勃たないのかもしれねえぜ!」

「軍人は菊座もたしなむってか」


 口早にののしるその言葉に、シャナは唇をかみしめた。


「じゃあ、俺たちの見込み違いだったか。ならもう用はない。好きなようにしてから殺せ」

「好きなようとは?」

「むろん」


 それきり、シャナと話していた男は足音を響かせて、近くに置いてある椅子に腰を掛けた。


「犯せ。俺のおかずになるようにな?」

「わかりやしたよ、兄者」


 笑みを含んだ声に、少女は身をこわばらせた。両手は後ろ手に縛られ、棒を一本、膝下に噛ませるように両足は折り曲げられ、奥まった場所をさらけ出すように縛られて固定されている。


「まあ、下準備に、時間がかかりますけどねえ?」

「大丈夫だ。一応これでも、国の影に匹敵するような奴に奪ってきてもらったんだ。今頃、捜索隊の解散が告げられていることだろうよ」

「さっすが影と呼ばれることがありますねえ」

「ここまでだとは思わなかった。兄者もよく伝手を見つけた」

「昔請け負った男の中に、そういう男がいてな。ブローカーというやつか」

「金はどうするんで?」

「そんなの、あいつをどうにかすればいくらでも金は入るだろう」


 そういいながら、男たちは、シャナを取り囲み、ぐっと押さえつけて、そして、素肌を穢し始めた。声を上げず、ただじっと身を強張らせてシャナはその乱暴な愛撫に耐えていた。

あと一話こんな感じです。

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