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オーランド・バルシュテインの改心  作者: 真川紅美
小編:カレン・ウィードリイの悔悛
121/146

終。

 そして、翌日。


 しっかりと寝たオーランドが、軍舎に向かう途中、カレンの医院に顔を出していた。


「エリー、アイツは?」


 がらんとした待合室に、ぼーとしていたエリーを見つけて聞くと、彼女はパッと顔を輝かせて上を指さした。


「ありがとな。ほれ、土産だ」


 とお菓子を与えて、上に向かって、カレンの部屋に向かう。


「カレン?」


 呼びかけても、返事はない。


「……」


 寝ているのか、と思いながら部屋のドアを開けると、カレンは一人本が積み上げられた机に向かって手元を照らすための火を見つめてぼうとしていた。


 どこか、遠くの景色のような。


 そんな心地に陥ってオーランドはそれを見つめていた。


「ん? オーランド?」


 はっと、人の気配に気付いたらしいカレンが振り返るまで、オーランドは扉の前に立っていた。


「ずいぶん深い考え事してたんだな」


 扉を閉めて中に入ると、カレンが苦笑を浮かべた。


「昨日のこと考えてた」

「……ああ、アーロン?」

「うん。あの人、でしょ?」


 話題に上っていた彼、というカレンにオーランドも苦笑をしてうなずいた。


「ああ。見事に昨日でひっくり返されちまったがな」


 肩をすくめたオーランドをみてカレンはため息をついた。


「はたから聞いていると、あんまりじめじめしてること言っているとうっとおしいんだね」


 そういったカレンにオーランドの表情がひきつる。それもそうだろう。昨日の醜態をまんまカレンに聞かれていたということだ。


「お前……」

「だからさ、最後に一回謝らせて?」


 何かを言おうとしたオーランドをさえぎって、座ったままオーランドを見上げるカレンに、オーランドは目を見開いた。


「……わかった」


 これで、おわり、と言いたげなカレンの表情に、オーランドはこくりとうなずいて、カレンに一歩近づいた。


「今までいろいろ、ごめんね。オーランド」


 端的な言葉に、オーランドはふっと笑っていた。


「しっかり受け取った。カレン。もう、蒸し返すなよ」

「うん」


 もっと子供の頃は何も言わないでも一時間もしたら仲直りして普通に遊んでしゃべっていた。


 けれど、こんな風に言葉を尽くしてもすれ違って、ぎこちなくなってしまうようになったのは、一体、いつからなんだろうか。


 ほっとしたように表情を緩めたオーランドを見ながら、カレンはオーランドの手を取って握っていた。


「カレン……」


 なにも言わずにぎゅっと握られる手のひらに、オーランドは魔力を抑えながら握り返した。


「おーい、カレンちゃーん!」


 町の男の声がしたから響く。


「はーい!」


 とりあえず声を上げて立ち上がって、カレンはオーランドを見た。手を離すそぶりを見せなかったからだ。


「ねえ……」

「……っ」


 ぐっと強く握られた手に、カレンはオーランドを見上げて、開いた口を閉じた。


「……」


 オーランドの手の甲をそっと撫でて目を覗きこむ。オーランドの目が驚いたように見開かれて、そして、ふっと眦が緩んで、手が離れた。


「行ってくるね」

「ああ。行っておいで」


 そううなずくオーランドの声が、柔らかいのに気づきながら、カレンは下で自分を呼ぶ男の声に、また応え、階段をかけるのだった。

悔悛じゃないような…………ORZ


つーか、キャラ崩壊というか、アーロンのキャラが立ちすぎてカレンが食われた気が……


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