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オーランド・バルシュテインの改心  作者: 真川紅美
小編:カレン・ウィードリイの悔悛
111/146

1、

「よし、意識ない人はどこ?」

「あんた、関係者以外立ち入り禁止だぞ」

「おい、町医者先生だ。控えろ」

「あ?」

「悪いね。女で」


 不貞腐れてカレンが言うと、持っていた包帯をポロリと落として兵士が顔をひきつらせた。おそらくカレンに手当てを受けたことのあるものだろう。その表情をスルーして、うめき声がそこらから聞こえる室内を見回した。


「こっちだ。こいつ、まず診てくれないか?」


 ぐったりと横たわっている若い軍人についていた一人が片手を上げてカレンを呼ぶ。


「わかった。今行く!」


 遅れて往診鞄を持ってきた軍人からカバンを受け取って人を跨いで最短でその軍人の元へと急ぐ。


「頭打ったり、とか、荷物に挟まっていた、とかは?」

「たぶんない。だいたい、みんな逃げて、避けきれなくて当たって倒れた拍子に頭打ったぐらいだな」

「それならただの脳震盪かな。挟まっていた人のほうが優先順位が高いから、探してちょうだい」

「わかった」


 横たわっている人の腕は変な方向にねじ曲がっている。


「折れてるね。ねえ、そこの暇な人、この人押さえてて」


 適当に動けている軍人を呼び止めて体を押さえさせると、骨の整復から処置して、丁寧に体の状態を診ていく。


「意識のない人には最低でも一人、軽傷の患者がつくこと! もし、嘔吐やけいれんなどの症状が出てきたらすぐに呼んで頂戴!」


 がやがやとうるさい詰所の一室に、カレンの声がまっすぐと通った。すぐにおう、と答える雄々しい返事に、カレンは、うなずいて、処置をまた始める。


「あんた、何もんだ?」

「どういう意味?」

「普通の女じゃあ、ここの連中に怖気づくんだが……?」

「じゃあ、普通の女じゃあないんだね」


 裂傷の縫合を行って、指の一本一本まで変な方向に曲がっていないかを確認して次の患者へ移る。


「おい! そこの医者!」


 元気よく呼び止める声をきれいに無視して、カレンは、ぐったりとしている男の服を脱がしていく。


「おい! 呼んでいるのが聞こえないのか!」


 腹部の触診をしていたカレンの腕を無理やり引っ張って振り向かせたのは、ここにいる誰よりもきれいな恰好をした男だった。そして、その後ろに肩を押さえて口を引き結んでいる男がいた。


「この方を先に治療せよ」

「貴方の指図は受けません。この人が先です」

「そんな雑兵など……」

「じゃあ、そこの肩が外れている人はどれだけえらいんですか? 最低でも将軍と呼ばれるぐらいじゃあないと、私からしたら雑兵ですね」

本編で、バートラムに強く当たってた理由(笑)

にしてもカレンちゃんひどい性格だなあ……←

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