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4.

 何やら明るいな、と思ったら炎の中にいた。


 精神的にヤバそうな高笑いが響く。


「邪神の依代(よりしろめ、滅びろ!」


 顔を憎々しげに歪めた男が高笑いの犯人だ。


 神殿内でもなければ戦場でもない。


 周囲に積み上げられて燃える薪越しに見えた男の顔立ちと服装からして国も違うようだ。


 ひょっとして、あの国、征服されちゃった?


 どういうことか状況を把握しようとガシャンガシャンガシャンガシャンと立ち上がったら高笑いが止まった。


 なんかバラバラになってたみたいだけど、あっという間に組み立てられたようだ。


 いろんな機能がついてるな、この甲冑。


 みるみる青ざめていく男の背後に、悲鳴を上げて逃げ出す男たちの姿が見えた。


 とりあえず、意志の疎通をはかってみようかな。


 ちょっと、と手を伸ばしたら、高笑い男が泡吹いてばたりと倒れた。


 使えん。


 ちっと舌打ち―気分だけ―して、他の人間を探して歩き出す。


 薪が燃やされていた中庭のような場所から建物内部に入ってみたが、全くもって見覚えのない装飾に構造である。


 そして巻き起こる阿鼻叫喚の嵐。


 こちらの姿を認めるや否や悲鳴を上げて逃げ出すか、腰を抜かすかの二択。


 やけになって走って追いかけたら失神された。


 なんなの、人をまるで化け物か何かのように。


 そこで、はたと気付いた。


 四回目ともなればすっかり馴染んでいたが、今のわたしは甲冑だった。


 まるで、じゃなくて、まるきり化け物だな!


 はっはっはっ!


 ……あ〜、いつもの収納場所に帰りたい。


 思った瞬間、見覚えのある空間に戻った。


「黒騎士様、ご無事で!」


 神官長らしき服を着た妙齢の女性が涙をたたえた目で見上げてくる。


 台座の下で跪き、祈りを捧げていたようだ。


 やや広い神官服の襟ぐりから豊満な白い盛り上がりが見える。


 男だったら、くらっと来るね! 女でもちょっとくらっと来たけどな!


 メンテナンス=甲冑磨きをよろしく、とサムズアップしたら、額に痛みが走った。


「寝ぼけてないでさっさと起きなさい! 初商に行くわよ」


 丸印のついたチラシをぐいぐい押し付け、姉は去っていった。


 お姉さま、拒否権なしですか、そうですか。


 今回は珍しく間隔短かったな、まだ2日しか経ってないとぼんやり思ったが、次の瞬間には何のことだか忘れて、しぶしぶと食品の福袋を確保すべく寝床を後にした。


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