4話 師匠に会いに行こう
すいません(>_<)投稿が予定より遅れました。
次話投稿は2週間くらい先になりそうです
「そうだあれから今の生活が始まったんだよな 」
夢でこの街に来る前のことを視たからか、しみ じみと今日までの事を思い出してしまった その時ドアがノックされルークが声をかけて来 た。
「おーい、カエデ起きてるか?朝飯にしようぜ !」
「あー起きてるぞ、ちょっとまってくれ」
急いで着替えてドアを開ける。
「おはようルークそれじゃあ行くか」
「おお……よし今日の朝飯はこの宿屋、で食うぞ」
俺達が拠点として泊まっているこの宿屋〈大樹の憩い〉は一階が酒場けん食堂になっていて料理はとても美味しい。
「あれ?なんか騒がしいな?今日って何かあるっけ?」
「ああ__あれだ明日からギルドの練習場で勇者の仲間になる為の選抜が始まるからこの辺の冒険者が集まってきてんだ。まっ、俺には関係ないけどな。」
確か1ヶ月前に勇者が召喚されたことが公になり、ほどなくして勇者の仲間を集うことを〈聖女様〉が宣言した、それによりギルドがある街は人でごった返しているって事か。
「ルークは騎士に成るからそうだよな。俺は目立ったり政治に関わりそうなのはやだからパスな、まあ〈勇者の恩恵〉はのどから手がでるほど欲しいけど……」
勇者の恩恵とは一緒に行動するとレベルが凄く上がりやすくなるというものだ。
「カエデの目的と事情じゃあしょうがねえか……その辺に勇者居たらいいのにな。」
ルークが言う事情とは、俺のように契約で召喚された先代が国を救った、滅ぼした、とどうすればそうなると言いたい両極端な事態を起こし、歴史に残ることをしたため、俺の事が知られると政治から邪神崇拝まで幅広く狙われると
師匠に渡した教皇の手紙から知った。
「それより、料理の注文をしよう
すいませーん!」
俺が呼ぶとこの宿屋の娘で茶髪で青目、俺より年上のシルさんが注文を取りに来た。
「おはよう、カエデちゃん、ルークくん……ねえ本当にこの街から離れちゃうの?よかったらここで働いてもいいのよ?」
シルさんとは年も近いから話しをする内に仲良くなった、買い物にも何度も一緒に行ったが、俺の顔立ちが、中性的で男だとわかりずらいからってちゃん付けで呼ぶのは止めて欲しかった。
「俺とカエデは最初から決めてたから変えるきわないぞ?シルさんにはわるいけどな。」
ルークが苦笑しながら言うとシルさんは少し寂しそうな笑顔をする
「残念……そうそうお父さんが2人に特別豪華な定食を作ったの、お代はいらないから味わって食べてね♪」
厨房の方を向くとおじさんが同情する顔で親指を立てている……
言いたいことは分かってる、おじさんは師匠を知ってるから無事を祈ってるのだろう。
「なあカエデ、さっき顔色が悪かったのは師匠の事思い出したからか?」
「……そうだよ、俺と師匠の魔法を合わせた特訓法を思い出して……な、あっあれ?何だろ?悲しくもないのに涙が……」
「情けないぞカエデ、食ったら師匠に会って……もしかしたら最後に俺達の実力を確かめる……かもしれないってのに……ん?なんだ?コップが上手く持てねえぞ?」
せっかく豪華な料理を出してくれたのに、修行の時の恐怖体験を思い出してしまい味わって食べる事が出来ずじまいで師匠の所に向かうはめになった。
俺達は街で借りた馬に乗り、もうすぐで師匠が暮らす家に着く距離まで来ていた。
師匠が暮らす場所は街から片道、馬で1時間程の距離にある森の中にある。ここまで来る頃には気持ちが落ち着いたことに内心ほっとした。
「ああ……せっかく、豪華な料理を出してくれたのに、もったいなかったぜ、最後の〈大樹の憩い〉での食事だってのに……」
「そう落ち込むなよ本当の最後じゃあないんだからさ。ルークが騎士になって、俺の方も落ち着いたらまた一緒に来て食べような」
ルークは相変わらず食いしん坊だなと苦笑する
「絶対だぞ! 俺必ず騎士になってやる!盛大に祝ってくれよな!」
やる気はいいけど師匠合ってからも続くか見物だな、そんな雑談しながら進んでるとすぐに師匠の家に到着した。
「もう此処を出て半年になるけどここは相変わらずだな」
師匠が暮らす家は丸太組の二階建てで、日本で言うとお金持ちの別荘に近い造りになっている。
果樹園に野菜畑、少し離れたところに川も流れていて生活は快適にすごすことが出来る。
「そうだな、帰って来たって感じだ、とても落ち着く……師匠の訓練さえなければずっといたいくらいだ」
最後の一言はよけいだが同感だ、
第2の故郷って言うのはこんな感じなのかと思う。
近くの柵に馬を繋ぎ止めて家に近づいて行く。
「師匠、約束通りきたよ」
「やあ、カエデにルーク半年ぶりだね、鍛錬は怠けずしてるようで感心だ」
家のドアを開けると椅子に座って声を掛けてきた。
師匠は長身のエルフで緑の髪、黄色の瞳で眼鏡をつければ似合いそうな教師という感じだ。
「俺とカエデは毎日クエスト受けてるし模擬戦もしてるからな大分強くなったと思うぜ……その……だだから師匠、最後はゆっくりと街でのこと話すから優しく旅に送り出して欲しいなーーと思うんだけど」
ルークそれは言ってはだめた!!そこは触れずに機嫌をとってやり過ごすとこだ!!
ここまで親友を殴りたくなったのは初めてだ。
「……ルーク、君はもう少し自分が何を言ったら相手がどう思うか考えてから言葉にしたほうがいいですね。騎士に成ればできないと困ることも多くなる。私が上司だったら機嫌を損ねてるところですよ。」
師匠は呆れたようにいい、ルークは冷や汗をかき、みるみる顔色が悪くなる。
「し師匠は俺の上司ってわけじゃなくて、威厳があって誰からもすかれる優しい、心強いお師匠様ですよね?」
「ルーク、今のは良かったですよ、君はよくわかってますね」
師匠はニコッと笑ってるが俺達には恐怖の笑顔でしかない。
「ルーク、私が騎士団にいたころの2つ名はなんですか?」
「えっあ……『練習法の探求者』ですよね……」
確かにそうだけど……師匠には他にも呼び名があったはずだ師匠は嫌ってはずだけど……
「そう、ですが今は『刑罰の教官』と言う方がいいですね。私の特訓を刑罰にされたことは遺憾でしたがね」
「「ひいいい!」」
『刑罰の教官』とは、まだ師匠が騎士団にいたころ、教官をした訓練生が過酷な訓練を終え強くなったことに天狗になり障害事件を起こした者がいた。そこで師匠が再教育したところ別人のように規律正しい騎士になったが……師匠の名を聴くと失神、嘔吐、ひたすら謝るという後遺症がでたため、罪を犯した者のみが受ける訓練になったという……恐しい経緯で生まれた呼び名だ。
「冗談ですよ……ルークがあまりに気にしてたのでからかっただけですが……実力を確かめることは本当ですよ2人が更に強くなるために必要なことを最後に教えましょう」
師匠……それ変わってないと言いたいが本当にされても困るのでここは黙っておく。
「まあ最後の訓練は明日にしますよ今日はサランから頼まれた者が来ててね。私がいない間についたようで、ミレーヌと服の話しで盛り上がってるよ、ああなると話しが終わるまで待つしかないかな」
ミレーヌさんは師匠の奥さんでエルフの金髪、緑の瞳のスレンダーな大人びた女性で一級の仕立て屋だ、そして果物を使ったデザートが凄く美味しい。
サランというのは教皇がまだ少年のころ一緒に巡礼の旅をした仲間内の呼び名だ。師匠も同行していた。
「誰が来てるんですか?」
「名前はまだ聞いてないのでわからないですが勇者の一人で女性ですよサランは、〈聖女ジュリア〉に頼まれたと手紙がありました」
「「勇者!?」」
なんでまた勇者が……厄介なことにならないことを祈るしかない。
待つ間師匠に街での事は話して時間をつぶすことなったのだった。