27話 デートorデッド2
ミツと2人、レストランで食事する事になった訳だけど……。
「すいませんが、あなた様のそのローブは当店のドレスコードに合いません脱いで貰えますかな?」
「あーーそうですね、はい。」
流石に無理か……本当は女性陣と合流時に驚かす為ちょっとしたネタアクセサリーをして付けているがすぐ外せないのでそのままだ。
ばらすタイミングを失った今となってはミツに引かれそうだ。
しぶしぶボロローブを脱ぐと、受付のハーフエルフのボーイは少し驚く。
(因みハーフエルフはエルフより少し耳が短い)
「これはこれは、エルフ様でしたか、なるほど物語に聞く黒髪エルフと同じなら隠すのも納得ですな。」
ハーフエルフの受付が何故見た目、ハーフエルフか忌み子にしか見えない俺をエルフと思ったかと言うと、以前とある出店で付け耳のマジックアイテムを購入、そして今付けている為だ。
恐る恐る、ミツの方を視ると、驚きどこか悲し表情だ。
やってしまったか……?。
「えーと……ミツ?」
「え?え、えーと……カエデ先輩どうしたのその耳、その服装?まるで……」
「これね……正直に言うと驚かそうとして付けたジョーク商品の『なんちゃってエルフ耳』。
これでもマジックアイテムだがら、ぱっと視るとエルフにしか見えないだろ?服装は師匠のおさがりを貰ったのだけど。
驚かすタイミングのがして今に至る訳だ。」
俺がバツの悪い顔で言うと。
「ううん、驚いたけど意外と似合ってるからいいと思うよ?それよりさ、お腹空いから早く行こ?」
ミツの言葉を受けて受付のハーフエルフの方を見れば微笑ましい生暖かい目で見れていた。
「はは!若いですな、ですがもしエルフの国に行かれるなら”それはとても怒らせる行為”ですから辞めたほうが宜しいですぞ。」
「あはは……肝に銘じ(きもにめいじ)ときます。」
しかし若く見えるのにその言葉使いにまだ違和感がある。
この世界で一番困るのが見た目で年齢がわからない事だな。
受付のハーフエルフの男性は、ウエイトレスを呼び個室へと案内される。
「こちらがご予約された席となります、当店は平民の方でも気軽にをもっとうにしてますのでテーブルマナーは”音を起てずにと、手掴みで食べるのはパンのみとさせて頂いてます。
ですが当店や他お客様に迷惑を掛けるようなら……」
チラリと店の奥キッチンに目をやるウエイトレスに続き見れば、厳つい竜人に柔和な笑みを浮かべる人族の女性が居るが、どう考えても凄腕の騎士か上級冒険者の放つ気迫だ。
あれ見て騒ぎなんて起こすはずない。
「………すごく強そうな人達だね、先輩。」
「はは……多分ミレーヌさんの伝手でここにしたんだろうなー」
納得して個室に入り席に対面で座るとすぐコース料理が運ばれて来てミツとしばらくその味を堪能するが何故かミツは若干緊張してるようだ。
コース料理も最後デザートが出て来た時、ふと受付のハーフエルフが言っていた、物語が気になってミツに聞いてみる。
「ミツ、受付の人が言っていた物語ってなんの事だ?」
「え?も、物語?
あはは余り楽しくない悲しい物語だよ?
先輩は興味ないと思うし……気分も悪くなるから知らないほーがいいよ、それでも聴く?」
「うーんいいやミツは俺を思って言ってるんだし、それでせっかくミツとの食事が台無しになるもやだからな。」
苦笑いしながら言うとミツから不安が抜けたようだ。
「カエデ先輩は、本当に優しいね………。
あ、あのねカエデ先輩に伝えたいことがあるんだ……聞いてくれる?」
「うん?いいよ。どんな事?」
もしかして一緒に旅したいとかかな?でもそれは、流石にダメだけど、ミツはまだ13歳だ、親がいるならせめて16歳までは一緒に暮らした方がいい……。
俺は、親に友に、会いたい帰りたいのにそれが出来ない。
こんな寂しい思いはさせたくない。
「ずっとカエデ先輩の事が好きでした!
もちろん異性としてです!
カエデ先輩が旅立つと聞いてどうしても伝えたかったんです。」
「………………そうか………好きか。」
え?!マジで!!
******
──雇われ傭兵、バド──
「くそくそくそ!!あの貴族騙しやがったな!!」
俺は苛立ちに任せ路地裏に有った木箱を蹴飛ばし砕くが怒りは収まらない。
「おい、どうすんだよバド?このまま逃げるか?」
「んなのわな、出来るならやってるんだよ!バカ野郎ーー!!!
このまま逃げてみろ、貴族の野郎に罪をなすりつけられて、絞首刑いきだ!」
バカな事言う仲間に怒鳴り付け、胸ぐらを掴み上げるがんなことしても意味ないと押しやる。
「テメーらいいか?あの貴族は俺達で遊ぶ気だ。」
「え?!ちょっと待てよ、遊ぶのは、俺達が眠らせて運んだ女だろ?」
俺もそうだと思ってたがあの小僧が言ってたのが本当なら話しが変わる。
「違うんだよ!!いいかあの貴族は子爵であと少しの人目を引く活躍をすれば伯爵だと噂のゲース子爵だ。
”俺達なんだよ!”伯爵に成るための生贄は!!」
「う、嘘だ!」
「なー冗談だろ?!」
「もー終わりだ……ははは……。」
「……………。」
俺が気づいたのには理由がある。
昨日ゲース子爵から依頼をこなせれば俺達を裏の傭兵として好条件で雇うと言われ飛びつき受けたあと簡単な魔法契約をした。
だが先頃契約書を再確認すると魔力を通せば浮かぶサインが浮かばず偽物だと分かった。
死人に口無し、俺達が最後に女共を指定された場所に運んだ時を狙いなぶり殺しにされるだろう。
眠らせて運んぶ=見られる、聞かれるを防ぐ為。
犯人=俺は顔を見られ、ゲース子爵の事も知ってる、俺達が死ねば子爵は女共を救った英雄。
しかも、あっちで上位貴族の令嬢を攫ってるだろう。
功績を上げる為に……。
「へーーなるほどね、まー自業自得ね……女性を攫うなんて、バカで
アホな事するからよ。」
「「「だ、誰だ!?」」」
辺りを見渡したが誰もいない……。
空耳かと思ったその時、路地裏の道前後の空間がまるで水が流れるように崩れるとそこには、怒りと嫌悪感を抱く女たちが道を塞いでいた。
その数ざっと30名、冒険者や何故か主婦のような者もいる。
「あなた達の事情は分かったほんのすこーーしだけ同情するけどね……。
女性に手を出します罪の覚悟出来てるんでしょうね?」
「は!!女風情が男に勝てると思って………」
『あぁん!!』
ヒュゴ!!
「グフ?!!」
「「「ビル!!」」
周りの女共から一生に放たれた、風魔法が複数辺り虫の息になった仲間を見て青ざめる。
「……もう言いわね?此奴らのリーダー以外は痛い目に合わせてね。
私はリーダーに話があるからーーね?」
「は、ははは……俺は、ただでは終わらないぜ。」
俺達の運は尽きたようだ。
どこで間違えた?
俺は仲間の悲鳴を聞きながらもエルフに切りかかり、そこで意識を手放した。
次回は一週間後です。




