23話 事件解決!
お待たせしましたバトル回です。
俺達はギルドの前で騒ぎ、ルークは後詰めでヒエンさんら有名で目立つ人達と状況を見てくる予定だ。
今は北側の門に向かって移動中だが……。
「カエデって演劇力凄いんだね、本当に困って泣きそうな顔するんだもん。」
「まぁ~ね、といっても女性役での限定的な演技だから、あんまりしたく無いんだよな。
今回は相手を油断させた方が良いからしたけどさ。」
「でも、騒ぎ過ぎたかな?後ろから凄くぎらついた視線を凄く感じるから街から出たら直ぐに襲ってきそうだけど……」
アリスの意見は最もだ、後ろから10人程の欲にまみれた視線感じる。
予想以上にギルドの周りに張り込んでいた奴は多かった。
でも少しおかしくないか?いくら攫う事ができる絶好の機会でも動きが派手過ぎな気が……。
「あれだけ分かり易くついて来るなら、門の衛兵の人達に声掛けて注意して貰えば問題ないだろ、
多少は警戒されるけど”舌の森”に着くまでに襲われる事はなくなるだろう。」
舌の森というのは、この街近辺で良く冒険者が魔物を狩りに行く通称『選別の森』から舌のように森から突き出た、弱い魔物、スラム、クラッシュイノシシ、スライディングラビット、しか出ない場所の初心者向けの森だ。
選別の森というのは奥に行く事に魔物の強さが変わる事から付いた名称。
強い冒険者はこの街から見て反対側の狩猟と探索の街『ルア』からこの森に入り天然ダンジョンや遺跡、鉱物資源など様々な利益を求め入る森だ。
「そうだね、周りの人達も気付いて離れるし。」
アリスは狐の聖獣カムイを撫でて納得してくれた。
今回は、ルークに作戦の事をカムイに説明して貰って協力して貰う大事な役目がある、今回の作戦はカムイと俺の後輩達、ミツ、シュガーがいて初めて整理するからな。
じゃなければ”直接戦わないといけなくなる”。
そして門までたどり着くが案の定検問が行われて列をなしているが、どうやら出るほうは馬車などの人を隠せる場合のみが念入りに調べがされるようで徒歩の者達は身分の証明を提示すればいいだけのようだ。
もちろん怪しい者やマジックアイテム使用者は列から外され調べている。
「お、カエデじゃないか!一週間ぶりか、もう街を出たと思ってたが隣の別嬪さんは彼女か?」
「え?!いや、あの私は……」
「違うよ、マクさん師匠の新しい弟子で友人だよ!あんまりからかわないでくれ!アリスは男性が苦手みたいだから。」
「ほうほう……それは、ものすごい適任だなカエデ、アリスちゃんだったか?すまんな、からかってそれとこれから二人は魔物を狩りに行くのか?」
適任って……俺が女みたいだからか!未だに髭とか生えて来ないし声代わりは殆どしなかったが、俺だってもっと……!。
「あっはいこれから魔物を狩りに舌の森?というとこに行く予定です、ほらカエデぐれてないで言う事あるんでしょ。」
「き、気になんかしてないからな!それとマク!……気付いてるだろうが後ろの連中を頼むぞ……!」
俺が言うとマクは後ろを見て嫌そうな顔をする、いいきみだ。
「……お前ら何やったんだ、まっどうせアリスちゃんが抱えてる珍しい狐目当てのごろつきだろうが、任せろ!その代わりまた、お好み焼きってやつを食わせてくれよ。」
「え~~あれ面倒なんだけど。」
「ほら早く行った、後がつかえてるだろじゃあな!期待してるぞ。」
マクの言葉に促されて門をくぐり後ろを振り返るとすでに騒ぎが起きていた。
「わあぁ……なにあれ。」
「言いたい事は分かるよ、問われたからって暴れて逃げようとすれば、捕まるのは分かりそうなのにな阿呆としかいいようがないよな。」
「うん……あれは無い。」
一番最初にマクに問い詰められて暴れ取り押さえられたのを境に列から慌て逃げようするのを更に衛兵に取り押さられるという連鎖的に事が起きてるのを見て呆れてしまう。
そんな事が合ったが舌の森に無事に監視されながら到着した。
「ここからが本番だな、よろしくカムイ」
「お願いねカムイちゃんルークに言われたように威力抑えて魔物を倒してね」
「コン!」
カムイは『分かった!』と答えてアリスから、ちょこんと降り俺達の前をちょこちょこ、歩いて先導していくのを見て慌てて俺は横に並び足取りを合わせながら、ある魔法術式をセットしては、カムイに魔力を注いで貰い発動待機状態にする。
「うーん、何かしてるのは分かるけどやっぱり全然わからないねこれが前、ルークのファイヤーボールを同時発動してたのと同じ魔法なんだよね?」
「そっ、俺が良く使う魔法名が『スペルサークル』分かり易く言うと、俺が許可した者しか感じ取れない魔法陣を設置して魔力を流して貰えば後は好きなタイミングで発動できる。
今使える魔法では一番使いがってが良いな。」
「話しを聞くとそれって一度に発動すれば魔法の弾幕ができるよね。」
そうなんだよな、ルークと俺は前はしゃいで一度やらかした事があるあの時は大岩目掛けてルークの使える魔法を全発射して粉砕して大穴を空ける事件を起こした、今では底から水が溢れて街道沿いの小さな泉になり旅人の休憩場所に成ってる。
「出来るから隠さないと大変なんだよな。」
「カエデ……”もうやっちゃいました!”て顔に出てるよ。」
「クー!」
アリスは呆れて、カムイは『私もやりたい!』と言わんばかりに瞳をキラキラさせてるが多分やったら辺り一面溶岩の海になる……。
「カムイさんや、ごめん無理だから、そんな瞳で見ないでくれ。それとアリス師匠には黙っておいて下さい。」
「それは、いいけどほら魔物が近づいて来てるみたいだよ。」
「クー!?」
アリスが言った通りスライディングラビットが地面スレスレでカムイに向けて飛び蹴りを放ってきた。
スライディングラビット、長いのでスララビは足を狙って飛び蹴りを放って来る魔物で当たり所が悪いと足を骨折して酷い目に会うが幸いにも攻撃的な草食獣のため喰われはしないがそんな時に他の魔物に会えば終わる。
カムイは後ろに飛び退いて避けるがスララビはそのままスライディングして木にぶつかり『キュッ』とないて方向転換して襲って来るが今度はカムイがロックシュートをカウンターぎみにスララビに命中させる。
スララビはカムイの魔法が命中し絶命する。
「危なげだったが倒せたな。」
「うん、カムイちゃん良く粉砕せずに倒せたね、偉い偉い♪」
「クー♪」
……粉砕ね、俺が寝てる間に何が起きてたのやら。
「そうだ、アリスはなんで早く気付いたんだ?ルークと同じ位のタイミングで気付いくなんて凄いな。」
「それは、私が『エアーサーチ』常時魔法を発動してるからなのこの魔法で私の周り半径1メートルは魔力の動きを感じ取れるのよ。」
「あー俺が魔法練習で改良したやつね、確かにそれなら魔力が多ければ1日中発動しておけるな。」
エアーサーチは便利だがその分魔力消費が激しい魔法だったが、俺が改良してまんべんなく効果範囲に魔法を使うのではなく、蜘蛛の巣状に線で触れた物に反応するように簡略化した魔法だ。
俺は『コンファム』と『トゥルース・オルタレーション』の魔法で理解力から簡略化、最適化を初期魔法で練習して結構の数を改良したが、師匠に無闇に人に教えないようきつく言われた、俺がした事は秘伝級の事で世間では隠す傾向の事柄だそうだ。
広めたら『秘伝を盗んだだろ!』と騒ぎになるな……。
「やっぱり?カエデが改良したとしてないのでは使い易さが全然違うからそうだと思った。」
「でもいつ使ったんだ?気付かなかったけど?」
「試しに口ぱくで声出さずに魔法を唱えたら出来たよ?ミレーヌさんは”そんな方法が合ったのね”って誉めてくれたから、私がやったのが始めてみたいね。」
これは、声に出して唱える必要なくなる発見だな。
「でも私以外はやってみても上手くいかないみたいだからきっと不向きがあるんだと思うよ?それより早く進も?。」
「なるほどね、それじゃ少し森に入って西周りに外周を回ろうか、東側は流石にいけないけど仕方ないか、舌の森の切れ目で森の中心でみんなと合流だな。」
少し早足でカムイに魔物を倒すのを任せてどんどん進んでいた。
******
──舌の森中心部──
─安全地帯─
「よし到着、ここで休む振りをしばらくするぞ。」
「うん、分かった……」
しばらく疲れた振りをして休みを取りしばらくして監視してた者達が報告のためにいなくなるのを確認して森の一角に声を掛ける。
「もう良さそうだぞシュガー出て来てくれ。」
「ふー疲れたよ先輩、流石に長い事隠れてるとミツ姉を宥めるのは。」
「だってずっと隠れてるのはきついしカエデ先輩とアリスさんが仲良くしてるのを視てるのはもやもやするし……」
「それは、済まなかったかな?ほら今日は一緒に晩御飯を食べよう機嫌直して。」
「ほ、本当ですか!」
俺が頷くと顔を赤らめて嬉しそうだ、そんなみんなで食事するのが嬉しいのか。
「カエデ先輩と2人で食事……そしてその後は……きゃ!」
「カエデは意外と天然?」
「カエデ先輩は、相変わらずだね」
「おっ、これはふふふ、三角関係の予感か!」
「あらあら、若いっていいわね。」
ヒエンさんの仲間の身軽な装備の男性リーガさんと穏和な杖とローブの女性メーラさんは何か勘違いしてるが早く準備しないと。
「シュガーそろそろ準備だ、一緒に付いて来てくれ、ミツは奴らが動いたら知らせてくれ。」
「ほら、ミツ姉作戦開始だよ、現実に戻ってきて。」
「へ?あっ……わ、分かってるわよ!任せてカエデ先輩!」
ミツは瞳を閉じて魔力を集中したあと瞳を開ければ、黄緑色だった瞳は、銀色の瞳に変わる。
これが透視の魔眼、シルバーアイ制御の難しい魔眼ではあるが、見たい物意外を透過させる為森の中など障害物が合っても関係なく見える。
俺はシュガーと魔法の設置で周りを走り回り終わるとちょうどミツから声がかかる。
「カエデ先輩、来たよ!凄い数、武装した50人がばらけて森を囲うように入ってくる、それに東側に動かない20人程がいるよ!」
「?!数が思ったより多い……けどばらけたなら何とかなる!」
「リーガさんとメーラーさんは戦いの準備をアリスは弓で後方から狙撃、カムイ、ミツ、シュガーは俺の近くに『コンファム』!
ミツこれで仕掛けた場所分かるな?その位置を教えてくれ!」
「へ!また凄いのに出くわしたなだが依頼を受けた以上は真剣にやらないとな!」
「そうね、予想外なんて良くある事、防御は任せて!私は防ぐの上手いから。」
まずは仕掛けた魔法で数を減らす!
「南中心から4つ目、西端から2つ目の魔法陣に近づいたよ!」
「カムイ、任せた!」
「クー!!」
「凄い引っ掛かって穴に落ちたよ!」
「よし!!」
俺が設置した魔法は土魔法の『ピットホォール』4メートルまでの深さまで穴を開け魔法で普通は手の届く範囲しか効果範囲がないが俺の魔法と組み合わせれば遠隔化は簡単だ。
しかしやはり設置型のため引っ掛かかったのは6人程だったが次が本命だ!
「来たよ!次はシュガー、西端6つ目から10つ目まで!」
「任せて!『プラントバイント』!」
シュガーは、植物を操るユニーク魔法のプラントマジシャンだ。
けどそのせいで植物の精霊には嫌われている。
シュガーの魔法で縛り付けたのは結局は14人程で残り30名+20名の纏まった集団が相手か!
「オイ、どうなってる!2人と一匹じゃなかったのか!」
「す、すいあせん!でですが相手はたかが、6人こっちは50人ですぜ。」
「そうだな、それに楽しめそうな女が5人も要るこれは楽しみだ!」
その言葉に女性陣は顔をしかめ言った男を睨みつける。
5人か……見事に俺とシュガーも入ってるよな、はははは………ぶっちのめす!!
俺はミツと合図しあい男に突っ込み斬撃を放つ。
「ちっなかなかやるが、『ゲイルブレス』!」
男が中級風魔法を放つが残念、こっちはコンファムで放つのは先読み済みだ!
「な?!」
俺が避けるのを驚愕して動きが止まる。
「ハッ!」
ギン!!
「ダンナはやらせないぜ!」
俺の斬撃を横にいたドワーフの男がハンマーで受け止める。
「もらった!!ぐお?!」
「私を忘れたらだめでしょ!」
ミツは暴言を吐いた男に至近距離からロックシュートを放ち腹に命中させて吹き飛ばした。
「次はあんたの……!」
「ミツ!後ろに飛べ!!」
「ギャアアアア!」
俺達に魔法が複数放たれたのを感じ取り、飛び退いくと、土、風、闇のシュート系初級魔法がまとめてドワーフの男に命中する。
「なーに苦戦してるですか?君達はさっさと聖獣を捕まえて我ら邪神教の為に働きなさい!でないと契約不正律で死にますよ?」
「酷い、仲間を巻き込んで攻撃するなんて……。」
ミツの言葉に反応してこちらを向くと男はニヤリと笑う。
「はははは!!これは凄い!魔眼の持ち主が2人も!これは邪神様のお導きだ!!……捕らえろ!!」
「「「はっ!」」」
「ちっ!」
新たに現れた4人は邪神教ようだ、
しかも強い!
「シュガー!俺の隣に!」
「うん!!」
チラリとアリス達の方を見ればこちらよりは数は多いが何とかメーラーさんのバイント魔法とアースウォールで食い止めて一人ずつ倒しるがこちらにはこれそうにない。
全く予想以上過ぎて笑えてくる。
「アースバイント」
「ダークバイント」
「ウォーターバイント」
「くそ!」
「しつこいな!そんなだと女の子に嫌われるよ!」
「はははは!どうしました?逃げてないて攻撃したらどうです!
まっ出来ないなら大人しい捕まり栄えある魔族になりなさい!」
笑ってるのも今内だミツの表情が森の外側に向いた時から笑いを耐える顔になったんだからな。
「そろそろお遊びはお終いですよ、何せAランク冒険者と引けをとらない私が、グボバベ?!」
「はははは!!Aランクだってか!良いぜ相手になって……てもう終わりか?つまんねーな!」
邪神教の幹部らしき男は飛び出して来たヒエンさんの一撃で吹っ飛んで気絶した。
他者達はヒエンさん仲間達に拘束される。
「ヒエンさん!遅いですよ!何してたんですか?!」
「遅いって戦いになってから5分もたってないだろ?っと愚痴はクルルで間に合ってる、それよか襲って来た奴らはここだけか?」
後ろを向くと戦いは終わるところだったシュガーが設置した残りの魔法を全発動して縛り付けている。そうか……シュガーの魔法は射程が長かったな。
でも完全にヒエンさん達にバレたな。
「ななな、なんだあれ?!」
「あれは、カエデ先輩の魔法だよ凄いでしょう!」
「おー凄すぎだ……」
「そうだ!まだ東側に20人要るんだった!でもなんでか先に入った人達を倒してこっち来てるし私達を助けようとしてるのかな?心配顔出し。ヒエンさんがしてるブレスレットしてるし。」
最後のは関係ないと思うけど、確かに珍しい炎を模したブレスレットだけど。
「俺と同じ?……この字の傷、なるほどあいつか!よし嬢ちゃん案内してくれ!そいつらは良い奴らだ根っからの悪じゃない。」
「良い盗賊なの?それって義賊だ!!シュガー行くよ!ほら私達を義賊が待っている♪!」
「ちょ、ちょっとミツ姉引っ張らないで行くからお願い!首しまってる!」
そのままミツはヒエンさんを引き連れて歩いていってしまった。
「よ!こっちは終わったみてえだな。」
「まあな、後詰めの方はどうだ?」
「逃げてくる奴らはみんな捕まえて此処に運んでるぞ、街に入れるとまだ残ってる奴らの仲間に気付かれるからな、ここで尋問するとさ。」
なるほどね、安全地帯に集められる盗賊、邪神教の者達……しかしこうして見ると思う。
「多すぎだろ!!」
次回一週間後、他の勇者が登場お楽しみに!




