2話 最後の日常
─ 一年前地球 ─
「そんなに変わらないと思ってたけどいろいろ変わってるな」
バスから降りて久しぶりの村の様子はけっこう変わっていた。
2年前雑誌に村の神社の特集が載りそこから観光客が良く来るようになったため村の区間整理が薦められ神社までの道と土産物屋、バス停が居住区から離れた位置に作られていた。
「そのお陰で楓の家まで速くつけるから良かったよなあと今は観光客少ないからいいけど明日は休日だからカラーコンタクトはつけておかないと騒ぎになるぞ」
俺に話し掛けて来たこいつは八神祐一(やがみ、ゆういち)俺の従兄弟で中学校が家から遠いため祐一の家に居候させてもらった。
「そうだなきよつけるよ」
俺の瞳は他人と違う為、中1の前半、学校中から奇異の目で見られ疎外されていた。
俺の家は神社の近くにあるためすぐに到着した。
「ただいま母さん」
「お邪魔します」
「おかえり楓、あんたは身長去年と変わらないね、裕一くんようこそ。はやくあがって加奈さんまってるわよ」
母さんが満面の笑みで迎えてくれたが身長はよけいだ、裕一が170センチ、俺が160センチ、並ぶと差が大きく見える。それにしてもお婆…加奈さんがまってるというのな珍しい
いつも神社にいるのに。
「わかった呼ばれたのって俺と裕一もだよね?」
「楓だけよ裕一くんは居間でまっててね今
離れにいるから一緒にお茶うけ持ってね。」
「え…俺だけ?」
ポンと俺の肩に手がおかれた、裕一の顔はご愁傷様と語っていた
「入りなさい」
「失礼します!」
声に促さなれ久しぶりに加奈さんに会ったが
もう60歳近くになるというのに目は鋭く厳しめの顔立ち見掛け20代後半に見える俺の祖母(お婆ちゃんは禁句)礼儀作法に厳しいため逢うと緊張してしまう。
「私にご要とのことですが?」
「そうです貴方に渡す物があります、この指輪です」
祖母はそう言って身に付けていた指輪をはずし渡してきた。
「え…でもこの指輪は…」
「八神の家に代々伝わる魔除けの指輪です。貴方のような瞳をもつものは神隠しにあうと伝えられてます。」
「これがあれば神隠しにあわないってことですか?」
そんな迷信が有ったんだ。
「まさか、昔は時々《黄金の瞳》を宿して生まれる子はいたそうですがその珍しさから攫われてたので二度と起きないよう願って作られたのでしょうね」
祖母は現実主義だからそう思うのだろう俺もそうだけどね。
「よい機会ですから貴方に継承しましたが伝統は伝えて行くものくれぐれも失わないように貴方が成長して戻ってくるのをまってますから」
「え…あ!?わ分かりました!」
やはり祖母は怖い方です。
楓は大丈夫だろうか?時計を見ると16時だもう2時間は経っている、あの人外からなに言われるのか気になるな…
「お!無事…じゃなさそうだなどんな話しだったんだ?」
「それが話しを要約すると、『卒業後は必ず戻ってこい!』だとさあとこの指輪」
ずいぶん疲れてる感じだからもっとヤバい事だと思ったけど普通の話しだなだがあの人外からの威圧感はこたえるか…
「元から卒業したら戻ってくる予定だったんだろ?大学までは大丈夫だろうし気楽に考えればいいんだよ」
まあ楓が貰った指輪が首輪に見えるのは錯覚だよな?うん…
「そうだよな!来月から楽しい学生生活がまってるわけだし!でも今日は疲れたから早めに寝たいな明日から高校始まる2週間前まで神社の手伝いだし、あと次はお前に話しがあるって呼んでるぞ?」
そう言って楓は夕飯の手伝いに台所に行ってしまった。嘘は大抵見抜くあの人が…御方と話して無事に…は無理か。俺は重い足取りで向かっていった。