18話 不思議な出会い
─ブルーナ─
「シリカが私を呼びに何故来たのか聞けば、”ジュリエットが偶々あの閃光と音を聞いて彼女の事を心配して来たのを幸いに思い寝てるカエデを彼女に任せて来た”と説明でしたが私はそんな偶然は、有り得ない、むしろジュリエットが騒動の犯人と確信し、急ぎ戻っるもすでに手遅れでした。」
あれは人生の中で一番奇怪な光景でしたね……巨漢がルークと一緒に泡を吹き、白目を向いて失神するカエデの前で戸惑っているのは……
しばらく私とシリカは呆然として眺めるしかなかった。
「……ジュリエットってもしかしてトレジャーハンターのジュリエット?20年前にここでユニーク魔法『サーチ』を修得するまで教えてた娘よね?でも……」
「ええ……そんな望んで巨漢の男になるような娘ではなかったので、同名の別人かと思い聞けば、本人で迷宮の隠し部屋で見つけたリングがあまりに綺麗だったのでろくに調べもせず嵌めて、此の世で一番嫌いな人の姿に変えられる、呪いの指輪であると、外せなくなり気づいたようです。」
「なるほどな、あの時震えてたのは師匠の恐ろしさを知ってたからか、納得……あ!」
「ルーク……あとで何が納得なのか詳しく聞かせてもらいますよ。」
「うう……」
ルークは偶に思った事そのまま言う癖がありますね……騎士団に入ったら勇者の訓練と並行してその癖直してあげますかね……。
「なにやってるんだか……それでジュリエットさんでしたっけ?その人を呪ってた指輪とても凄そうなのをカエデが呪いを解いたあと結局どうなったんですか?」
「実は完全に呪いは解けていなかったんですよ……そうですね……例えていうなら氷が徐々に解けるように少しずつ呪いは解けてますから、完全解除まで数十日はかかりそうですね。」
カエデがどんな解呪魔法を使ったか分かりませんがあれは有り得ない解けかただ……。
「でも確かカエデさんがレベルアップで最近覚えのが『スペルギフト』の魔法よね?ならもしかしたら”リバウンド”を起こしてるんじゃ……」
「ああ……確実に起こしてるね……
カエデはまだ自ら新しい魔法を考えて生み出すほど己の魔法について理解してませんから、全く!あれほど死の危険がある意外は思いついても使うな!と言ったのに使うとは!下手したら魔法が使えなくなりますよ!!」
「リバウンド?それに魔法が使えなくなるなんて一大事じゃないですか!カエデ大丈夫なの?!」
「それは大丈夫だってカムイが言ってるぜ!カムイは、カエデからちゃんとルーンを含む美味しそうな魔力を感じるってよ!」
「コン!」
「「「え?!」」」
なんですか?!ルーンを含む魔力?
「ルークそれはどういう事ですか?!ルーン含む魔力?有り得ない!ルーンは魔法を使う時、精神と魔力、その他の条件で生成されるのですよ?!」
「いや……俺にはわかんねーけどカムイは、俺の魔力とカエデのルーンは最高の満腹感と美味しさがあって”あと半月は満腹で魔力は要らない”らしいと聞いた時一緒に教えてもらっただけだし、カエデならと納得してそのままだったからな~」
カエデだからと納得するルークもですが、カエデも大概ですね……魔力量測定が出来なかったのもルーン含む事で反応せず下手したらマジックアイテムが故障してた畏れもなるなんてね……。
「はぁ分かりましたカエデだからですね……それなら恐らく軽度で三日程は眠り続けますね……ですが一週間後、聖女ジュリーがいるヴァルハスに向かう予定ですからそれまでやれることをしますよ。」
「おお!そうだな……よしそんじゃ俺はちょっと走り込みをカムイとしてく……」
「その前に私とお話をしましょうかルーク。」
私の言葉に部屋を出て行ことしたルークは、ぎこちない動きでこちらに向き直り口をパクパクさせている。
「いやでもさ……ほら!カムイも走りたそうだしな、な!カムイ!」
「クー?……!コン!」
そう言うルークと裏腹にルークの狐の聖獣カムイは私の足元に来てルークに向き直り首を横に振る動作をする……意外に賢いですね。
「カムイ?!俺を裏切るのか?どうして!」
「ルーク……君の心情は理解しますが、カムイは問題を先送りするのは良くないと言ってるんですよ。
仮に今逃げてもあとで”何かが”倍になるだけですから、私はどちらでもいいですが、どうします?ルーク。」
「く!俺は間違ってたのか……カムイごめんな、裏切り者扱いして。」
「クー……コンコン!」
カムイはルークに近づきうんうんと首を揺りルークに前足でタシタシと叩く、カムイの動作が人間味溢れて、”分かってくれればいいんだ”と言っるように感じる、もしかしたら数年もすればルークより賢くなるのでは?
「……ぷっ、えっとそれでこれから一週間ですが魔法の訓練改めてお願いしますブルーナさん、ミレーヌさん!」
「そうね準備もあるから実質は5日間だけだし此処は夫と私で交代しながら教えていきましょ。」
「そうですねその方が効率がいい……その間ルークは身分有る者に対する礼儀作法の再訓練ですよいいですね!」
「イエッサー!!」
「コンコン!!」
ルークは時々カエデの影響なのか、面白い事言いますが、どこを目指してるんでしょうか……。
さて忙しく成りますね。
*******
──カエデ──
…………い。
お…………い。
か………で。
誰かが呼んでいる……あれ誰だろうでも懐かしい安心する声だ。
ゆっくりと目を開けたら俺がまだ5歳の時に家族旅行最中遭遇した火事で逃げ遅れた、知り合いでもない、外国の人を助けに火の中に俺が見守る中飛び込み、見事に10人を助け出したが最後は倒壊した建物の下敷きになり死んでしまった、爺ちゃんが居た……。
「爺ちゃん……ごめん俺情けない死に方しちゃった。」
「いいじゃよカエデ、お前はまだ死んでないのじゃから。」
あっ確かにあの時はどうてんしてたけど今冷静に考えれば絞め殺死されたにしては、傷みが少なかった。
「あれじゃここは?」
「ここか?そんなのどうでもいいだろ?それよりお前は早く帰らないと行けない……そのためにほら精霊と契約して」
うん?爺ちゃんこんな喋り方だったけ?考えてると突然フードで顔を隠したローブを羽織った人の姿をした女性が現れた。
「あら?意外と可愛いわね、タイプよ、うふふ。早速契約しましょう元いた場所に逝けるわ。」
「おお!ありがとう、でもアナタ声それにそのセリフどっかで聞いたような……」
「それよりほら早く時間がないぞ!契約したら魔力をその精霊に全て捧げるのじゃ!」
爺ちゃんに促されて契約し有りっ丈の魔力を流す。
「おお!漲って(みなぎ)来たわ」
「なっ?!そんな……お前は!」
魔力を注ぎ終わると精霊はみるみると姿をかえ俺を襲ったたOKAMAに変身した。
「ひっ!!た助けてお爺……?!お爺ちゃんまで!」
なんだこれ?!どうなってるんだ!
「「うふふ、もう逃がさないアナタも私の一部になるのよ!」」
「くっそぉぉぉ!」
「うるさい……気持ち悪い呪いは消えて……眠れないじゃない……」
絶対絶滅と思ったその時、声が聞こえ気づけば真っ白な空間に立ってはいたそして目の前には大量のルーン文字が明滅する光に球状にまとわりついているのが見えた……。
「もう、無理するから抵抗が弱まって呪われるのよ……無理はするなよ主よ、アナタだけの身体じゃないのだから……」
「喋った?!お前はなんなんだ?」
「私は……ごめんもうムリ主がもっともーと強く成ればまた会える……それまでお休み……」
その後急に意識が遠退き始め眠りに落ちた。
「あれ?此処はどこだ……確か絞め落とされて……駄目だ確かに夢を見たはずなのに思い出せない。」
「お!起きたかカエデ、良かったギリギリ間に合ったな!」
まだ少しボンヤリとしてると、ルークが部屋の入ってくる。
「俺どのくらい眠ってたんだ?それに部屋の様子変わってるし……」
「まる6日間眠ってたんだぜカエデ、お前リバウンド起こしてな……みんな心配してたんだぞ無茶するな!」
「うっすまん!あの時気が動転してて藁にも縋る……じゃなくてなんとか助かりたくてだな。」
危険性は散々師匠に聞いた冒険者が引退する理由第一位にある魔法が使えなくなるリバウンド……。
「理由は師匠も知ってるしカエデなら説教はしないほうが反省するからしないとさ、それと部屋が殺風景なのは、この家は当分の間使わないから備品はほぼ片付けたからだな。」
「ルーク、相変わらず説明下手だな、ワルキューレ騎士団の使者が来たの考えると、もしかして師匠に現役復帰の知らせが来たってとこか……それに師匠は良く俺の事解ってる、怒られた方がきがらくなのに……」
「怒られた方が気が重いだろ普通、カエデも相変わらずたな。」
「ほっとけ……」
その後はすぐ着替えてリビングにでると皆集まって紅茶を飲みながら話をしていた。
「ええ……ですから誰かに聞かれてもブルーナの弟子と言ってこの硬貨を見せれば能力の開示はしなくてすみます。」
「はい、分かりましたそうします。あ!カエデ目が覚めたのね!心配したんだよ!」
「ごめん皆、心配かけて……忠告されてたのにいざとなると駄目だな、もっと判断力をつけないとな。」
師匠もミレーヌさんもほんとに心配そうな顔にホッとした様子を見て不甲斐なさを感じる。
「カエデ、あの状況は例えAランク冒険者でもカエデと同じ事をするでしょうから思い詰めず、次に生かしなさい。」
「はい……ありがとうございます。
それとこの家を出るって本当ですか?」
まだアリスが来て一週間だ、魔法の訓練に戦闘訓練はどうすんだ?
「大丈夫よ、アリスちゃんは基礎を3日間で覚えて戦闘訓練もして充分、あとは実際に魔物と戦って経験を積むだけよ。」
「凄いな、俺は3ヶ月掛かったのに一週間でか!」
「これも勇者の加護が有るからだからかな。」
「それでも凄いだろ、まず魔力の感覚を掴むのに凄く時間掛かるのに俺の時は二週間掛かったからな。」
今までにない魔力の感覚にコントロールは非常に難しい、小さな頃から魔法と接する人でも二週間が最速だそうだ。
当然できない者もいる。
「あっそれはカエデのお陰なんだけどやっぱり気づいてないんだ……」
「え?」
詳しくミレーヌさんに聞くと俺がアリスに魔力を纏わせたのが原因だそうだ、信用出来ない者は使うなと言われてしまった……孤児院の子供に使ったが不味いか?一度様子をみよう。
「それでね今日がこの家に居られる最後の日に成るし、夫婦水入らずにしたいから私達三人は一足先に始まりの街『ファース』で1日過ごしそうと思うけどいいかな?」
「いいねそれ、そんじゃ俺とルークがアリスお嬢さまをエスコートしますかね。」
俺ちゃかして一礼して言うとアリスは少し赤くなりすぐ気づいたようだ。
「もうからわないでよ!でも街案内よろしくね、当然エスコートなんだからちゃんと奢ってよ。」
「ごめんごめんでも、アリスの容姿が整ってるから出来ればフード付ローブで顔を隠さないと今ファースは、勇者の友選定でゴロツキも居るだろうからイチャモン付けられるよ。」
「それは、大丈夫なようにちゃんと防具とマジックアイテムは揃えて有るから大丈夫よ。あとはカエデさんが気をつけて上げて。」
さすがだなそれにしてもミレーヌさんの表情はアリスを心配するより俺を心配するような……気のせいなのか?
「俺も大丈夫だぜどのみち一度冒険者ギルドによって変更手続きしないとな、アリスは冒険者登録だろ?そしたら一回魔物討伐行こうぜ!」
「クー!」
「さて……アリス気遣いありがとうでは明日昼頃には到着するので三人共問題を起こさないように。」
「そうよ特にルーク、アリスちゃん喧嘩はだめよ!」
「大丈夫だ俺から殴る事しないからな(カエデ、アリスを馬鹿にしたらぶっ飛ばすけどな!)。」
「そうですよ私は基本暴力は嫌いですよ?(身体触ろうとしたり女の子襲う所みたら潰すけどね)。」
不意に背筋が寒くなった2人共本当に大丈夫だろうか……。
そして準備が整い三人共出発、ルークがカムイと一緒に俺の後ろにアリスが横座りで馬に乗り上機嫌だ、ミレーヌさんとなにやら頬を染めて話していたようだがそのせいだろう。
でも何でこんなに嫌な予感しかしないんだ?2人から目を離すと不味い気がする……。
不安を抱きながらも始まりの街『ファース』を目指して進む。
次回も一週間後投稿です。




