17話 ホラーは二弾で落とすのが定番です
17話目お楽しみ下さい(笑)
──ブルーナ──
「どうですか?カエデの様子は……」
「それがすげーうなされてるんだよな……”奴が来る逃げないと……逃げないと……”って具合でな、ありぁトラウマ確定だな、それに下手したら俺があーなってたと思うとゾッとするぜ。」
「それについてもちろんちゃんと説明してくれるでしょアナタ、カエデさんに何があったの?」
「もちろんです、ただ聴いたあとカエデには、普段道理に接して上げ下さい。」
私はカエデに起こった偶然の重なりによる不幸についてミレーヌ、アリスに説明する事になったのです。
*****
話しは今日森に山菜を採り言った時に逆戻ります。
「ではここで別れて山菜と薬草の採集をしましょうか。」
「じゃ俺は湖がある方面にするかな、ついでに魚も捕ってくるよ。」
「カエデには次元の指輪が有るから大漁を期待してるぜ!俺は猪がよくでる西側にするぜ!」
「私はワルキューレ騎士団の定期連絡をする使者をこの場所で待たなければいけないのでそれが終わってからの採集ですから、今から、4時間程したらこの場所に集合するとしますか。」
「「はい」」
この時もし、カエデが魔法の使用していなかったら、魚を釣りに湖に向かわなかったら、悲劇は起きなかったでしょう……。
******
──カエデ──
昨日は疲れて夕食を食べ損ねたから今日は沢山食べたい、もう一つここ半年は魚を食べないという事で山菜・薬草を採集しながら湖に魚釣りに行く次元の指輪にはよく釣れる餌に釣り竿があり、大漁に捕れても指輪に収納すれば問題ない。
「そうだ誰も視てないなら魔法を使ってもいいな、ちょうど試したい事があったし。」
俺はコンファムを唱えて周りを見渡すと妖精の姿は見える、少し前までは見えなかったのに俺の魔法は進化するのか?
「やぁ、こんにちは俺の言葉わかる?」
妖精は俺の言葉が分からないのか問いかけに答えない、やっぱ精霊魔法士じゃないとだめか……。
そして何故か笑われて、哀れみの目で視られて心が痛い妖精が楽しい感情しかないというが嘘だと身を持って知った……やらなければ良かった……。
だが成果は他で現れた薬草など魔法薬の材料になる草はやどしているマナの量が違うようだたまにルーンを含む物も見かける、これらで調合した魔法薬、ポーションがどのくらいの効果となるかと思うと出来る事が広がりわくわくするな。
そうして採集しながら湖に向かって歩いてると妖精達が”ある一定方向から逃げて来てる”……。
「なんだ?向こうになにが……まさか邪心教?」
邪心教は魔族ではないため加護領域に入る事が出来るがやってる事が魔族のためのテロ行為ばかりの犯罪集団ここでも何かするつもりかもしれない。
「……これは、確かめた方がいいか、誰かいても見つからないように隠れればいい、無理して戦わずに師匠を呼びに戻れば問題ないだろう。」
俺は妖精達が逃げて来ている方向に向かって慎重に歩いて進んでいくと目指す場所が湖の奥、岩が丁度周りから姿を隠すように等間隔で配置された場所を目指してる事が分かった。
「いよいよきな臭いな……それに俺が釣りをするつもりだった岩場だ、先に分かって良かった。」
知らずに釣りをしてる最中に後ろから襲われてたかもしれないからな。
より一層警戒して進み湖の岸の近くまで来た時、意外な物を見つけた。
「女性者の服?何で……ああそっかなんだ湖で女性が水浴びしてるだけか緊張して損した。
覗くつもりもないし離れたとこで釣りするか……」
綺麗にたたまれたワンピースタイプの衣服とフード付きのマントが有り恐らく冒険者だろう、加護領域だからと一人で水浴びとはな。
「あれ?女性が一人で移動なんて冒険者でも普通するか?それに衣服が女性にしては、大きいような……。」
何故か違和感がある盗賊が出るかもしれないのに女性が一人なんてありえるか?水浴びしてるなら誰かに見張りをさせるのが普通だ。
「ふふふ……うふふふ……」
疑問に思ってた時、ずいぶんと男らしい低い声が湖の方から聞こえて来た、おかしい……聞こえて来た声の主が男性で恋仲でも一緒に水浴びなんてせず見張りに立つのが子供でも知ってる常識ここは街中ではない何が起きるか分からない森の中だよほどの頭の悪いバカップルなら別だが……。
「まさか?!女性が襲われてるのか?!」
水浴びの最中に襲われて口を抑えられているのなら、早く助けないと手遅れになる。
俺は湖に誰がいるか確認する時間も惜しみ、慌てて森を抜け湖の辺に出て大声を上げる。
「おらー!!強姦野郎!女性から離れやがれー!!俺がたお……して……??」
だがそこには一人しか存在してなかった背丈は230センチは、あるだろう身長に背中まで伸びた黒に薄く混ざる赤色の長髪。
その者は俺の声に反応してこちらを視て驚いて固まっている。
フッ……俺はとんでもない勘違いをしてたようだ。
「キアァァァァァァァ!!」
「ぎぁぁぁぁぁぁ!!!!?」
「乙女の水浴びを堂々と覗くなんてもうお嫁にいけない!!責任とって私を娶るんでしょね!」
「はぁぁぁ!!ふざけるな!!何で俺がお前の裸を見ただけで娶る事になるんだ!大体お前は……」
普通なら水浴びしてるとこに現れて裸を見たならそれ相応の責任が発生するだろうし俺も甘んじて罰を受けよう……。
だが今回はイレギュラー!例外中の例外!!逆に俺の方が精神に大きなダメージを負ったのだ、何故なら。
「お前はオッサンじゃないか!!何が乙女だ!寝言は寝て言え!!」
「あぁ!!だ・れ・がオッサンだって言ってるのかしら!坊や!だいたい私は……」
俺が聴いた声は間違いではなかったと言う事だ目の前のオッサンは先の特徴に追加でマッスルボディで青ヒゲ、顔は暑苦しいスポーツ男性のそれで口調と仕草が完全にO・KA・MAのそれだ。
元の世界ではそういう手合いの奴らには散々な目に遭わされた思い出しかないので早く逃げ出したい気持ちで一杯だ。
だがちゃんと話しをつけないとこの手合いはしつこく追い回してくる、最悪は武力行使してでも諦めさせてやる!
「あなた、なかなか可愛い顔と声してるわね~。うふふふ最初は誠意さえ見せてくれれば許すつもりだったけど……気が変わったわ~。」
「え?!何それ?ちょっと待とう話し合えば解りあえる、そうだ!!金貨5枚だす!それだけあれば俺なんかより良い人が見つかるはずだ!!」
ヤバい顔が興奮して朱く鼻息が粗いそして目が本気だ!血走っておられる!
「あなたほどの子はそうそうに逢えないわ~。そう……これも愛の運命大丈夫優しくしてあ・げ・る♡♡これで私は本当の自分になれるわ♪」
「お、お互いに愛のないお付き合いは、不幸になるだけ……アナタほど美しい方なら相思相愛の相手もすぐみつかるはずだ!俺も微力ながら協力しますから、早まらないでくれ!!」
「そっそんな!う、美しいだなんて……」
俺が言ったお世辞に顔を真っ赤にしてもじもじと体をくねらせる……
女性なら可愛いと思う動作をオッサンがするとただの精神攻撃しかならない、精神がガリガリ削れるのがわかる、集中しろ俺!!
「はぁはぁ私本気であなたに惚れてしまったわ、もう逃がさないわ、私と一緒になりましょう!!」
「ヒィィィィィ!!来るな!!責めて服を着てくれ!」
「もう仕方わね、うふふふちょっと待ってなさいすぐ着替えてくるわ。」
俺に流し目でウインクという精神攻撃して先ほどあった服のとこに歩いていった……………逃げろ、逃げるんだ!!でないと俺は色んな意味で死ぬ!
「うおおおおおおおお!!」
ドン!!
俺は脚力を強化して師匠の元に迂回しながら目指す!!そしてOKAMAというモンスターの討伐以来を俺の全財産を使い、ギルドに以来するんだ!!
「あらあら、なるほど捕まえて押し倒して欲しいなんて変わった性癖があるのね、それにアナタ、バーサークタイプの魔力強化なのね、魔力強化を集中して体を何倍にも強化出来るなんて……これはますます惚れたわ!!」
声の質が女性の者になっているが奴だ!!俺の本能が奴だと言っている!声と姿を偽ろうとも判る!
「捕まってたまるかー!!!!」
俺はさらに脚力を強化して次元の指輪からありったけの障害物を撒き散らす、煙り玉・閃光玉・薪の束などなどを……。
「きゃっやだ逃げられちゃうまって!!」
「誰が待つかー!!」
俺はなんとかモンスターを引き離す事に成功したようだ。
だが奴に油断は禁物!魔力強化は維持した状態で師匠の元に急ぐ、維ってくれ俺の魔力!!
*****
──ブルーナ──
私は、カエデ達が採集に森へ行ったあとから30分ほどした時ワルキューレ騎士団からの使者が到着し情報交換をしてました。
「ブルーナ様お会い出来て光栄です。私は第13隊諜報部所属のシリカ=ナークです、若輩者ですが以後お見知りおきを。」
「そう畏まる事はないですよ、”今は”ただ騎士団を辞めた隠居の身ですから。それで聖女はなんと言ってましたか?」
「はい、それでは失礼して」
彼女はイメージを相手にそのまま見せる事のできるナーク家の者でした、まあここで見せられた事は機密なので聞かないでください。
「………はぁ全く次から次へとエルフ使いの粗いですねジュリーは、”私の弟子達の実力を見たい”というお願いから次は勇者の訓練をするために騎士団に復帰しろですか……まあ忙しくなる時期ですから納得しましたが少し早いですね。」
「すいませんブルーナ様、ミラージュ様との家庭を崩すようで。」
「あなたが悪い訳ではないですから気にしないように、しかしまだミラージュの2つ名が残ってましたか……」
「それはもう女性騎士なら憧れる光と水で錯覚とアンデットを薙払う華麗な魔法剣を使うミレーヌ様は今も大人気です!」
「はははは!ミレーヌが聴いたら恥ずかしがるでしょうね、さて現在の情勢の話しをしてください、その後私からも話しをします」
「では現在各国は…………」
そこからは、情報交換に1時間ほど掛かってましたね、うん?ミレーヌが有名なミラージュ将軍だったのかって?
実は前回魔王軍との戦争時、私達は一人の将軍の補佐だったのですが将軍が毒殺される事件があり求心力のあったミレーヌが一時的に将軍代理になって指揮をとっていたのが話題になったのが真実なのですが、戦争後に私達は結婚して騎士団を辞めたのでミレーヌは将軍で引退となったのが真実ですね。
「以上で報告は終わりだね、それでシリカはヴァルハスに帰還するのですか?」
「えーと、それが聖女様から勧誘を頼まれた方と一緒に帰還する予定なのですがちょっと目を離した好きにどっかえ行ってしまわれてでも”始まりの街で会いましょう”という置き手紙があったので大丈夫だと思います。」
ドーン!バキバキ
「なっ!?閃光に煙り?あの方角は湖がある場所、カエデになにかあったのでは……」
「湖?あれジュリエットさんが確かそんな事言ったような……。」
「ジュリエット?それは……いえそれよりカエデが心配です。湖に向いますが、シリカあなたはここでカエデ、ルークが来るかもしれないのでまって私が湖に向かった事を伝えて待機させてください。」
「ブルーナ様大丈夫なのですか?ブルーナ様の身に何か合ったら……それにルークという方が来るのを待って2人で行ったほうが良いのでは?」
「それはだめです、カエデはよほどの危険がない時以外にあのように閃光玉・煙り玉を使わない、これは救援を求める合図にすると本人が言っていたので急いだほうがいい。
ですがカエデが錯乱して使った可能性もあるのでここに待機してもし2人以外の者が現れたら私に判るように合図してもらえますか?」
「では大きな音が出る爆音玉で合図します、お二人の容姿は知ってるので大丈夫、お気をつけてください。」
ここでもし私が待機してカエデが来るのを待っていたならもっと良い結果があったのだけが悔やまれます。
******
──ルーク──
「よーしそうだそのままこっちに来い。」
カエデと別れ俺は山菜をそこそこ取りあとは猪だ!木の上に乗り、カムイに追い立て役をしてもらって狩りの特訓だ!
「クー!!」
「ボォヒィ!」
「ハッ!」
ザシュ!
「………?!」
バタン
「ようし!よくやったぞ!カムイ!」
「クーン」
上手く土魔法を使い追い込んだカムイを誉めてやると喜んで尻尾と耳をパタパタさせてる、狩りしながら連携訓練、カエデの言うとこの一石二鳥ってやつだ。
「あとは血抜きをして師匠に次元の指輪に収納してもらえば……」
ドーン!!
「?!なんだ?あっちはカエデが行ってる湖!それに閃光と煙り……
緊急事態か!!どうする?カエデが手こずる相手なら俺が行ってもどうなるかわかんねーし……ここは師匠とこ戻ったほうがいいな。
よし行くぞカムイ!」
「コン!」
俺はとりあえず森を抜けて道に出るカエデがいる方角は道を挟んだ反対側、カエデなら師匠に助けを求めるだろうからここから向かっても入れ違いになる、俺は走り師匠のとこへ向かった。
******
──カエデ──
「はぁはぁやったもう少しで師匠との集合場所だ、師匠と2人でなら奴から確実に逃げれる、ルークも戻って来てる筈だ。」
息も絶え絶えに集合場所に近づくと一人の女性が見えた。
「まさか奴の仲間?……いやあのマントの間から見える服は騎士団の、良かったとりあえず事情を説明して師匠が居ない理由を聞かないと。」
ここでようやく魔力強化を止めて歩いて近づいていく。
「誰です!」
「俺はブルーナ師匠の弟子のカエデだ、湖でOKAMAという精神攻撃してくる化け物に遭遇して命かながらなんとか逃げてこれたんだ、師匠はどこに?」
「オカマ?それって男性だけど心は女性という方々の事ですか?」
なに言ってるんだ彼女はOKAMAはモンスターだろ!
「モンスターだ……」
「え?確かに変わった人達ですがモンスターでは……」
「モンスターだ!!」
「………あっ!なるほど大変だったんですね……分かります、でももう大丈夫ですあなたは一人じゃない。さっそこの木にもたれて休んで下さい精神が高ぶってるんです落ち着いたほうがいいです。」
慈しみを含む声と表情に涙が溢れてくる、そっか……俺疲れてるんだな。
「ありがとう、えっとあなたの名前は?」
「シリカです、カエデさんはいいから目を閉じて休んで下さい私が見張っておきますから。」
その言葉に木にもたれるとすぐに眠りという微睡みに落ちていく……。
「……………?!」
「…………………♪」
「…………………」
「…………………!」
タタタタタタ
あれ?誰かが来て走っていた?あーそーかルークが来てそのまま師匠を呼びに行ったのか……。
ムギュ
ああ姉さんか……よく寝てる時抱きしめてきた5歳離れた実の姉、いつも世界を飛び回る写真家で誰とも仲良くなる姉……うん?ちょっとまてここは異世界だぞ、シリカにしては、弾力があり過ぎるような……
じ、じゃあ誰なんだ?
目を開けたくない、声を聞いては行けないと思うも確かめないといけない……俺は意を決して目を開け俺を抱きしめているのが誰か確かめる。
「やっとつ・か・ま・え・た♡」
「ぎぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ離せぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ。」
「あん♪だめよ暴れちゃあっちの誰にも見つからない場所行きましょう。」
嫌だそんなの嫌だくそ!誰か助け……。
「………カエデ、なんで綺麗な女性と抱きしめてるんだ?」
「ルーク!こいつは……ふが!?」
「実は、この子が私を襲おうとした暴漢から助けてくれてね、この子にお礼がしたいから、そうね2時間ほどこの子借りていくわ。」
なに言ってるんだ!!ふざけるな!くそ早く気づけルーク!。
「そそうかカエデが……いや大丈夫だカエデ、俺が上手い事師匠言っておくからな!
?どうしたカムイそんなに警戒して?」
カムイ!お前なら分かってくれると信じ?!おい!ルークに撫でられたからって威嚇を辞めるな!
「クーン」
くそどうすれば!………?!これはなるほどこのタイミングで新たな魔法が浮かんだ、これが火事場の糞力、生存本能か、これなら!
「ぷは!『マジック・ディストラクション』」
「きゃっなに?やだ封印のネックレスが!」
「ぎぁぁぁぁぁぁぁ美女がオッサンになった!」
「ふはははは、やった成功だ!ルーク早く助けて……」
パキ……パキパキ、パリーン!
「あっ呪いの指輪が外れた……やった……やったわこれでオッサンの姿からおさらば!ありがとうカエデ♡」
ギュウウウウウ
「がががと、止めてくれやばい骨が折れ……」
グキ………
「「あっ……」」
ああ死んだおじいちゃん今そっちに逝くよ………
次回も一週間後物語もいよいよ本格的に始動し始めます。




