11話 大蛇ナーガとの戦い
読んでくれてる方ありがとうございます(^_^)ゞでは11話をお楽しみ下さい。
大蛇ナーガとの戦い、以前は師匠に戦闘技術などを教えて貰うだけでレベルが低かった為、なすすべなくやられたが今はレベルアップし魔力の保有量も増え、魔力による肉体強化も格段に向上した、難易度Bクラスの魔物は、レベル60が適性とされるそれを倒せるかは正直わからない……。
「シィルルルル!」
蜷局を巻き俺達を観察してくる。
「分かってるな!正面には立つなよ!」
「ああ!一瞬で呑み込まれちまうからな!」
俺達の観察が終わったのか、鎌首をもたげ俺達を呑み込まんと突っ込んでくる、
「シャアアアア!」
「うお?!」
「このっ!!」
突進して来る早さが異常で隙を見せれば一瞬でやられそうだ。
ザシュ
「ちっ固い、傷が少ししかつかねー!」
「ルーク!後ろ気をつけろ!」
「シャアアアア!」
ルークが攻撃を避け斬りつけるが傷が浅い、それが隙となり大蛇ナーガの身体がしなり尻尾の先端で打ちつける。
「ぐぅっ!やべー!!」
「まずい!ルーク!」
ルークは、どうにか剣を盾にして防いだが、飛ばされた先で大蛇ナーガが口を開けている、このままでは呑み込まれてしまう。
「この!……これでも呑み込んでおけ!」
俺は異次元の指輪から取り出した槍を、大蛇ナーガの口に向かって魔力で強度を上げ、投擲する。
「シャアッ?!」
「カエデ?!」
そのまま口内を貫いてくれれば楽だがそう上手くいかない、大蛇ナーガは、なんと槍を噛み砕いてしまった……がそれでいい。
「くらええ!!火炎刺貫つ!」
ルークは体勢を整え剣を腰だめに構え剣の切っ先に炎を灯し、大蛇ナーガが口を閉じた事で攻撃の手段を失った隙に飛ばされた勢いのまま、目を穿つ。
「シャアアアア!!!」
「くそ!!」
大蛇ナーガは目を貫かれて焼かれた痛みで暴れまわりルークを振り落とした。
「ルーク大丈夫か?」
「左腕をやられた感じだ……正直長期戦は無理だ、どうするカエデ?」
予定が少し狂った、もう少し弱らせて動きが鈍ってから仕掛ける筈だったがそうもいってられない……
「今から作戦開始だ、変更点は俺が奴の足止めと注意を引くからタイミングを視て、魔法を発動してくれ……正直何回撃てる?」
「今の俺だと撃てて2回、そしたら魔力切れで戦えなくなる」
この世界は基本、魔力で身体を強化して戦う、もちろん保有魔力量が多ければそれだけ強くなる、戦いの中、魔力切れになるのは死を意味する。
もちろんポーションやマジックポーションといった回復薬があるが、徐々にしか回復しない為、交代して戦う者が居ないと意味がない。
「今の内に魔法陣を展開するから、何時でも発動出来るよう待機してくれ。」
「カエデ……気をつけろよ、いくら
魔力強化が上手くても、まともに攻撃受けたら、一溜まりもないぞ」
最初、防げれば大丈夫では?と期待したが、ルークが上手くガードしてこのダメージでは、さすがに厳しいな……
「ま、やれるだけやるだけだ、コンファム……火・土の魔法陣、展開!」
俺の言葉を合図に魔法陣が描きだされる、前回のより小規模な物だがこれは火・土のルーンを押し固めたもので、火・土属性の全ての魔法がイメージ通りの威力で発動出来る……欠点は呪文を唱えないといけない、魔法陣から出てはいけない事だから余り戦闘向けではないが成功させなきゃ、勝てないだろう。
「いいか、ちゃんとイメージして唱えろよ?それが威力に繋がるからな」
「解ってるって、カエデ、ちゃんと足止めしろよ!」
「了解だ、そんじゃそろそろ行くか……」
そうも言って振り返ろうとした時ふとルークの横で浮かぶ一匹の妖精に目が止まる、凄く怒って大蛇ナーガを睨んでる、ルークと主従の契約をしたから、感情が芽生え始めたのかもしれないな(妖精は普通、楽しむ事意外は感情を出さないとされている)。
「シィルルルル!!」
もうダメージを回復したのかと見れば右目にルークの剣が刺さったままに成っているが怒りで痛みを忘れているようだ、このままだとルークが狙われるわけだが……。
「”お前の相手は俺だ!コチに来い!”」
俺は声に魔力をかなりの量を載せて言い放つ。
これは、声を発した者が強いと思わせ、注意を引く技法で主に盾持ちが行う、ゲームだとタゲ取りというやつだ。
「シャアアアア!」
「のわ!?」
ギリギリで避けれたが早い!もう魔力を温存なんて言ってられない。
体内の魔力を防御力はあと回しに脚力と腕力そして刀身の刃の部分に集中して注ぐ。
これで以て5分で魔力切れ、攻撃が当たれば即終わりだ。
再度突進してくるが、今度は余裕を以て避けて斬りつける。
イメージは肉を斬らず皮膚のみを斬るようにする、それ以上食い込ますと魔力強化は刃の部分だけのため、刀身が保たず折れてしまう。
ひたすら避けては斬り、を繰り返して動きを鈍らせ一撃を入れるチャンスを待つ訳だが、それは俺も同じ、精神的にも肉体的にも消耗が激しい……そしてこっちは時間がない。
そしてようやくチャンスが来る、大蛇ナーガは蜷局を巻き、飛びかかる最初と同じ動きを見せたこれを待ってたのだ!
異次元の指輪から何時でも”ある物”を取り出せるように準備する……
異次元の指輪は、取り出す物の大きさによりタイムラグがあるので、戦闘で活躍する者は少ない。
「シャアアアア!!」
大きく口を開け身体をしならせ突進、避ければ恐らく胴体で絡め取り締め殺すつもりだろう。
取り出すなら今だ!
バキ
「ジャャ?!」
タイミングギリギリで取り出す事に成功、取り出したのは大量の薪の束、口に放り込み、動きを大きく遅くする。
「今だ!ルーク!」
「”灼熱の岩の大蛇よ、我の意志に従い敵を討て”ラヴァー…………」
ドサ………
「え?ルーク?」
な…なんだ?!何が起きた?。
ルークの方を見ればルークが倒れ、代わりに妖精が魔法陣の中央でルークの魔力と、火・土のルーンをその身に吸収している……。
いったい、何が起きているんだ?!
そして光輝いて魔法陣が消失し、そこにいた者は……。
「コン!」
……子ぎつね?
尻尾と耳はルークと同じ赤毛、身体は、砂浜を想わす、黄褐色と赤毛が鮮やかに入り混じっている。
「フー!!」
呆けていると子ぎつねは、ファイヤーボール、ロックブラストを大蛇ナーガに打ち込むが、威力は最弱ほとんど効いてない。
あーこれ終わった、魔力での強化はもう2分も続かない、ルークは気絶で戦闘に参加不可に成って、おそらく妖精が子ぎつねに成っても戦力外、詰んだ……。
バキバキバキーン
「シャアアアア!」
大量の薪を噛み砕き自由になった大蛇ナーガ、また呑み込まれるのかやだな~。
「クーン、クーン、ク……」
バクン……
あっ子ぎつねが呑み込まれた、よほど鬱陶しかったのだろう。
大蛇ナーガに睨まれ動けないとこを襲われて、いくら死なないとはいえ、トラウマになる体験だ、次は俺の番か……。
「シャア?!ジァァー!」
今度は何だ?!大蛇ナーガが身を激しく動かし苦しみだした、まるで焼かれでもしたかのように……。
「シャアアアア……ア…ア……」
天に向かって吼えた次の瞬間、身体が炎を上げ爆散、身体があった場所には、ドロドロの溶岩があり中央に呑み込まれたはずの、子ぎつね……ま、さ、か、子ぎつねがあれを?!
「クーン、クーン」
子ぎつねは周りをキョロキョロ見たあと泣きながらルークの所に戻り、震えて寄り添っている……どうやら自分が大蛇ナーガを倒した事が分かってないようだ。
「……カエデ私が言いたい事分かりますか?」
師匠がもう慣れて諦めたという顔で近づいて来て質問た。
「さー何ですかね~」
分かってる……分かってるけど自覚したくない!
「人間卒業おめでとう、カエデは加護の力を与える大精霊並みの力を得ました。」
やっぱそうですか……自分チートという王道主人公ではなく、他人にチート能力を授ける神や精霊側ですか………。
「納得できねーーーー!!!」
俺の叫びと供に試練は終了。
師匠の新しい魔法を試すのは、ルークが起きてからとなった。
次回も来週日曜日に更新です。




