1/1
零
2003年09月19日 23時52分
街から離れた薄暗い古びた倉庫の中で、小さく時計の針の音だけがリズム良く刻まれていた
彼はもう力の入らない腕で石のように動かない己の体を小さく抱き締めた
何度も小さく息を吐き出しながら
ぼうっとした頭で今まであった一週間をもう昔のことのように思い出す
腕の中に顔を埋め、何度目かの溜め息をついた
遠くからサイレンの音が響いてきて、気づけば倉庫は明るい光で照らされていた
やれやれ
もう来ちゃったか
小さく口角を上げ、うっすらと笑みを浮かべながら
重たい足取りで光の漏れる扉へと向かう
彼がドアノブを回したと同時にまるで図ったかのように時計が鳴る
0時ちょうどに設定してあったアラームの音で
焦点の合わなかった目がようやく覚めたような気がした
明るく照らされて一瞬目が眩む、と同時に
今までのことが走馬灯のように頭に流れ込んできた
たかが1分、いやそんなに長くはなかった
なのに泣き出しそうになるのは自分が弱いからだろうか
もう戻れない
僕は
僕らは
人を殺した。