#2‥爆誕!セイリュウカイザー 前編
2-1日直日誌
10月17日(水)
記録者‥山田 実
今日は学校で転倒騒ぎがあって大変でした。自分も転びました。自分のせいじゃないのにたけぴーに笑われたのは悔しかったけど、牛島さんのパンツが見れたので良かったです。
記録者‥武田 健太郎
だーやまはひどいです。女の子のパンツは縞パンが最高にいいのに、だーやまは無地の白がいいとかわけのわからないことを言います。縞パン以外が好きな人の気持ちが分かりません。先生は女の子のパンツ何派ですか?
先生の欄
ふざけた罰としてあと1ヶ月日直をしてもらいます。武田君はもうちょっと人の好みを受け止められる器の大きい人間になりましょう。
♂♀
山「ちくしょおおお!」
武「先生のパンツの好みは!?」
放課後
友達の少ない忍は一人で歩いていた。
封縛巫女をしていることもあり、勿論部活には所属してない。
田んぼ道を通り、山の中の階段を上り、鳥居をくぐって、自宅に到着した。
『八空神社』彼の自宅である。
「ただいま~」
神社の本堂から少し離れた民家へ入る。自宅といっても神社に住んでるわけではなく、ちゃんとした家はある。
「おかえりなさい。」
奥から一人の女性が出てきた。『緒方 理乃』忍の母親である。もう40代だというのにスタイルがよく、顔も綺麗で、まさに「大和撫子」と呼ぶにふさわしい姿をしている。そんな彼女は自宅にいるというのに巫女服を身に纏っていた。
「魔力を感じたけど、大丈夫だった?」
と言って理乃は柔らかくほほえんだ。
「うん。ちゃんと封縛したから安心して。」
そう言って学ランの内ポケットからかげぬいのカードを取り出し理乃に渡した。
「封縛したのは美穂だったけど、使役系の俺が持ってたほうがいいって言ってくれた。」
「うそ…これ封縛したの?」
理乃は目を丸くしていた。
「うん、影と影の間を移動されて大変だったけど、美穂がクナイで固定したら動けなくなって、そのまま封縛したの。」
「ふふ…さすが戦闘系の火憐ちゃんね。忍も男の子なんだからがんばらなきゃ!」
微笑みながらカードを受け取った。
「…もともとこの仕事は女のすることじゃん。」
忍は不満そうに頬を膨らませた。
本来、封縛巫女は古来から女がするものであった。だが忍は訳あってこの仕事をしているのである。
そして封縛巫女には2種類のタイプがある。
1つは『使役系』
これは封縛した封魔を召喚して、それを操り封魔と戦わせ、封縛の手伝いをさせるタイプである。体力に自信のない輝はこのタイプである。
もう1つは『戦闘系』
これは封魔の力を使う使役系とは対照的に、武器などの札を使い自らが封魔と戦うタイプである。自分から積極的に動く戦闘スタイルの美穂はこのタイプである。
「じゃ、札の調整よろしくね。」
いいながら理乃に札を渡し、自分の部屋にはいった。
封魔を封印した札『封縛札』は、封印したらすぐに使えるわけではない。ちゃんと封魔の魔力を0にしてからでないと、言うことを聞かずに召喚したときにまた暴れ出す可能性があるためである。しかも今回のように無理矢理封縛した札は尚更である。
「街の様子みてくるね。」
ジーパンとTシャツに着替えた忍はそう言って外に出た。
封魔はいつ、どこに出るか分からない。なので封縛巫女に休みはない。
美穂もまた何処かをパトロール中であろう。
♂♀
「ふふふ~んふふふ~ん」
紺地に水色のラインのジャージを着た少女が商店街を歩いていた。
肩にはマイバットが突き刺さったエナメルを提げている。輝である。
「こんどこそみんなをギャフンと言わせてやるぞ~」
そういって手に持っていたチラシを見た
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空ヶ丘ブルーバーズ募集!!
君もプロの選手が戦った舞台「スーパーリーグ」でプレーしてみないか!?
対象
中学1~2年男女
経験、未経験は問いません。
詳しくは板東バッティングセンター(0986-¥¥-@@@@)まで
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このチラシにもあるように、輝はこの「空ヶ丘ブルーバーズ」に入団する気なのである。おそらく今からバッティングセンターに行き、その場で入団の話を決めるつもりなのであろう。
輝はとびきりの笑顔である。
そんな調子で足取り軽く歩いてたら、人にぶつかってしまった。
「あっごめんなさい!」
チラシから目を離し、ぶつかった男性に謝った。
「………」
だが、謝られた男性は返事もせずに誰かを追うように歩きだした。
その目は誰かを恨み殺すような気味の悪い光を帯びていた。
「なにあの人。」
通り過ぎた男を一瞥してから、また歩き出した。
少し急ぎ足で曲がり角を曲がった。
前方をよく注意してなかったせいか、また人にぶつかった。
「ぎゃぁ!」
そして、今朝忍にやったように、また人を突き飛ばしてしまった。
「あっごめんなさい!」
手を差し伸べた相手は、茶髪のポニーテールの少年だった。
「忍君!?」
「ごごごごめんなさい!」
何故か忍は輝の手助けも構わず、急いで立ち上がった。
輝はうーんと考えてから、はっと思い出したように言った。
「今日のこと気にしてる?」
「う」
図星。忍はばつの悪そうな顔をしてた。
その表情を見て輝は大爆笑していた。
「あ~っはっはっはっ…。もう終わった試合なんだから気にしてないよ!」
「え?」
忍は輝を見上げた。実は、忍の身長は149cm、輝の身長は160cmと、輝の方が高い。
「だって、試合の後言っておいたし、前の試合のことクヨクヨ言っても仕方ないじゃん!」
まぶしい笑顔だった。少なくとも忍はそう感じた。綺麗に生えそろった白い歯が眩しかった。
忍の顔は真っ赤になった。
「ん?どうしたの?」
「なっなんでも…」
忍は人と話すのが苦手だ。こうやって二人で話をしていると、自分からどんな言葉を発すればいいのか分からなくなるのである。特に女子と話す時は。
「うーん…それじゃあね-。」
輝は白とピンクのエナメルの中を漁って、茶色い物体を取り出した。
「あげる!おいしいよ!」
それはいかゲソのスルメだった。
「じゃ、急いでるからまた明日!」
それを忍の手に握らせ、忍が来た曲がり角を曲がった。
「…なんか格好いいなぁ~。」
そう言って渡されたスルメをかじった。
ほんのりとしょっぱくておいしかった。
♂♀
輝は板東バッティングセンターについた。
手動の押しドアを勢いよく開けた。中に人は全くいなかった。
周りを見渡す。
ロビーのようになっている広場の左に自販機が二台、ドアから正面のところに5つのヘルメットが棚に陳列されていて、その棚の後ろがバッターボックスになっている。右を向くと、バッティングマシンを使用するための券売所があり、その中に一人の男性が座っていた。無情髭を生やしていて、かったるそうな顔をしていた。いかにも輝の知りたい情報を知らなさそうであった。
「あの~このチラシを見てきたんですけど…」
だが誰も人がいないのでとりあえずその男性に話しかけてみた。
「ん?」
輝が差し出したチラシを受け取り、眺め、そしてまた輝を見た。
(あれ…この娘シュン坊の言ぅとった…)
一回考えたような顔をしてから彼は口を開いた。
「ほお。分かった。結構時間かかると思うけどついてき。」
そういって関西訛りの男性は輝を券売所の中に導いた。
「え?」
怪しみながらも輝は券売所の中に入った。
男性は左腕に装着していたブレスのボタンを押した。
刹那、空間が歪み、別の場所へ転送された。
「おーい。シュン坊、桜、なっちー、教官。居ったよー。」
そこは、よく特撮物の番組で見るような秘密基地のような場所だった。
「にゃぁああああ!きゃわい娘キターーーーーー!」
いきなり少女がものすごい勢いで抱きついてきた。だが、輝はビクともしなかった。
「お~足腰ええなぁ…」
輝を連れてきた男性は感嘆の声をあげていた。
その少女は、まるで猫娘のようだった。背は輝よりも低く、猫目で、黒いショートヘアーはネコ耳のようにハネている。1高と描かれた校章がついた制服をきているところから高校生ということが分かった。
「もー、初対面の子にだきついちゃ駄目でしょ。びっくりさせちゃ逃げられちゃうでしょ?」
司令デスクのようなところから一人の女性が出てきた。
メチャクチャ美人だった。スレンダーで、顔は綺麗に整っている。まるでモデルか女優のようだった。
そんな女性がOLの格好をしているから世の中は分からない。
「よう。輝ちゃん。」
「きゃああ!」
輝は背後からの声に驚いて飛び上がった。その拍子に猫娘を吹っ飛ばしてしまった。
「にぎゃ!」
猫娘は真ん中の円形のデスクの上に不時着した。
「足腰良くてパワーもあるのか…育て甲斐ありそうやなぁ、」
関西弁の男は髭を触りながら輝をニヤニヤ眺めていた。
「え?俊…君…」
輝が振り向くと、よく見慣れた人物が、見慣れない表情で立っていた。
小谷野 俊
いつも暗く、パソコンやスマホ、ネットなどの事に詳しいオタッキー少年。そんな彼がメガネを外し、髪をセットして、制服と学ランを格好良く着こなし、作り物じゃないイケメンスマイルで輝の目の前にいた。
「『空ヶ丘ブルーバーズ』へようこそ!広瀬 輝…いや、『セイリュウカイザー』!」
俊は輝に手を差し伸べた。
「え?え?」
え
「ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!」
続くっ!
ごめんなさい。またしてもこれだけしか書けませんでした。どれもこれもクッソみたいな動画ばっか作ってるから!反省してます。
次回からの参考にしたいので、感想、ダメ出し。よろしくお願いします。