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封縛Ceal  作者: 千藤 光
1/9

#0‥いつもの午前中

始まりました。千藤光初の一次です。(パイロット版を除いて)

このサイトで投稿するのはいつ以来だったか…。

かなり文章はひどいことになってますが上手くなるように精進していこうと思っているのでどうか大目に見てください。

この回はあくまでプロローグなので、バトルやら何やらはまだ出ませんのでご了承ください。

「昨日のあれヤバイよねー!!」


(邪魔だ。)


「ちょーヤバイよねピャアーーー!」


「だよねだよねーー!」


「ぴゃあああーーー!」


「やばいぃーーー!」



(入り口を塞いで騒ぐなよ…)


「ヤバイよねーーぴゃあーーー!」


「昨日のあれヤバイぃーー」


(で、さっきから何がやばいんだよ。主語をつけて話せよ…)


教室の後ろ側の入り口前で少年は立ち尽くしていた。


6人くらいの女子が入り口を塞いでわけもなく騒いでいる。よくある光景である。


「あの…ちょっと…」


「ぎゃああーーぴゃあああーー!」


「チョーやばいぃーー!!」


「……」


声をかけようとするが今時の女子中学生の勢いに押されて思わず口をつぐんでしまった。


(どうしよ…)


丁寧に手入れされた少年のポニーテールの髪がふわりとゆれる。


(前の入り口は?)


「昨日のアレまじエロかったよな!」


「だよな!チョーエロイ!」


「エロイよな!」


「エロイエロイ」


(だから主語つけろっての。)


前の入り口も状況は同じであった。


「どうしよう。」


朝のHRが始まるまで残り1分となっていた。


「ぅゎぁぁぁぁああ遅刻だああああああああ」


ヤバイ女子の群れの前でうろついていたら廊下から声とともに少女が迫ってきた。


「わわわわわぶつかるーーー!」


エナメルを肩から提げた短髪の少女にタックルされた。


「うわああっ」


少年はそのまま吹っ飛ばされてヤバ女の群れに突っ込んでいって、その中の3人くらいを倒してしまった。


「「「きゃああああっ!」」」


「ちょっと何すんのよこの変態!」


「えっ俺!?ぐほあっ」


倒されてない少女から腹に蹴りをもらってしまった。


「なに?マジキモい!」


「いやぁ~!」


「来ないでよ!」


「チョーヤバイ!」


さすが今時の女子中学生。言いたい放題である。


「いや…俺は別に…」


「別に何!?」


「いいわけしないでよ変態!」


「……」


また勢いに押されて口をつぐんでしまった。


「よっしゃセーーーーフっ!」


いきなりさっきの少女が群れのど真ん中で明るい声をあげた。



「……………」

「……………」

「……………」

「……………」

「……………」

「……………」


「ごっめーーん。急いでたら忍くん吹っ飛ばしちゃってさー!だからもう許してあげて!」


そう言ってぐいっとポニテの少年の腕を引っ張り起き上がらせた。


「っつ…」


少年の頬が少し赤くなった。


「ご…ごめん…」


群れの中の一人が謝る。


「じゃ、行こ、忍くん。」


そしてそのまま腕を引っ張りその場を立ち去る。


忍はちらっと後ろを見た。


「なにあいつ」


「やっぱうざいよねー」


「声が大きいって。」


(…男で良かった。)


気に入らないやつをのけ者にする。これもよくあることである。


知ってか知らずか少女はニコニコしてた。


「そういえば昨日のメッツ戦見た?」


「へっ?野球?」


急に話をふられ焦る。


「いやぁ~昨日坂本様が攻守に大活躍でさぁ~、打線も繋がったし、継投もうまくいったし、3本もホームラン出たしもう最高だったよね~」


もう自分のことかのように目を輝かせながらまくし立てた。


「あの…俺あんま野球の事詳しくないんだ…」


忍は自分の席に逃げようとした。



「じゃあ今日4チャンで南海戦あるから絶対見て!今日の先発は沢村選手だから!ストレートのキレがすごいんだよ~!それからねそれからね…」


捕まってしまった。


「え?え??」


「おらー席につけ-」


聞き慣れない人名とワードに混乱していると先生が入ってきたので一旦解放されるかたちとなった。






「はぁ~」


ため息をつきながら席についたこの少年。名前を『緒方おがた しのぶ』と言う。顔は女子と見間違えるほど美麗で、髪も女子よりも綺麗なセミロングをポニテにしている。だが、内気な性格なのでコミュニケーション能力はかなり低い。


「朝っぱらからおつかれっさん!」


バンと忍の背中を叩いた。


「っててて。鶴岡くん…」


「だから名前でいいって」


またバンと忍の背中を叩く。


「ごはっ!」


彼の名は『鶴岡つるおか 誠一せいいち』忍の数少ない友人のうちの一人である。がっちりした体型で、優しくて喧嘩も強く、社交的なため、友達が沢山いる。忍もまたその中の一人である。


「女子と手を繋ぐとかリア充爆発しろ」


「ええ?」


忍の席の後ろから声がした。この声の主は『小谷野こやのしゅん』オタク。その一言で片付く人間である。忍同様に髪は長いが、忍と違い手入れなど全くせずにただ伸ばしてるだけである。鶴岡と忍と3人が共通して好きな漫画のおかげ忍と仲良くしている。


「別にリア充とかなんかじゃ…」


「僕なんか女子に声かけるだけで嫌がられるんだ。比較すんなks」


「俺だってさっき…」


「はいはいワロスワロス」


「ってかお前のリア充の基準って何だよ?」


鶴岡も話しに加わる。


「女子が半径3m以内に入ってきたら」


黒縁のメガネが意味なく光る。


「お前なぁ…」


「はぁ~」


そして、忍は向き直りさっき握られた手を見つめた。



-----じゃ、行こ、忍くん


「……」


頬がほんのりと染まった。


ただ嬉しかった。自分みたいな人間の手を握ってくれたことが。


そしてさっきの少女の方を向いた。


(かわいいなぁ)


逆側の席で、やはりその少女は友人と会話していた。



「聞いて聞いて美穂ちゃん!昨日メッツすごかったんだよ!」


やはりその少女は野球の話をしていた。


「うん。衛星放送のやつでしょ?見てたわ。あんまりルール知らないからよく分かんなかったけど、18番の人が1番すごいの?輝?」


「うーん、杉内さんも昨日完封したからすごいけど、やっぱ昨日2打点あげてる坂本様が1番かな~?」


うっとりしながら昨日のメッツ戦を振り返ってるこの少女。名を『広瀬ひろせ あきら』という。髪をうなじのところで綺麗に切りそろえていて、活発そうなイメージがある。


そして、話の相手のこの少女は『野村のむら 美穂みほ』。輝とは対照的に綺麗な黒髪を二つにまとめて後ろに垂らしていて、落ち着いた雰囲気の少女である。


「そうなんだぁ。あ、そういえば昨日貸した『三日月の魔道士』どうだった?」


「う~ん…なんか魔法とかキャラクターとか多すぎて難しかったかなー。」


「そっか。でも難しいのは最初だけで、読み進めていくうちに面白くなっていくって!水星ジュピター使いのサクタってキャラがかっこいいのよ!」




「鶴岡!小谷野!緒方!広瀬!野村!先生が話してるときにはしゃべるな!」


鶴「わっ、はい!」


小「ちっ」


緒「俺も!?」


広「見つかっちゃった」


野「はい…」



この5人、朝のHRの最中に話してたため、当然担任に注意された。


「じゃあ鶴岡、先生が今いったことを言ってみろ。」


HRの最中が始まったときから話も聞かずにリア充談義をしていたものだから、無理な話である。しかし、悪いのは鶴岡を含む5人である。


「今日の給食はカレーだけど、昨日の晩もカレーだったからテンション下がるって話ですよね!」



ハハハハハハハハ



クラス中に笑い声が響く。


「違う!誰も給食の話なんてしてない!野村、お前言ってみろ。」


「昨日の晩はトンカツだったんですよね?」


「だから違う!」


ハハハハハハハハ


またクラスが笑いに包まれる。ちなみに美穂の今の発言は素である。


「いいか?俺が言ってたのは、最近原因不明の人身事故や障害事件が多いから行き帰りは気をつけろって話をしてたんだ!いいな?」


そう言って担任の銀縁メガネの教師は5人を見渡した。この時、5人のうち、3人…忍、俊、美穂の3人の顔がわずかにひきつったが40代後半にさしかかってる教師はこのことに気づいてなかった。




「堀内せんせー」


言い終わってすぐ、輝が挙手した。いきなりのことだったので全員が輝の方向を向いた。



「昨日の晩ご飯って何だったんですか-!」


ハハハハハハハハ


また笑い声が上がるだが、笑ってるのは男子と一部の女子だけである。


「そんなのどうでもいいだろ!伊藤、号令。」


「オムライス」


聞こえたのは号令ではなく、俊の小さく、はっきりと聞こえるつぶやきであった。クラスがシンとなった。


「今日ゎ自分で料理ぉしてみたょ♡かゎぃくできたから食べるのもったぃなぃ(><)」


ピンと張り詰めていた空気がまさかの発言で、一気にぷつりと切れた。クラスに様々な種類のざわめきが響く。


俊はいい笑顔で先生を見た。先生は青ざめてた。


「き、起立、礼!」


学級委員長の伊藤のとっさの判断でなんとか波乱のHRは終了した。


終了と同時の堀内はそそくさと職員室へと戻っていった。


「今の何だよ?」


にやにやしながら鶴岡が俊の肩に手をおいて顔をのぞき込んだ。鶴岡以外にも何人か集まってきていた。


俊は無言でiPhoneの画面を集まってる連中に見せた


画面はツイッターのとある”女の子”のつぶやきだった。



_________________________


りんりん@ryuhyonnlove



今日ゎ自分で料理ぉしてみたよ♡

かゎぃくできたから食べるのもったいなぃ(><)





_________________________





「ちょっと先生のスマホに忍び込んだら先生の垢見つけてさ、使えるかなーっておもってスクショしてた。」


「お前ちょっとコンビニ行く感覚でハッキングとかすんなよ」


鶴岡のその一言でその場にいた全員が固まった。


「堀内ネカマだったんだ。しかもかなりハードな。みんなも気をつけてね。」


そう言って俊はその場から離れた。


「こええ…」


「俊には逆らえないじゃん」


それぞれの感想が漏れる…



「そうだ!今日1時間目から体育だ!」


いきなり放った鶴岡のその一言で集まっていたみんなは自分の体育服を掴み着替えはじめた。




「今日はソフトボールだから気合い入れていくぞ~!」


輝は張り切っているのか、男子がいるにも関わらず着替え始めた。言うまでもなく彼女は野球少女。それも、自己紹介で「野球が恋人です!」といえるほどの。


「坂本様になるぞ~!」


野球少女はエナメルからマイグラブを引っ張り出し、勢いよくグラウンドへ駆けていった。



その少女を監視してる球体があったとも知らず…



♂♀




「ボール。フォアボール!」



(よかった。下手なことする羽目にならなくて。)


フォアボールを選んだ6番打者の忍がバットをそっと置き、一塁ベースに向かう。



「よっしゃー!打点あげるぞー!」


そして置かれたバットを拾った輝が打席に向かう。


「ワキを締めて…」


女の子とは思えない綺麗で洗練されたようなフォームで構える。このフォームは輝が憧れている坂本選手の構えをコピーしたものである。


「気合いはいってんなー」


ピッチャーの伊藤がマウンド上でボールをもてあそんでいる。


状況は2回の裏、1-0、1アウト一塁。大きなヒットが出れば同点、あわよくば逆転というなかなかのいいシチュエーションである。


「来い!」


輝の瞳が燃える。


「こういうやる気にあふれてる子がクラスに一人いると頼もしいね-」


伊藤がわずかに笑う。


「でも、こっちも負けるわけにはいかないんで…ねっ。」


ピッチャーから下手投げでボールが放たれる。


「もらったぁぁ!」


これまた女のものとは思えない丁寧かつ豪快なスイングでレフト線いっぱいにかっ飛ばした。



「レフト!」


伊藤が打球を目で追いながら叫ぶ


「オッケー!」


レフトに入っていた鶴岡が打球をジャンプして止めようとする。


だが、



ザッ



「抜けたぁ!」



惜しくもボール1個分グラブに届かず、打球は地面に落ちた。



輝はすでに一塁を蹴っていた。ボールは校庭の奥深くまで転がっていった。



「よし!ランニングホームランだ!」



二塁ベースを目指そうとしたその時、事件が起こった。




「ってわわわわわわ!何で止まってんの!?」



忍が二塁ベースにぼーっと突っ立っていたのだ。


「え?え??」



「大和!中継」



ボールを拾った鶴岡がショートの守備についていた少年に返球した。



「やっば!」


輝はアクセル全開にしてた足に急ブレーキをかけ、きびすを返し急いで一塁ベースに引き返した。



パン


振り返ると同時にボールがショートのグラブに収まる。


(嘘!あいつどんだけ肩強いの!?)


驚くのも無理はない。ボールはランニングホームランにするには十分な距離まで飛んでいたのだ。



「井上!」



そんなことを考えてるうちにボールが一塁手に投げられる。



「りゃあっ」


輝はおもいっきりヘッドスライディングした。


パン


ズサササーーーー


ベースをタッチする感触より先に乾いた音が聞こえた。


「アウトぉ!」


ホーム側から審判をしていた体育教師の叫びが聞こえた。


「ナイス判断!ツル!」


レフト側に叫びながら井上はボールをピッチャーに返した。


鶴岡は笑顔でVサインをしていた。


「あー…せっかく打ったヒットがゴロに…どれもこれもブツブツ…」


レフトとは打って変わって輝は不満そうな表情で帰ってきた。



(またやっちゃった…もうやだ…)


忍は二塁ベースでがっくり肩を落とした。






結局1~2限を使って行われた試合は忍がやらかした意外には特に何事もなく、野球部と一部の運動神経のいい奴を中心にゲームが進んで、6-7でチャイムが鳴った。





「ちょっと!」


挨拶を終えて早々、輝は忍をひっつかまえた。


「え?な、何?」


「何であそこで止まったの!?」


「え、いや…だって…」


迫力に押されてしまい後ずさる


「だってもヘチマもないよ!あの場面だったらどんな人間でもホームまで突っ込むよ!」


「で、でも、俺…運動神経ないからアウトになっちゃう…」


この少年、女の子に泣かされそうになってる。情けない。


「だからレフト線の奥深くに落ちたんだから誰がどう見ても…」


「???」


訳の分からない専門用語が出てきてそろそろ忍がパニックになろうとしていたその時だった。


「いい加減にしろてめぇら!」


二人の間に鶴岡が入ってきた。


「輝!」


最初に輝の方に岩石のような顔を向けた


「お前のそのやる気は認めるけどな、コイツがスポーツが苦手って分かるだろ?お前のタイムリーをレフトゴロにされて頭にきてんのはわかるけどよぉ、そこまで責める必要ないだろ?分かったか?」


「う…」


輝はうつむき黙った。


「そして忍!」


今度は逆を向く


「お前はもうちょい周りを見ろ!確かに失敗して責められるのが怖いってのは分かるけどな、そんなことでいちいちびびってるからこんな事になるんだよ。いいか?それに、女相手に口ゲンカで負けんなよ!お前男だろ?分かったか?」


「…ごめんなさい」


「よし。分かったなら急いで教室戻るぞ。歴史の西本は遅刻に厳しいからな。」


この少年、たった数分でこのいざこざを解決してしまった。これが鶴岡の才能であり、クラス全員に慕われる所以なのだろう。



「次歴史か~だりぃ~」



「体育の後の西本はきついな~」


などと無駄口をたたきながらグラウンドにいる生徒達は校舎へとぞろぞろと戻っていく。








空ヶ丘市立青鳥せきちょう中学校。何の変哲もなくなんの特徴もないどこにでもある中学校である。都内西部の空ヶ丘市は、バブル最盛期に開発された活気あふれるニュータウンだったがバブル崩壊と共に人の数もどんどん減ってしまい、今では市内に小学校5つ、中学校3つ、高校4つ、コンビニ4つというさびれた街になってしまってる。



そんな街のそんな中学校で彼ら5人は何の変哲もない過ごしていた。





一部を除いて…







ホントは次回の話とつなげて1話にしようと思っていたのですが、長くなりそうだったのでここで切りました。ここ1年間二次創作と妙ちきりんな短編しか書いたことがないので難しかったけど、書いてて楽しかったです。次回から本格的にメインキャラが動き出すので(多分)期待しててください。

感想、ダメ出し、待ってます!

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