第2話:雑魚モブだと思った? ざんねん、強運でした。
「……これ、絶対やばい剣じゃん」
俺が偶然拾った“天運の剣”。
説明にはこう書いてあった。
《装備者の運によって、戦闘結果が変化する。》
《高運なら敵を一撃で倒す可能性あり。》
《ときどき宝箱が落ちる。》
ゲームかよ!!ってツッコミは後回し。
とりあえず、ダンジョンの奥に進んでみたら——いた。
ごつい鎧をまとったスケルトン戦士。しかも3体。
(うわ、あれ絶対雑魚じゃないやつ……)
俺、剣術ゼロ。魔法ゼロ。ガチでビビってたけど……。
スケルトンが剣を振り上げた瞬間——
ガシャアァァアアアアアアン!!!
天井の岩が崩れてきて、敵だけ3体まとめてペシャンコ。
「え? 俺、なにもしないんだけど???」
そのあともすごかった。
・道端の石につまずいたら、落とし穴を回避
・ジャンプ失敗したら、転んだ拍子に宝箱にヒット → 中からポーションゲット
・間違えて斬った壁から隠し通路が開く
ぜんぶ、運だけでなんとかなってる。
これ……まさか……。
「俺、《絶対強運》って……ガチで最強なんじゃ……?」
ダンジョンを出た翌日。
学園で俺のことをゴミ扱いしていた連中が、ざわついていた。
「え、あいつ、補欠のくせに“Dランクダンジョン”から帰ってきた?」
「いやいや、運だけで生き残れるわけねぇだろ」
「でも……剣、持ってなかったか? あれ、見たことないやつ……」
俺はその日から、学園で“何かヤバいやつ”として噂され始めた。
だがこの時、誰も知らなかった。
この男が、魔王をも運でぶっ倒す伝説の始まりだなんて。
──そして、次の授業で、早速“ざまぁ”の予感が訪れる。