034 魔物を殲滅する魔術師
【古代遺跡フレイア】に足を踏み入れたレオ一行。
彼らを出迎えたのは、フロアにて駆動音を響かせる複数の機械魔だった。
「機械魔?」
「うん。ここはかつて、魔人フレイアが潜伏していた研究施設だったんだ。この奥地には、ゴーレムを無限に生み出す装置があるらしいんだけど……まだ見つかってないんだよね」
腰元に佩いた剣に手を伸ばすフレデリカ。
彼らの姿を目にした獣型のゴーレム三体が、機械音をうねらせて突進してくる。
それに続いて、奥へ続く通路からも機械魔が這い出てきた。
「ガウェイン――いけるかしら~?」
「キュるる~」
ミリアンの頭部にひっついていた子猫サイズのドラゴン、ちいさな翼をはためかせて飛び立った。
次の瞬間、二メートルサイズの雄々しい姿へと変えたガウェインが火球を吐きながら地に降り立つ。
「迫力が……すごいな」
「ぎゅおおおおッ!!」
特大の火球が通路から湧いてくる機械魔を一掃し、
「――よっし、進もうか!」
剣を納めたフレデリカ。刹那のうちに三体の獣型ゴーレムを切り結ぶと、フレデリカは先を急いだ。
「ふぅん……」
「いやあ、この場にいるみんなと戦いたいなあ~。大乱戦でもおもしろそうだけど、どうだろうレオ?」
「フレデリカ様、相変わらずのキレッキレな動き……」
「届いてないわよ、あんたの声」
「ははは、夢中だねあの子に。……かわいそうに」
「憐れむんじゃないわよ、私をっ!!」
ムスッとしたエヴァがフレデリカの後を追う。それに続いて、一同も通路へ進んだ。
「この一本道を進んだら、また大きなフロアがあるんだ。そこで二手に分かれよっか」
「そうですね。これだけの人数がいれば、分かれた方が早いのかもしれない」
フレデリカの提案に、レオが頷いた。
「……俺は……人見知りが……激しいから……ちょっと……」
「レオ。なんであのひと、ゴーレムの死骸で顔を隠してるの?」
「触れてやるなヌゥ。だれだって苦手なものの一つくらいあるだろ」
「ローランに関してはあまり触れてあげない方がぁ、真価を発揮できるからそっとしてあげてね~」
「ぎゅおおる~」
ミリアンに賛同するように、ガウェインが唸った。
「そのサイズで猫撫で声されてもかわいくない」
「ギュルるる~~~」
「声、もっと高くして」
「ギュゥるるる~~~」
「ダメな子」
「ギュゥ……」
「うちの子、いじめないでくれるかしら?」
「す、すみません! ヌゥもほら、謝れっ! Sランク冒険者さんなんだからなっ!? 手伝ってもらってるんだからなっ!?」
「大丈夫」
「どこだよ、声がぜんぜん間延びしてないぞ!?」
「――みんな、来るよ。気を引き締めて」
通路を進みきり、フレデリカの言う通りフロアで出た一行の前に、人型の武装した機械魔と、獣型の機械魔が現れた。
「まずはこいつらを掃討し――」
「いや……ここは、俺に任せて欲しい……」
「ローラン?」
消え入りそうな声と共に、突如飛び出した幾重もの鎖。
ローランの外套から放たれた鎖が、ひしめいていた機械魔の全てを拘束した。
「あまり……時間はかけられない……はず。俺が片付けてるから……先に」
「男を見せるじゃない、ローラン~。ここは彼の意思を尊重しましょう~?」
「そうだね。じゃあ、わたしとミリアン、レオくんで正面の道を行こうっ!」
「――はぁ? ここはある程度連携の取れるわたしとレオを一緒に組ませるべきでしょ?」
「わたしじゃない。わたしたち」
「こ、今後のためにも必要なことなんだよっ!」
「いつ必要になるのかしら? 今後ってなに? あなたのわがままでしょう?」
「わ、わがままじゃないよっ!」
「ははは、修羅場って時と場所を選ばないよね。そういうの、僕大好き」
「……あの……早く、進んで……ください……」
「ろ、ローランさんの言う通りだ。今は争ってる時間はない、フランを一刻も早く助けに行かなくちゃいけないんだ!」
「「「じゃあどっちを選ぶの!?」」」
「―――」
一斉にレオを見遣る少女たち。
ひとり、完全におもしろがってるメイド姿の少女も混じっているが。
レオは、生唾を飲み込んで、少女たちの気迫を押しのけるように、
「――ついて来れるヤツだけついてこいッ」
「に――っ」
「逃げた……ッ!!」
「逃げた」
「ハハッ、ほら少女諸君。追いかけなよ、こっちは僕たちが見ておくから」
踵の裏で爆発を起こさせて、機械魔の傍を駆け抜けていくレオ。
ピエルパオロの言葉を聞くやいなや、三人の少女も駆け出した。
「おもしろいなあ。こういうの、青春っていうんだっけ」
「ほんとぉ。見ていて飽きないわあ。――とりあえず、ピエルパオロくん、だったかしら~? よろしくねぇ」
「こちらこそ、足を引っ張らないようにがんばりますよ」
「……早く、いってください……なんか、惨めな気分だ……」
*
曲がりくねった通路に、火炎が迸る。
剛鉄すらも容易く溶かすレオの焔が、機械魔を蹂躙してく。
「フラン……ッ!」
突き当たりを左へ――さらに左へ曲がり、地下へと続く階段を飛び降りる。
「あいつ、早すぎでしょこの――ッ」
「エヴァ、もうギブ?」
「なわけないでしょ!? 舐めんじゃないわよ!」
「――じゃあ、もう少しギアあげるよ?」
フレデリカがにこやかに言った。その瞬間、エヴァを引き剥がすようにフレデリカの駆ける速度が上がった。
「っ!! ――っぉぉのッ!!」
「エヴァ、がんばれ」
余裕そうに地を踏みしめるヌゥ。必死にフレデリカの速度に喰らいつくエヴァ。
幸いなことに、機械魔は全て、先を走るレオが駆逐していたおかげで戦闘はない。
「――フレデリカ様ッ!」
「レオくん、やっと追いついたっ」
三体の機械魔を焼き滅ぼしたところで、フレデリカが追いついた。
「正面の太い通路! そっちの方に三階層に続く道があるよ! そっちにいってみようっ」
「わかりました!」
二人ならんで通路へ飛び込んだ。
その後ろで、
「チッ、邪魔するんじゃないわよッ!!」
「エヴァ、どっち行ったかわかる?」
「~~~っ、たぶんこっち!」
飛び出てきた機械魔を三叉槍で薙ぎ払ったエヴァが、勘で右の通路へ進んだ。
「こっちからレオの匂いがする……!」
「何それ、怖い」
エヴァにドン引きしながらも、ついていくヌゥ。スカートの内側から短刀を抜いたメイドの少女が、飛びかかってきた獣型の機械魔の顔面へ突き刺した。
「――あれ、俺のポーチがない……?」
腰元が軽いことに違和感を覚えたレオが、そこにあったはずのポーチがないことに気がついた。
フレデリカが、チラリと背後を確認すると、
「たぶん、どっかで落としちゃったんだよ! 大丈夫、レーヴェ族のエヴァさんは嗅覚が鋭いから、きっと拾ってくれてるよっ」
「そ、そうですね! 今は先を急ぎましょう!」
「うんっ」
正面から現れた機械魔へ、火炎を走らせたレオは、気がつかなかった。
口許を歪ませたフレデリカの、その表情を。
「おもしろかった!」
「続きが気になる!」
「早く読みたい!」
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