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032 決勝に進出する魔術師

「――兄さんっ! 兄さんっ!! すご……すごすぎて、もうなんて言えばいいのかわかりませんっ!!」




 準決勝を制したレオの胸へ、フランが飛び込んだ。

 義妹の体を抱きとめたレオは、フランの茶髪を撫でる。




「レオ。バッチリだった」


「ヌゥ……【禍突かとつ】、うまく使えてたか? もう少し捻りを加えたほうがいいかなと思うんだが」


「十分。でも、殺すなら的確に急所を狙わないと」


「い、いや……別に殺す気はなかったぞ?」




 ヌゥの後ろから、金色のツインテールを揺らしてエヴァが拳を突き出した。




「……信じてたわ」


「ああ。なんとか、な」


「ふん、圧勝じゃない。当て付けかしら?」


「そんなんじゃない」




 拳を重ね合わせたレオとエヴァ。ほのかに顔を赤くしたエヴァが、はにかんだ。





「――仕合、見ていた。とても興奮した」


「すげえな、あんた! どんな修行法なんだ教えてくれ!」


「俺も知りたい。更なる強さを得たとき、いつかそなたと手合わせ願いたい」




 観戦席にいた武闘会参加者たちが、次々と寄ってくる。

 頬を指で掻きながら、なんともいない感情を抱いていると、




「ふン。今のうちに勝利の余韻を味わっておけ」




 席から立ち上がったスイマが、集団の後ろを通り過ぎる。

 



「決勝で待っている」


「……ああ」




 それだけ言うと、スイマは準決勝へ向かっていった。




「――兄さん! 決勝っていつからなんですか? すぐ始まっちゃうんでしょうか?」


「いや、さっき聞いてきたんだが、夕方にやるらしいぞ。二時間ぐらいインターバルがある」


「そうですか! じゃあ、消化が早くてお腹を満たせられるようなもの、何か買ってきますね!」


「そ、そうか? 俺も一緒に行くぞ」


「いえ、待っていてください! すぐに戻ってきますので、休んでいてくださいね!」


「わかった。ありがとな、フラン。気をつけて」


「はいっ」




 最後にフランの頬を撫でてやると、嬉しそうに破顔して観戦席から出て行った。




「ヌゥもいく―――…………、ごめん。ちょっと用事ができた」


「? 用事?」


「ん。終わったら、フランのとこに行くから」


「わかった。じゃあ、俺はここで待ってるぞ」


「私も。準決勝を見てるわ」


「ん」




 フランに続いて、出ていくヌゥ。

 残されたレオは、まだ集まってきている参加者たちの相手をしつつ、席に着いた。




『さあッ!! 興奮も冷めぬままッ!! 次にいこうかオイッ!! 準決勝第二仕合、争うのはこいつらだッ!!!』



「スイマ……勝ち上がってこい」




 入場したスイマを見やり、レオがつぶやいた。




「相手は……今大会の優勝候補ね」


「強いのか?」


「ええ。パッジーニ・ハルバルト――公国の騎士よ。魔法と剣術を操る、あんたと同じオールラウンダー。最強の剣士はだれか、議論があると必ず名が出てくる猛者よ」


「なるほど……」


「もし決勝でパッジーニが上がってきたら、どうするつもり? 闇討ちでもする?」


「……その時のことは考えてなかった」


「……ほんと、ばかね」




 呆れたように、しかしどこか嬉しそうに、口角をあげたエヴァ。

 足を組み直し、サングラスの位置を調整してから、エヴァが口を開いた。




「でも、どちらが勝つか本当にわからないわ。あのスイマって根暗野郎も、相当強そうだし……あんたと同じ炎系統の魔術師だけど、なんか毛色が違うわよね。あんたもそうだけど、一体何をイメージしながら魔法を扱ってるのかしら?」



「俺はそんな大層なものをイメージしてないぞ」


「ほんと? まあいいけど、ところで―――」



「レオ……ッ!!?」



「ぬ、ヌゥ? どうしたんだ、そんなに焦って」




 エヴァの言葉を遮ったのは、先ほど出て行ったヌゥだった。

 珍しく取り乱したヌゥ。

 勢いよくレオに詰め寄り、掴みかかったヌゥが、悲鳴のような声をあげた。




「フランが……連れてかれたっ!」







「ふぅ、ふぅ、や、やっちまった……だが、もう後戻りはできねえぞ……!!」




 使い捨ての転移石てんいせきを放り投げたメルツが、息巻く。

 そのすぐそばには、呆然と虚空を眺めるゴウゾウと、ブツブツ嘆いているセナ――そして。




「何が……目的なんですか?」




 フランの姿も、そこにあった。




「だあってろ、てめえはただのエサだ。あいつをここまで誘き寄せるための、な」


「……決勝、敗退が目的ですか?」



 フランの問いかけに、メルツは髪をかきあげながら答えた。




「公国からここまで約二時間。たとえおまえが奪還されたとしても、あいつは欠席で敗退だ。スイマが優勝する。だが、それは目的のうちのひとつでしかねえ」




 縄を握ったメルツがフランに迫る。




「あいつを殺す――この場で、だ」


「三人がかりなら、兄さんを倒せるとでも思ってるんですか……?」


「倒すんだよ。ここで、必ず。ぶっ殺してやる……!! おっと、抵抗すんなよ。おまえはレオの前で殺してやる。それまでは大人しくしてな――」









「フランが、連れてかれた……!?」


「どういうこと、ヌゥ? 詳しく話して」


「んっ。でも、ヌゥが駆けつけた時にはもう、遅かったから、よくわからないけど」




 ヌゥの話を要約すると、こうだ。




「――フランを強引に捕まえた男二人と女一人が、転移石を使ってどこかへ消えた、か。転移石ということは、冒険者なのか、そいつらは……?」



「顔までは、見てない。一瞬のことだったから、たぶん他に見てる人もいないと思う」


転移石てんいせきってなんなの?」



「転移石っていうのは、転移したい場所にあらかじめ術式を刻んでおき、同じ術式をその石に付与することでどんなに離れていても一瞬で目的地へ移動することができるっていう、魔石だ」



「そんな石があるの? 知らなかったわ。とても便利な石なのね……それで、どうして冒険者なの?」


「転移石は高いんだ。一個だけで百万ディラもする」


「ひゃ、百……!」


「そんな石は普通、一般人は使わない。使うとしたら、ダンジョンの探索や脱出の際に使う冒険者だけなんだ。それも、定期的に資金を集められる高ランクパーティ…………まさか」




 レオは、仕合会場を見渡した。

 



「いない。どこにも……いないッ」


「レオ、もしかして」


「あ、ああ! あいつら――【ノイトラ】の連中かもしれないッ」


「親玉が仕合中だってのに? 普通、応援するんじゃないかしら?」




 エヴァのその指摘はもっともだった。

 確かめようにもスイマは今、準決勝中。手出しはできない。




「まずは転移した場所を探しましょう。……と言っても、皆目見当もつかないわね」


「ごめん。ヌゥが、もっと早く駆けつけてれば……!」


「ヌゥは悪くない。自分を責めるな」


「レオ……」


「どこか……どこかないか? 転移石を使って移動する場所……いや、転移石を設定した場所は……!」




「――多分、『古代遺跡フレイア』じゃないかな」




「……え?」




 声の方向に目を向けると、そこには薄桃色の髪をまとわせた、小柄な少女が立っていた。




「ふれ、でりか……様」


「ふふ、きみはどうしてわたしに様をつけるんだい? ――まあ、ともかく。高い確率で『古代遺跡フレイア』だと思うよ。レオくんの妹さんが連れ去られた場所は」




 そう言って、彼女はレオの手を掴んだ。




「行こう。時間がないよ」




「おもしろかった!」



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