怪談「ぴちゃ」
これは、私の友人がまだ一人暮らしを始めた頃の話です。
その日の夜、友人はお風呂に入ってました。
湯船にお湯を張り、軽く体に湯船の湯をかけ、そのままシャワーをひねると頭を洗いました。
ザーっと流れるお湯も心地よく、座りながら下を向いて頭を洗っていると・・・
ぴちゃ・・・ぴちゃ・・
なにか背中に冷たい物が当たる・・・
「なんだよ・・・冷たいなあ・・・天井から水滴が落ちてるのかな?・・・なんかやだなぁ・・」
そんな事を考えつつ、さらに頭を洗っていると・・
ぴちゃ・・ぴちゃ・・・
なんだ・・またか・・っと思った 次の瞬間
ペタ・・・ペタ・・・ 何が背中に張り付く。 明らかに・・・これは水滴じゃない?! っと思ったまた次の瞬間
ぺた・・・つぅぅ・・・ っと、ぺたっとされた後に、つーっとなぞられる・・・まるで、手の指でなぞる様に・・・
え?!っと思って体が強張った すると、下を向いて頭洗ってる友人の耳元近くで
「フフフフフフ・・」
っと女の人の含んだ笑い声が!
「わあああああああああ!!」っと驚き!あわてて湯船のお湯を洗面器ですくって頭からかぶると、顔を水をぬぐうのももどかしく、バッと後ろの浴室のドアを見ると、そこには・・・
ドアの上の部分、小さなすりガラスがはめ込んであり、そこの向こう側に明らかに女の人らしきシルエットが・・・それは、真っ赤な口でニヤーーっと笑うと、すっと後ろに下がって消えました。
あまりの出来事と、恐怖でお風呂から出るのを決意するのに、二時間はかかったそうです。
ちなみに、その友人は今でもそこで一人暮らしをしています。