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神隠し(ラヴィー)
ユズルさんはかなり気が長い。なんで怒らないのか、さっぱり分からない。
ドクター・クラスなんだし、あんなスキルが使えるんだから、絶対こんなオジサンより格上なこと、間違いない。
でもおとうさんは言ってた。ほんとに誇り高き種族は滅多なことでは怒らない、って。あたしは無理無理。やっぱり言いたいことは言いたい。そういう性格。自分のために、自分の誇りのために、やっぱり今あたしが言うべきことは言うべきじゃないかって思ってる。
けど、破片が飛んできたのにあたしは全然気づかなかったし。普段だったら気づいてたと思うし、やっぱりそういうのって怒り? 的な感情? みたいなののせいで、あたし、まわりが見えなくなってたんだと思う。にしたって、オジサンもぜんぜん気づいてなかったよね?
ユズルさんはすぐ気づいて守ってくれた。マジかっこよかった。さすユズ。ああ、これが誇り、ってやつ? 自分のこと悪く言われても怒らないのかー。かっこいいなあ。アタシもはやく「誇り」身につけないと!
ユズルさんの役に立てるなら、マジ鬼嬉しい。神レベルの「神隠し」見せてあげよ。