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「可愛い奥様ね。」
浜辺は美しく微笑んで言った。
その言葉の裏に、私の比ではないけどね…、とでも言いそうな余裕の態度だった。
「うちの主人と同窓会の幹事をして下さってありがとうございます。ご迷惑おかけしているんじゃないかしら。」
加奈は笑顔を引きつらせて言った。
「あら、迷惑だなんて、津田さんは私が望んで幹事になっていただいたんですよ。」
加奈が僕を睨んだ。
「雅彦、良かったわね。こんなキレイな人と一緒に幹事ができて。浜辺さん、うちの主人をよろしくお願いしますね。どうせこの人、暇を持て余してるだろうから遊んでやってくださいね。」
加奈は吐き捨てるように言って僕を睨んだ。
「あら、よろしいんですか?
奥様公認だったら、思いっきりデートに誘っちゃおうかな。実はね、津田さん、私の初恋の相手なの。」
「はぁ?」




