87/161
87
「何でそうなるかな。自分だって、加奈の両親と同居しろって言われたらどんな気持ちになんのよ!」
「だからきっと、私のお父さんが倒れたとき、さも心配してますってとこを見せたんだよ。恩着せがましく見舞いにも行ってさ。ちゃんと自分の足跡残るように差し入れまでしちゃって…。俺はちゃんとおまえの両親の面倒見てるんだから、おまえも俺の両親の面倒ちゃんと見ろよって言いいたいんだよ!」
「そうだとしたら、相当なプレッシャーだよね…。」
「もう、何もかもが嫌になってきた…。この結婚、失敗だったのかも。離婚するしかないかな…。」
「一度お互い腹割ってはなしてみたら?」
「…あんな別れ方しといてこっちから連絡するのもちょっと…。」
「まあ、気持ちはわかるけど…。雅彦さんも出て行ってからどれだけ経ってると思ってんだかね? 少しは加奈の気持ち察して連絡くらいしろっての! 加奈だってがんばってるのにね。」
「ありがとう。そう言ってくれるの梨沙子だけだよ。」
親友の暖かい言葉にウルっときた。




