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「そうよ~! どうせ私は福岡から動けないんだし、達彦は神戸でしょ。あそこは楓さんがお嬢様だから向こうの両親が絶対離さないわよ! お墓の管理とかもあるし、いずれ兄弟の誰かがこっちに住まなきゃ、お父さんとお母さんも老後が不安じゃない!」
「そうね、雅彦夫婦にお願いしましょう、お父さん。」
「そうだな。それが一番いいな。」
「そうと決まったらお父さんもお母さんも加奈さんと仲良くしなきゃダメよ!」
「あら、私は大事にしてるわよ。」
「俺だって優しくしてるよ。」
…彼らが私に親切にしていたのは、将来私を自分たちの介護要員、先祖の墓守要員にする為だったのか…。




