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「今日、駅で女の人と歩いてたよね?」
「えっ?」
案の定、雅彦は顔を引きつらせた。
「誰?」
「あ、あの人は同級生だよ。高校の同窓会をこっちですることになって、俺と彼女が幹事だから、その打合せで…。」
「…雅彦、高校、山口だったよね? なんでこっちで同窓会すんの?」
「それは、こっちに出て来てるやつが多いから来られる人だけで集まろうかってことになって…。みんなの予定合わせて帰るのも大変だしさ。」
「ふ~ん。」
私は雅彦の一挙一動を見逃さないよう凝視した。
彼は私と目を合わさないように黙々とご飯を食べている。
怪しい…。




