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「ゴミ!」
何だよ…。
もう少し寝かせてよ…。
ムニャムニャ…。
「速くゴミだしてよ! 持っていかれちゃうでしょ!」
はっ!
今日はゴミ出しの日だった。
やばい!
僕は急いで服を着替えた。
横を見ると加奈はまだ寝ている。
寝ていてもゴミ出しの事は覚えているのか?
だったら出しといてくれてもいいじゃないか?
そうは思っても触らぬ神に祟りなし。
言わぬが仏。
僕はスーツに着替えてカバンとゴミ袋を持って家を出ようとした。
「ちょっとー! ベッドメイキングしてよ! ったくだらしないんだから!」
妻が叫ぶ声が聞こえる。
しょうがなくカバンとゴミ袋を玄関に置き、寝室へ戻ってベッドメイキングをした。
「加奈は起きなくて大丈夫なの? 仕事遅れない?」
そう言うと布団が跳ね上がって、ボサボサの頭の妻が起き上がった。
「私、今日は遅番だって夕べ言ったよねー? ったく人の言う事全く聞いてないんだから…」
言うだけ言って、また布団を被って寝てしまった。
「すみません…」




