15/161
16
髪は緩やかに巻いてあって、小さな手には毎回違う可愛いネイルを施していた。
自分と会うためにオシャレをしてきてくれる彼女に、僕は心底感動した。
映画に行って、オシャレなカフェでまったりする。
彼女の話す会話の内容は、ハッキリ言ってそんなにおもしろいとは思えなかったけど、毒のある会話でなかったので、それはそれで心地よかった。
窓から暖かい光が射しこむ。
彼女が僕を見て微笑む。
まさに僕が思い描いていたライフスタイルだ!
横浜の夜景が見えるレストランで食事をした後、僕は加奈にプロポーズした。
彼女は恥ずかしそうに目に涙を浮かべて喜んだ。
うん、順風満帆!
可愛い妻との素敵な生活が僕を待っている!
僕は彼女を抱きしめた。
「もう、離さないよ」などと、歯の浮くようなセリフを言って自分に酔いしれた。




