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「行ってきます!」
「行ってらっしゃい!」
加奈は髪もボサボサでベッドに入ったままだけど、今では笑顔でそう言って僕を送り出してくれる。
妻のマインドの進化たるや、目を見張るほどの勢いだ。
ゴミ収集場で田中さんに会った。
「津田さん、久しぶりですね! 出張か何かだったんですか?」
「いや…実は…、ここだけの話なんですけどね、実は妻から追い出されてまして…」
「それはご愁傷様でした…」
田中さんは優しく慰めてくれた。
「実はね、僕も何度か追い出された事あるんですよ!」
「え? 田中さんがですか?」
「最初の頃はね、僕も家事にこなれて無くて、些細な失敗で妻の逆鱗に触れたりしたもんです。」




