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「俺さ、同窓会の帰りに加奈のとこ考えてたんだ…。」
「私のこと? どんな?」
「昔さ、飲み会で午前様になってしまった時、玄関開けようとしたらチェーンがしてあって中に入れなくて。加奈に電話して入れてくださいって言っても入れてもらえなくて、結局一時間くらい外で反省させられて。」
「…。」
「あとさ、あんなこともあったよね! 俺、事務所にいて加奈から電話があって、化粧水無くなってたー、仕事行かなきゃならないのにすっぴんじゃ出られない! 雅彦買ってすぐ持ってきてーって。で、しょうがないから俺すぐデパート行って言われた化粧水買ってマンション行ったらさ、エレベーター点検中で2時間動かなくって、結局18階まで歩いて登ったんだよな。その後筋肉痛がすごくて一日中足がガクガクしてたよ。加奈あの時エレベーター動いてないって知ってて俺に電話かけてきたでしょ?」
「…そんなこともあったね…」
「それからさ…」
「もーわかったよ! どうせ私は鬼嫁ですよ!」
「それから…」
「もーいーって!」
聞くのを嫌がってそっぽを向いた彼女をギューっと抱きしめた。
加奈は予想外の行動にビックリしていた。




