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雅彦はあんな父親でも私の親だからって大事にしてくれていた。
それなのに私は雅彦の事を外ヅラだけって言った。
同級生たちの事も理由も聞かず恨んでいたり、元カレと浮気願望抱いていたり、ほんと最悪じゃん!
私が一番クソ野郎だったよ!
急に涙が止まらなくなった。
通りすがりの人たちが私を見てギョッとしている。
今になって、雅彦がどれだけ私を大事にしてくれていたか、そして私がどれだけ雅彦の事を痛めつけていたのかに気付いた。
もっと他にやり方があったはず。
もう少しうまくできてたはず。
いや、出来なかったよ。
雅彦が私を察してくれるのを待っていただけで、お互い理解し合おうという努力すらしなかったんだから…。
雅彦と出会ってからの事が頭の中を駆け巡った。
胸が痛くて堪らない。
雅彦に会いたい。
会いたいよ…。
気づいたら、雅彦の事務所のあるマンションの前に来ていた。




