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「えっ? アイツのどこが?」
「優しくて包容力があるのよ、津田君は。だから奥さんは安心して鬼嫁でいられるんじゃない。」
「俺が加奈を鬼嫁にさせてんの?」
「そうよ! 津田君が怖かったら妻は怯えて鬼嫁になれないじゃない!」
「そんなもんか~?」
「別居してんでしょ、今も。」
「ま、そうだけど…何、急に。」
「奥さんの事、愛してる?」
その問いかけに答えられなかった。
加奈の事、僕は愛しているのだろうか?
考えてもハッキリとした答えは出なかった。
そんな僕を浜辺はじっと見ていた。
「行こ!」
浜辺は僕の手を取ると、そのままバーを出てエレベーターに乗った。
そしてエレベーターが止まると客室まで歩いて行った。
1205室。浜辺は部屋のカードキーを出した。
「取ってあるの。」
「え…」




