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ミレニアムの魔術師  作者: 日南田ウヲ
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 脅しかよ


 僕はリュックを背負って席を立ち、振り返った。

 もうそこには猪熊の姿は無かった。どこに行ったのか?

 室内を見回してもどこにも姿が見えない。


 不思議な奴だ


 僕は背中に魔術書の重さを感じながら図書館のエレベーターで下に降りた。フロアを示すランプが見える。

 3・・

 2・・

 1・・

 ドアが開く。


 アイツ魔術書には意思があって、

 そのぉ・・なんだ・・

 つまり魔術師として認めるものにしか、その内容を示さないと言ったよな。


 つまり僕にその魔術師としての才能があるってことか?・・


 だから何なんだ?

 それが何か人生のアドバンテージにでもなるっていうのか?

 就職にでも有利になるか?

 履歴書に書けるか?

 僕、魔術師なんですって


 笑っちまう。そんなのおかしくて就職何て逆にできっこない。

 しかし猪熊、なんでこんなニッチというかマニアックと言うかそんなこと知ってるんだ。

 昨晩一応ネットで『真の地球』とググって見た。確かにネット上には出てきた。東京、大阪商工会議所も協賛だ。

 地方の植林をしたり、護岸を整理したり確かに普通の自然環境団体だった。ネットの裏チャンネルとかにも何もディスる書き込み何て皆無だ。


 あいつら正体が不明だな、カルトじゃ無いだろうな・・


 兎に角、僕は夜を待つしかなかった。松本の仕事上がりを待って奴と意見交換するんだ。

 さっき会ったことを松本に話さなければ。


 LINEが鳴った。

 ケイタだ。


 見ると渦潮の写真。

 でもよく見れば同じ個所に、左巻き二つ、右巻き二つ、それが同時に発生している。


 #こだま

 異常だぜ!!

 何かがおかしいんじゃないか!!


 写真を見てごくりと唾を飲みこむ。

 もしかすると僕の予想以上に異常が急速に進んでいるのじゃないだろうか?

 僕はスマホを見て台風情報を見た。



「うおっ!!」


 路上で思わず声を出した。

 あまりにも巨大な台風の雲が赤道を覆い、ハワイまで伸びている。

 あろうことか中心にあるはずの台風の目が・・


 ふたつ存在している。


 人間の眼の様にふたつこちらを睨んでいるように見えた。


 左右の目、これを良く見れば・・

 時計回りと反時計回りの二つが融合しているんだ!!



 ど、どーゆうことだ。最初は時計回りだけだったのに。僕は発生当時の写真を見て指で画面を拡大する。

(あ・・これは・・)

 見れば時計回りの台風の目の下に重なる様にもう一つの小さな目が見えた。

 松本は直進すると言った。


 僕は見落としていたんだ。



 ―――こいつは当初からケイタの送ってきた渦潮の写真のようにふたつ存在していたんだ。


 つまり反発し合う二つの勢力がぶつかり合いながら、それは当然直進してやって来る。

 それも巨大な雷雲を引き連れて。


 これは人類にとって禍々しいほどの災厄だ。


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