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ミレニアムの魔術師  作者: 日南田ウヲ
19/81

18

 

 翌日、テレビやネットのメディアは台風アッサニーについての話題で溢れていた。

 時計回りの異常な台風。

 気象予報士、学者達がこぞってこの台風についてコメントをしている。

 僕は窓から見える青空の下でそれらをひとつひとつチェックしていた。

 その予想進路は右に左に蛇行することなく、ほぼ直進で日本を直撃ルートになっていた。

 また海水温度の急な上昇もあり、日本に来る頃にはおそらく900ヘクトパスカルになるのではないか・・・。


 900ヘクトパスカルーーーー


 異常台風としか言いようがない。

 僕は思った。

 こうした台風が来る環境というのが地球本来の姿なんだ。いやもしかするとあの中東の砂漠に現れた大河も、もしかしたらまだ報道されていないことも沢山あるかもしれない。

 それら異常気象は人類が地球で生き残れる環境にするために遥かな昔、松本のいう話では神によって封じ込められていた。それがミレニアムロック。そう、複雑な魔法陣のQRコードとして。

 それは人類の為でもあるのだろうけど、地球の多種多様な種の為にも大事なことだったに違いない。

 僕は魔術書を開き、ミレニアムロックのページを見た。

 魔法陣の図柄の下に、絵が描かれている。絵は扉が開き、そこから雷や太陽、水その他何かを示すような絵が描かれてあった。

 意味を知ればそれらが扉によって解放されるということに違いなかった。

 その下に頭を抱えて歩く人類の絵が描かれていた。

 まるで聖書に書かれているかのようなハルマゲドンから逃げようとする人類のように。


 はぁあ

 深く溜息をついた。


 開かれた扉。

 僕は魔術書を捲る。

 次のページには、扉を押さえる大きな手の絵があった。


 これは何だろう?

 巨大な手が扉を押している。

 言葉が書かれているが勿論翻訳は出来ない。

 しかし・・

 不意に何かを思いついて、僕は見開いたページとミレニアムロックのページを交互に開く。


 これって扉を押し戻すことが書かれているんじゃないだろうか?


 その時、部屋のドアホンが鳴った。僕は立ち上がり、ドアホンの画面を見た。

 そこに眼鏡をかけた見知らぬ男が立っている。

(誰だろう?)

 僕は訝し気に玄関へ行き、新聞の勧誘ならば断わろうと決めてドアを開けた。

「はい、どちら?」

 僕の声に男がにこりと笑うと、名刺を差し出した。

「昼間に失礼します。私、猪熊と言います。こうした団体の一員でして・・」


 うわ、

 マジ嫌な奴やん。団体の勧誘何て!!


 出なけりゃ良かった、そう思ってしぶしぶ名刺を手に取った。

 男がじっと僕を見る。視線を避けるようにして書かれている団体名を見た僕は眉を細めた。


 なんじゃ・・これは?


 男がにこりとした。

「はい、私ども地球を美しいもとに戻そうという環境団体『真の地球』というものです」


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