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異物鑑定士  作者: くらげ
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1 人生なんてそんなもの

 新堂 茜、この時既に齢30過ぎ。私は子供の頃から歴史に触れるのが好きで、本を読むだけじゃ飽き足らず実際にある遺跡に行っては想いを馳せる考古学者として働いていた。ら、良かったんだけど……実際普段は冴えない歴史オタクが地元で事務員をやっているだけ。


 それでも遺跡に行っているのは嘘では無く、山の奥やら何やらヒィヒィ言いながらも考古学者もとい冒険家の真似事をしていた。……両親から危ないから止めるよう言われてるんだけど、中々私の探求心が収まらなくて申し訳無いと思いながらも何度も何度も各地に足を運んだ。


 だって本だけじゃそこの空気感は味わえないんだよ? その場に行ってなんぼでしょう? 実際に行きたくなるのがオタクの性ってもんでしょう? これはあくまで聖地巡礼だから。他のオタク諸氏よりすこ~しだけ険しい場所に行ってるだけだから。


 ──その日もまた、私は山に居た。情報によると昔の人がせっせと掘った隧道があるとかで、実際にヒィヒィ言いながら現地に行くと確かに岩を削り山を削った痕跡が今でも残っている。これは妄想が捗るってものよムフフ。


 ただ、それがまずかった。


 こういう隧道って人為的に水を引く為に作る物で今回のそれは偶然切り立った場所の上にあり、今では川としては使われていないようだけどじっとりと全体が湿っている。そこをもう少し先へ先へと行こうとした矢先、うっかり足を滑らせた私は……そのまま滑落。頭を思い切り打ち付けて死んでしまった。


 あ~ぁ、いつかやるかもとは薄々思っていたけど……まさか本当にやるなんて。お父さん、お母さん馬鹿で親不孝な娘でごめんなさい。でも正直……当時もこんな感じだったのかなって味わえてちょっぴり幸せだったのは、内緒にさせてください。


 ……もし生まれ変わったら、もっといろんな歴史に触れたいなぁ。神様どうにかなりませんかね?

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