7話 大剣使い
ようやくクエストに行く気になった
リョウ、コニー、コーネス。
3人のクエスト先を『ザッステュミラーの池』へと
決めた一行は、準備を整えて出発した。
ザッザッザッ…
クエスト先へ歩いているリョウは1人、
歩きながら手紙を書いていた。
その後ろをワーワー言いながらコニーとコーネス
が続いていた。
『父さん、母さん、元気ですか?』
「ねぇコーネスぅ〜『雑草まみれの池』って
まだまだ先なの〜?」
『こっちは元気ですよ。』
「それを言うなら『ザッステュミラーの池』
だろ。あと暑いからくっつくな!」
後ろにいるから今どういう状況なのか
理解できないのだが、まぁいいか。
『異世界で新しい仲間に出会いました。』
「ねぇ〜!まーだーなーのー⁇」
後ろからコニーの甲高い声が聞こえる。
うるさい。
『1人は背がやや低めで可愛いのに町の人達に
嫌われている悲しい娘なんです。こんなに可愛いのにッ!!』
「オエ…ちょ、揺らすな揺らすなぁーーッ!!」
…後ろから鎧がぶつかるように
ガッチャンガッチャンと聞こえる。
かなりうるさい。うん。
「ねぇ〜〜!!!もう疲れた〜!!」
バタンと倒れる音が聞こえた。
今のはコニーだろう。
そう他人行儀でいたリョウにも
ストレスが溜まっていた。その直後、
「こいつッ!散々気持ち悪くさせた挙句、
休みたい〜と駄々をこねやがった!!
おいリョウ!!!こいつをどうにかしてくれ!」
ビリッ(手紙が真っ二つに破れた音)
ビリッ(リョウの何かが切れた音)
ついにはコーネスがリョウの肩を思い切り掴んだ
為、手紙が真っ二つに破れてしまった。
その音を聞いたコーネスは慌てて掴んでた手を
離し、リョウから2歩後ずさりした。
「あの…その…リョウ?」
「ん………………⁇」
気づけば大の字で横になってたコニーが
起き上がっていた。
「お前らぁ………………」
そしてクルリと振り返った。
「静かに手紙書かせろやぁああああ!!!!!」
リョウの悲痛な叫びは周囲の小鳥を驚かせた…
「……………………!!!!」
リョウ達から約300メートル先の巨大な樹に
もたれている瀕死の男は、リョウの叫びを聞き、
なんとか助けを求めようと持ってた石を彼の大剣にぶつけた。
「だいたいお前ら、手紙を書いてる人の近くで
騒いでいいって、そう教えられて育ったのか!?
その上、俺の」
ガィィィン………!!!!!
突然鳴った金属音に3人は飛び跳ねた。
「な、なんだ!?」
「む、向こうから鳴った!」
さっきの金属音にしりもちをついたコニーが
『ザッステュミラーの池』へ続くけもの道を
指差して叫んだ。これでも、コニーは耳がいいのだとか。だがさっき揉めたせいかコーネスが、
「いーや、そっちから聞こえたぞ!」
と、けもの道の隣の山道を指差した。
「お前ら、結局どっちなんだ…?」
リョウ的にはさっさと金属音の正体を
突き止めたいのだが、コニーとコーネスが
揉めだした為、最終的に…
「「最初はグー!じゃんけんポン!!!」」
どちらか決める際の定番、
じゃんけんで決めさせた。
異世界モノの主人公は鶴の一声で決めるらしいが
そんなの正直めんどくさい。
「いよっしゃあああ!!!!」
「チキショーーーッ!!!!!」
2人の喜びと嘆きの声は、それはそれは、
まるで2人のおじさんが喜び、悔しがるかのように
聞こえた。しぐさもおじさんみたいだった。
お前らそれでもヒロインかぁああ………!!
リョウは心の中で思い切りツッコミを入れた。
…結果、コニーがチョキを出し、
コーネスがパーを出した為、俺たちは
けもの道を急いだ。
タッタッタッ……………
「お前らもうちょっと
ヒロインらしくできないのか!?
今のリアクション小学生並みだったぞ…」
さすがに『おじさんみたい』とは言えない。
言ったら首が飛んじまうからな……………
「今の時代、『ヒロインらしく』は古いわよ。
ヒロインだってこれくらいはしなくちゃ。」
「わ、私のリアクションが小学生並み…だと!?
おいリョウ、そのセリフ今スグ訂正しろ。」
そうコーネスが言うと、横腹に装備してある
『ルミネートソードII』を両手で
持ち出し、リョウに剣先を突きつけた。
「はぁー!?
俺は第三者としての感想を言っただけなのによぉ
それに『小学生並み』が嫌なら
『おじさんみたい』が良かったのか!」
「おじさんみたいとはなんだ!
よし、この際だ。
帰ったらポーカーでケリをつけようじゃないか!
いくら熟練度284でも、運なら私の方が
上だからな!
特にポーカーは38連勝してるからなおさら
私にとって優勢であることに変わりはない!!!
ちなみに今詫びれば許してやろう!!!!!」
コーネス、今フラグ立てたよな…?
「すいません……………」
どこからか、声が聞こえた。
「なぁ、今聞こえたよな?」
そうコニーとコーネスに聞いた。だが、
「へ?なんか聞こえた?」
コニーは目を点にしている。
「幻聴でも聞いたのか?それともYu」
「やめて!それを言ったら
今晩トイレ行けなくなるからぁ!!」
コーネスが白い悪魔の話を
しそうになるのを慌ててさえぎるコニー。
あー。(察し)
すると、
「あの、すいません……助けてください……」
さっきより弱々しく聞こえた。
そろそろヤバくなってきたかもしれない。
「おいコニー!コーネス!!
時間がない、急いで声の持ち主を探すぞ!」
リョウはそう2人に言った。
「「りょ、了解!」」
少々困惑しつつも探索を開始したコニー。
コーネスは近くの草やぶに
顔を突っ込んで探しだした。
それを見たコニーも負けじとコーネスとは反対側の草やぶに顔を突っ込んで探しだした。
まだケンカしてたのか…?
2人のいがみ合いはさておき、リョウも
聞こえた方角へと耳をすませた。
その直後、
ガサガサガサガサガサガサ…………!!!!!!
コニーが潜ってる草やぶから5歩くらい先の
草やぶから音が聞こえてきた。
「「ひぃいいいいいい!!!!!!!!!」」
慌ててリョウの両腕にしがみついた2人。
そこに現れたのは…………………
バタリ。
草やぶから血まみれの上半身の男が現れた。
しかもうつ伏せ。
「「「…………………………………………」」」
突然、男の顔がぐるんとリョウ達を見つめ、
「たす…け……………t」
「「きぃいいやぁああああ!!!!!!」」
男を助けるより先に白い悪魔を
見たかのような叫び声をあげたコニー&コーネス。
……リョウはもろに2人の叫び声を浴びせられた為
白目になりかけていた。
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※その後、コニーが男に治癒魔法をかけ、
一命は取り留めた。そしてリョウは
コニー&コーネスにキツイ説教をした。
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「助けていただき、ありがとうございます。
私、ミシェル・リーレと申します。
熟練度は108、職業は大剣使いの剣士です。」
助けた血まみれの男はミシェルと言う大剣使いの
剣士らしい。しかし、雰囲気が真面目だなぁ…。
「ど、どうも。
最弱パーティーの『▲(サンカク)』のリーダー
のかつr…リョウ・イナミルスと申します。で、
こっちの僧侶みたいな服を着ているのが
コニー・ナレイナ、
こっちの女剣士がコー…コー…。
なぁ、コーネスの本名って何て言うんだっけ?」
名前の長さについ本人に聞くリョウ。
「長いからコーネスでいい。そう言えば、
ミシェルと言ったな?よろしくな。」
リョウの質問に呆れて答えた後、ミシェルに
握手して微笑んだコーネス。
すると、ミシェルがリョウに近寄ると
「お願いします!
私をどうかパーティーに入れてください!!」
突然土下座で頼んできた。
「え、ええええええええッ!?」
驚くコニー。
「な、なぁ。リョウはどうするんだ⁇
まさか、すぐにOKするとかしないよな…?」
OKをする事を恐れているコーネス。
そして、
「いいよ!じゃあ、これに名前書いて。」
案の定、リョウはOKをし
ポケットから紙とペンを取り出した。
その紙には『パーティー加入届』とあった。
「その紙、どこでゲットしたんだ!?」
コーネスが聞くと、
「なんかパーティー結成時にもらった。」
キョトンとしながらリョウが答える。
いつの間にかミシェルが紙を書き上げていた。
「それでは『リーダー』!
本日よりよろしくお願いします!!」
そう笑顔でリョウに渡した。
「リ、『リーダー』ーー!?」
初めて言われた言葉に困惑したリョウ。
その周りでハハハと笑うコニー&コーネス。
ミシェル・リーレの加入により、
時がまた一つ、動きだした。
いかがでしょうか?
投稿が遅れた分量も多くしております。
次話に乞うご期待!