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文学系 短編集

隣の部屋のサイコパス

作者: アリス法式

ふと思いついたの久々に書いてみた。ホラーゲーム実況を見ながら書いたもので、なんとも言えない仕上がりに。

 始まりは小さな物音だった。

聞きなれた扉の閉じる音、消えるようなか細い女性の悲鳴。

それは、隣の部屋から聞こえてくる、異質な生活音では無い音。


私が住んでいるのは、一部屋2LDKの三階建てのマンション、同じ階に三部屋存在し、現在右隣に人は住んでいない。

必然、今の音は、左隣の部屋から聞こえてきたこととなる。

隣の部屋の住人は、外資系の商社に勤めているサラリーマンの男性、○○××さん。いわゆるエリートサラリーマン。

廊下で会えば、毎朝私にも挨拶をしてくれる、人の好さそうな青年だ。

今日も、パリッと糊をきかせたスーツを着込んで、朝、8:00ごろに出社していったはずなのだが…。


現在は11:00、昼の休憩時間としても少し微妙な時間。

しかも、彼は外食を好み、わざわざ自炊のために貴重な昼休憩の時間に部屋に帰ってくるとは思えない。


私は、意を決して廊下に足を踏み出した。


隣の扉まで約5メートル。

人生で、ここまでドキドキしたのは今まで何回あったであろうか。

「…ピンポーン」

無機質な電子音が響く。


「……はい」


やや、しばらく置いて。

チャイムから、強張ったような声が聞こえてきた。

「あ、○○さん、隣の△△です」

「…はい」

「あ、あの、大丈夫でしょうか?」

「何がですか?」

「いえ、あの…、女性の悲鳴のようなものが聞こえたものですから…」


「………っ!」


チャイムから、息を飲む音が聞こえるような、そんな瞬間だった。


「……ええ、大丈夫です」


ブツッとチャイムは、一方的に切られた。

もう一度、押してみるがもう反応は無く、私もあきらめて部屋に戻ることにした。

バタンと重たい扉を閉じると、気が抜ける。

押されるように、リビングの扉が開いてしまい、いつもながら少しびっくりする。

そして、私はいつも通りの日常に帰っていった。


このことについて、私は特に警察に通報したりなどすることは無かった。

同じようなことが続けば考えたかもしれないが、隣の部屋の彼は、その後逃げるように部屋を引っ越してしまったからだ。

後に知った話では、彼はストーカーの被害に合っていたらしい。

もしかしたら、あの日聞いた女性の悲鳴は、彼の家まで訪ねてきたそのストーカーのものだったのかもしれない。


いつも通りの日常に戻った私は、また、閑散としたこの階を見渡して、溜息をつく。

この階は、実はいわくつきの物件らしく住人が定住しないことで有名らしい。

今回の彼も一か月も住まず引っ越してしまった。



今度は、どんな住人が引っ越してくるのか、そんなことを思いながら、私の日常は続いていく。






2020.5.18ネタバレ追加

-ネタバレor解説-


一応、ミスリードを狙った短編。

このマンション、外資系のエリートが住むようなマンションなので当然、防音、防犯はしっかりとしている。

それなのに、語り部の彼女は隣の物音を察知し、隣の住人の生活を把握している。

つまり、この小説は隣の部屋の事件を見てしまった住人ではなく、隣の部屋の住人を逐一監視してる住人の話となる。


ちなみに、感想を求めたところ、住人が幽霊という回答が返ってきた。

それはそれで怖いなと思った。

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― 新着の感想 ―
[良い点] たぶん、タイトルがカギでありミソである。 [気になる点] 主人公こそが、根源? それとも、ホラーになる起点を回避して、何も始まらず話が終わってしまっただけ? 微妙に判断がつきにくい。多分前…
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